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スパイスの世界とその見え方

スパイスというものがはるか昔から使われているのだということを伝えたくて約10年前から開催している自由大学というところのスパイス講座では簡単な自己紹介の後にスパイスの歴史を紹介することにしている。

いつからスパイスは使われてきたのであろう。

はるか昔のまた昔、まだ我々が人間でなかったころ、拾った木ノ実を何かしらで味付けしていたかもしれない。そんなことをどこかでお猿さんが拾ったきた食べ物を味付けしているところを目撃されたとかでテレビでやっているのを見て、それもある種のスパイスなのかもしれないと思った。

ある時は香りづけとして、ある時はおまじないとしてそしてある時は薬としたり、食材を保存するために使われたりと時代や環境によってスパイスの使われ方は様々である。クレオパトラは自分の船にクローブを積み、それを焚かせることによって人々を魅了したといわれている。暴君ネロのシナモンもそうなのかもしれない。病が流行るとスパイスの需要は急激に上がっていった。治療にも予防にも役立つとして価値は上がり、人々を救うために使うはずのスパイスを求めて世界各地で戦争が起こっていった。

世界中を魅了したスパイスも冷蔵技術の発達、砂糖を輸送する技術が確立されていったことで需要が低くなっていったといわれている。そしてあれほど高価で人を殺してまで手に入れようとしていたスパイスは今では簡単に手に入れることができる。

人々が進化したのであろうか。

海や山があり、太陽がゆっくりと沈んでいくように、ものすごい年月が経っても変わらないものもある。はるか昔の人がもしかしたら同じ景色を見ていたかもしれない。そして同じように感動していたかもしれない。しかし環境や生活によって見え方、感じ方が違ったかもしれない。

古よりあるスパイスも時代によって人々との関わり方が違ったのかもしれない。おまじないや魔術のようにスパイスを使っていた時代と今の時代はスパイスの見え方が違ったのであろう。争いの道具として、薬としてスパイスと関わった時代。

そして今は「食」として関わることが多くなった。

変わっているようで何も変わっていないのかもしれない。

見方を変えれば全然違う世界が広がってくるのかもしれない。

果たして我々のスパイスの見方や関わり方は世界を少しでも良い方へ向かっていくのであろうか。

次はどのような世界をスパイスは見せてくれるのであろうか。

「使っているのはあなたではなく、私なのだよ。」とスパイスの声が聞こえてきそうだ。

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