見出し画像

「普通」と「全然」が気になって仕方ない話

気づかないうちに癖づいて口にしている言葉がある。よくよく文脈を考えると全く筋が合っていなかったりすることがある。一昔前によく耳にした「逆に」も、だらだら使いまわしていると一体何に対する逆の話?と心の中で突っ込むことも多かった。この話が逆なんだとしたら順は何?(逆⇆順)意地悪な私はそんなふうに思う。

なじみは怖い。癖のようなものだから、意識していないとついつい口につく。最近は一度気になるとどうしても敏感になり、キャッチする機会もとても多くなったのが「普通に」だ。こどもたちだけでなく、大人も本当によく使っている。テレビではトークショーでもインタビューでも、朝のアナウンサーのフリートークでもみんな使っている。

「普通に」とは、調べてみると、いつもどおりで特別の事情がないこと・場合をいうらしい。だけど、普通に美味しい、普通にかっこいいなどなど違和感を覚える言い回しをよく耳にする。だって「普通」ってその人によってスタンダードは異なるものだから、何を持って「普通」なんだろう、と思える。普通にかっこいい場合、その人にとっては「いつも通り、変哲のないかっこよさ」ということなんだろうか。それはもはやもう、ネガティブな要素すら含んでいる気がする。だけど、「異常に美味しい」とか「異様に可愛い」も、「普通」をベースに「異常」や「異様」に分けているのだろうから、そう考えれば「普通」も表現としてはアリなのかもしれない。

どうでも良いことかもしれないが、気になり出すと、テレビをつけてもSNSを見ても、そこばっかり気になってしまう。うっかり自分も会話の中でとっさに「いや、普通によかったよ。」とか言ってしまっているんだから、どうしようもない。多分、「よかったよ」といえば味気なさすぎて、かといって飛び抜けて良かったわけでもない場合、「普通に」を足してしまうんだなあ・・・

呟きついでに、もう一つ。こちらもものすごく違和感を覚えたのが「全然」という言葉。これって打ち消しの時に使うものと習ったことがちらついて、「全然いいよ」って言われると、使い方・・・・とそこばっかり気になってしまう。食べ物の話をしていて、苦手な食べ物があるんだよね〜、「私、それ全然いけるわー」とか、この漫画全然面白いわ、とか。

口当たりの良い言葉だからすぐに使っちゃうのもわかる。でもひねくれてる私は、堂々と肯定文で「全然」を使っているのを見たり読んだり聞いたりすると、不自然に感じて仕方がない。それとも全然+肯定は今や時代の流れで徐々に変化していったものなのかもしれない。いやそもそも、全然は否定の時だけに使うものではなかったのかもしれない。私も記憶が曖昧だ。

気になったのでこの際調べてみると、びっくり。全然は打ち消しの際だけに使われるべきという根拠はなく、肯定の意味合いでも使われるのだとか。「全然」の本来の意味は、「残るところなくすべて」という意味なんだそうだ。いつからそんな?前から?私の記憶違い?今では「全然」は「とても」に置き換えられている風潮があるのも確かだ。

知り合いに流暢な日本語を話す外国人がいる。それはもう、ネイティブ日本人が、言葉選びにも遠慮なし話せるほどの達者ぶりだ。そんな彼女とたまたまスーパーの入り口ですれ違った。1週間分の買い物を済ませたのだろう、大きなバッグをふたつ下げてゆっくり車の方へ歩いていた。あ!と気づいて声をかけた。

振り向いた彼女は元気な声で、「全然大丈夫!」と答えてくれた。

なるほど、「オールオッケー」ってことね。

全然納得がいった。(嗚呼やっぱり不自然!)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?