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髪を染める。

10年前に無かったもの。

気になるほどの白髪。

3年前くらいから、染めないと「疲れたおばさん」に見えるようになった。おばさんなのは確かなんだけど、疲れて見えるのは嫌だ。

だいたい自分を「おばさん」という種族に当て嵌めたくないのだ。できれば「年齢を重ねた女性」と表現されるような人になりたい。

親しく付き合っている同年代の友人も皆、きちんと気を遣っている。お互いにそれができる心持ちだから自然と同類として親しいのかもしれない。正直言って経年劣化を放置するようなだらしない人とは話が合わない。


幸い、わたしの髪は太くて量が多い。地肌が見えるような悩みは今のところない。それに一度パーマをかけると半年はカールが残るという性質がある。美容院で「まーだ残ってるね!」と毎回言われるくらいだ。

カールが残っているから纏めやすい。またちょっと手を加えてカールを出せばお出かけにも耐えられる。

そんなわけで必要に迫られないので美容院には何に2回か3回。でも懐事情から、カットとパーマだけ。ヘアカラーをするだけの余裕は無い。

必然的にヘアカラーは自分でやることになる。最初は手軽に使えて安い薬剤を選んでいたのだが、どうも持ちが悪かった。2週間も経つと気になって仕方なくなるのだ。試行錯誤の結果、ちょっとお高めのしかも手間のかかる薬剤を使うことで1.5ヶ月に一度くらい持たせることができるようになった。

手間がかかるから、染める日を慎重に選ぶ。体調が悪くなく、風呂場を好きなように使えて、染めた結果を効果的に発揮できる日。とりあえず今日。

今回は明日が今年度最初の保護者会なのだ。


先に「おばさん」はイヤと書いた。それにはもう一つ理由がある。わたしは20代後半に長男を、11年後に次男を産んでいるので、次男の同級生たちの親よりひと回り年上だ。長男を育てて子育てのうまみも辛さもひと通り経験済みなので、全く性格の違う次男を育てるのにも苦労はないが、周りの母親の中ではちょっと浮く。

浮くことは気にならない。昔からママ友は要らないのだけれど、次男が「年寄りっぽくて恥ずかしいな」と思うのは避けたいと思っている。

その次男、小学生の頃は「ママがキレイにしてるとうれしい」と思っていたようなのだが、中学生になり多少の反抗心を持つようになったら注文がうるさい。

割と恵まれた爪の形をしてるので爪のお化粧が好きだし、歳を取ったら明るい色を着ないと顔色がくすんで見えるので意識して色物を選んでいる。髪も染める。

それが、恥ずかしいのだそうだ。

年相応にして欲しい、という。

全く取り合わないし、わたしはわたしの好きなようにするのだと宣言している。

それに彼は全然わかっていない。経年劣化を放置していたら自分の母親が年寄り染みて見える、なんとも言えない哀愁のことを。

わたしの母は髪が豊かなので貧相ではないが、子供心に「服も化粧も地味過ぎて、ちょっと恥ずかしい」と思っていた。もっときちんとした服と化粧で参観日に来て欲しかった。

11歳年下の妹は、そんな母をどう捉えていたんだろう…

大人になって母の地味なのは、本人の意思というよりは父の偏見に満ちた趣味のせいだとわかった時は腹が立った。社会人になってからは事あるごとに母に服を贈った。わたしには「ちょっと派手だわ」とは言っていたけれど、娘からもらったものなら父も表立って文句も言えまい。


その生い立ちの上での、今のわたし。

誰のためでもなく自分のために、と思う一方で次男のためにまだ年寄りにはなれない、とも思う。

彼が成人して一人でやっていけるようになるまでは、死ねない。

体のメンテナンスももちろんだけれど、気持ちのメンテナンスも欠かさないでいたい。


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