世代間の分断とは利用するメディアの分断、オールドメディアの老化。

市場と顧客層を理解しているオールドメディア

今や日刊炎上コンテンツと化したあの問題。

この件をもって「やっぱりサヨクマスゴミはお仲間の悪い話題に対して『報道しない自由』を行使するんだな」という早とちりをしてはいけない。

むしろ、個人的には、阪神監督の岡田彰布氏のように「そらそうよ」という感想のほうが強い。

①オールドメディア同士の棲み分け

大手メディアというのは正確性を一つのウリにしている。
それが故に無謬性の盲信という自家中毒になりやすいと共に、確証性の低い情報には手を出さないという特徴もある。
2022/12/13時点で、この件に関してはウラが取れておらず「まーたTwitter炎上案件か」程度の認識だったと思われる。

つまり、大手メディアが動く案件ではないと思われていた。
確証性の低いネタは週刊誌や夕刊紙、カストリ雑誌の領分である。

各産業別で役割分担が徹底されているのと同様に、メディア産業も明確な役割分担が存在する。


②メディアいえども顧客層の満足度は無視できない

そもそも、新聞テレビといったオールドメディアの主要顧客層は60代以上で、30〜40代(と20代以下のオタク)が主流のTwitterの日常茶飯事的炎上事件なんてニュースバリューが低い。

彼らにとって重要なのは介護・医療・福祉・年金の話であり、葬式の形式や葬儀会館や戒名や坊さんの話であり、孫に残せる遺産相続であり、孫ウケなのだ。
(ここに子世代の話が全く出て来ない時点で分断そのものだが気にしてはいけない)

よくテレビ局がYoutube・Twitter・Instagramの動画を編集して「世界の面白動画一挙公開!」という態の自作番組に作り変えるという事をする。
その行為自体がテレビ局、特に在京キー局体制に対する批判的な意見を呼び起こしやすいのは事実だ。
「番組制作費用をケチっている」「自分たちで面白いアイデアを作れないから」等々の文脈で。

だが、こうも言い換えられる。
新聞テレビにとってYoutube・Twitter・Instagramというのは自分たちの理の範疇外にある、外国と同じ異界だという事だ。
たとえそれが同じ日本国内であっても。


③日本のジャーナリズム、ガラパゴス論

ここに注目すべきツイートがある。

上のツイートに添付されている表は英米仏独中露日、7カ国のジャーナリストたちの意識調査の内容だが、米英仏独4カ国が似通った傾向の中で、自由主義国の中で日本だけが異常である。

  1. 「事実をありのままに伝える」項目が7カ国最低、それどころか非自由主義国の中露よりも下という惨状。

  2. 「政治リーダーを監視・精査する」項目が7カ国中最高

  3. 「人々が意見を表明できるようにする」項目、7カ国中ぶっちぎりの最下位

  4. 「客観的な観察者する」項目、6位ロシアに17p差の7カ国中最低

  5. 「政治的アジェンダを設定する」項目、7カ国中ぶっちぎりの1位

  6. 「世論に影響を及ぼす」項目、中露並みの高さ

総合すると、「政治リーダーを監視・精査する事ばかりに熱中する傍らで、客観的な観察者たる責務や事実をありのままに伝える責務への意識が非常に低く、多様な意見表明の場を奪い人々の口を塞ぐ一方で、政治的アジェンダを自ら設定して世論に影響を及ぼす事に罪悪感が薄い」という事になる。

どうやら、「知らしむべからず、よらしむべし」の精神は今だに健在のようだ。特に新聞テレビ通信者にお勤めのオールドメディアのジャーナリストの方々はその傾向が強い。

その事に、嫌悪感と忌避感を抱かれているとも知らずに。


オールドメディアの緩慢な自殺

最初に「オールドメディアは市場と顧客層を理解している」と言った。その持論は変わらない。
しかしそれ故に、オールドメディアは顧客層と共に老化したのだ。
そして、高齢化という太い顧客層を失うのを恐れる余り、大胆な体質改善を行う時期を完全に失った。
さらに、企業としての公的責務に厳しい視線が向けられる現代において、フェアネスと個人の自由と意見を重視する中年層以下からは厳しい眼差しを向けられている。

それだけならまだいい。
オールドメディアの顧客層がYoutube・Twitter・Instagramを異界と見做すのと同様に、Youtube・Twitter・Instagram等々をナチュラルに使いこなす若年層から見れば新聞テレビというのは「自分たちの理が通じない異界」なのだ。

そんな異界に毎月4000円前後の金を払うだろうか?
サブスクに払った方がマシだと考えるであろう。

オールドメディアの残された道は「老化からの緩慢なる衰退、そして死へ」だ。

いや、むしろ「緩慢な自殺」に等しいであろう。





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