見出し画像

過去から未来へとつなげる『ススメ!シンデレラロード 井村雪菜 / 伊集院惠』。

『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』(以下『デレステ』)において2024年5月22日~28日、イベント『ススメ!シンデレラロード』が開催されている。
そのイベントコミュを両ルートともに読了したので感想などなどを語ることにする。

<伊集院惠 編>


初っ端からロマンティックツアーズ(伊集院惠&江上椿&相馬夏美&並木芽衣子)の全国縦断『ROMANTIC JAPAN TOUR!』が大成功のまま終了を迎え、そのままの勢いで「重大発表!」として世界ツアーの開催が決定する。
いやいや、重大発表にもほどがあるだろう。
画面の向こうのロマンティックツアーズはそんなに人気ユニットなのか。
そこまでの格を与えているのであれば、もう少し扱いが良くても罰は当たらないと思うのだが。
どうしてもその全員が未だにボイスなしなんでしょうねえ。
あれれ~?おかしいな~~~???(某少年探偵風)

運営への皮肉はともかく、それから数カ月後、イタリアのヴェネツィアから世界ツアーはスタート。
ほ、本当にやりやがった……!
その後はドイツのブレーメン、フランスのパリを経由しての千秋楽公演がイギリスのロンドン。
小学生でも知っているであろう世界の名所しかない。
しかも4都市も。
一体どれほどの経費がかかっているのやら。
逆に言えば、ロマンティックツアーズはそれだけかけても十分に利益を出してくれるだけのユニットだということだ。
改めて我々は彼女たちに対する認識を改める必要がある。

ヴェネツィアのホテルの部屋では惠に「日頃の感謝の気持ち」として他の3人からプレゼントが贈られた。
イタリアのアンティークのティーセットとアラビアの花瓶、そしてダリアの花&大きなクマのぬいぐるみ。
ぬいぐるみは椿からだと思うが、残りの2つはティーセットの方が芽衣子からだろうか。

惠にとって旅は「自分の心と向き合うこと」だという。
ドイツにて「旅は勇気、直感、度胸」なんて話をするが、これはモバゲー版『アイドルマスターシンデレラガールズ』(『モバマス』)の『シンデレラガールズ劇場』696話『旅行に大切なモノ』からの引用で、この回はまさにロマンティックツアーズが勢揃いしている。

意外と体育会系。

古参ファンにはなんとも嬉しい遊び心であり、「そういうのもっとちょうだい!」と言いたくなる。
そして、その芽衣子がドイツにて「ライブでトロッコに乗りたい」と言い出したことから物語は大きく動き出すことになる。

ロマンティックツアーズは実は最初、惠と夏美の2人だけのユニットとしてスタートしている。
こういうことを言うと「当時モバマスの仕様で云々」などと毎度ツッコんで来る人間がいるのだが、今回のコミュでそれこそが正史であると明言されたのは私にとって僥倖だった。
今後その手のツッコミはノーサンキューでーす!
デュオとして「LIVEロワイヤル」に出場したエピソードも飛び出し、モバマス老人会感涙
自由で衝動的な夏美と理性的な惠。
夏美はアイドルになったきっかけからしてまさにその通り。
だが夏美曰く「惠と近過ぎる」。
悩む惠にプロデューサーは一計を案じる。

パリ公演前日、シャンゼリゼ通り。
「サプライズゲスト枠」として間中美里が合流し、ロマンティックツアーズ+ジャーニースター(伊集院惠&並木芽衣子&間中美里)=シャイニング・トラベラーズが完成する。
シンデレラガールズユニット計算企画、いつかやりたい。
実はユニットの成り立ちとしてはロマンティックツアーズよりもジャーニースターの方が4ヶ月以上も早いお姉さんユニットだったりする。
プロデューサーが当初から計画していたかどうかは我々には知り得ないが、ともかくこれで最後のピースが揃った。

と思いきや、いきなりその美里が迷子になる。
実際はセーヌ川で「ふわ旅」を楽しんでいただけだったのだが、すったもんだの末、惠は「みんなといっしょであることは大歓迎の不自由さ」だという知見を得る。
惠曰く、
芽衣子との旅は未知のときめきに満ち、
椿との旅は出会いの連続で、
美里との旅は保護者にでもなった気分になり、
夏美との旅はもっと広い視野で世界を俯瞰することを教えてもらって大人にしてくれた、
という。
やはりと言おうか、夏美との旅への想い入れが相当強い。
完全体となった5人は改めて『SHINNING WORLD TRAVEL!!』を敢行する。
(観光だけに)

トロッコの次は気球のオブジェで空の旅を、とのアイデアも飛び出すもプロデューサーは秒で了承。
「アイドルが望んだものを叶える、それが仕事」
か、かっけぇーっ!
お、おい、このコミュのP、超有能だぞ?
全てが噛み合い、世界ツアーはもちろん大成功。
最終ロンドン公演に詰め掛けた日本からのファンたちの「ハローみんなレッツ始めてみないか!シャイニング・トラベラーズ追っかけの旅を!」の呼びかけに現地組たちが一斉に呼応する。
その波及、なんとうらやましいことか。
見習え現実世界。

「きみと行くから、オンリーワンの景色になる。」と銘打たれた世界ツアーは大好評の内に幕を閉じた。
それから数ヶ月後、惠のいるカリブ海。
ノルウェーで現地の子供たちと戯れていた芽衣子が、奈良で紅葉を楽しんでいた椿が、オーストラリアのエアーズロック手前にいた夏美が、インドで有名映画の聖地巡礼をしていた美里が、同じタイミングで一同に介する。
なんという偶然。
示し合わせてもいないのにあまりにもよくできた合流。
いや。
ありえる。
シャイニング・トラベラーズならそれが。
どの空の下にいたとしても、目指している場所はひとつなのだから。
世界ツアーを成功させた彼女たちの次なる目標たるやいかに。

旅慣れし過ぎて雪のノルウェーでもノースリーブで笑顔の芽衣子。


<井村雪菜 編>


コスメ広告の撮影中の雪菜をカメラマンが「商品の引き立て方をよく分かってる」と絶賛。
雪菜はそれに「たくさんのものを目立たせようとすると逆に全体がぼやけて見えちゃう。だから『これ』って決めたものをしっかり目立たせる」と答える。
なるほどよく考えている。
普段ぽやぽやして見られがちな彼女のイメージを覆す鋭さ。
シンデレラガールズには190人ものアイドルがいる。
その中で目立つにはどうするべきか。
桐生つかさがよく言う「自分こそが商品」との自覚に通じるものがある。

井村雪菜ルートのメインユニットはハートウォーマー(井村雪菜&杉坂海&藤居朋)
念願のユニットライブを行なうことが決まるも、デレステプロデューサー伝家の宝刀、「自分たちで全部考えて」が炸裂する。
あ、あれれ~?おかしいな~?伊集院惠ルートのPはあんなに有能だったのにな~???(某少年探偵再び)

こちらのルートでもユニット結成時のエピソードが披露される。
ロマンティックツアーズと同じくハートウォーマーも最初は海と朋のデュオユニットであり、初登場の約3ヶ月後に雪菜が合流している。
今回のシンデレラロードをこの二組にした理由がもしその共通点にあるなら、ライターさん、実に遣り手。

ライブに「ハートウォーマーの良さをこれでもかと詰めもう」ということになり、朋の手相占い、雪菜のメイクアップ講座、海の料理を振る舞う会、レッスン風景上映会などなどのアイデアが次々と出るもどれも決め手とはならず。
ちなみに雪菜のあのぬいぐるみは手作り。
名前は「チャッくん」
お口チャックだから「チャッくん」。
知名度低過ぎません?
モバマスの2018年のエイプリルフール企画の「シンデレラガールキャラクター総選挙」にエントリーすらさせてもらってない(涙)。

最初のカードからいます。
こんなにもアピール。

あと海の煮込みハンバーグは絶品らしい。
ハートウォーマーコラボカフェ開催急いで!
紆余曲折の末、ライブコンセプトは「ファンに何かをしてあげたい」と決まる。

ハートウォーマーは朋19歳、海18歳、雪菜17歳の年子トリオ。
最年少にして最後に加入した雪菜にとってはふたりは姉的存在。
海は面倒見のいいまとめ役で、朋は歩調を合わせていざという時に頼りになる存在。
そう、最年長は朋である。

もはやお約束のやり取り。

「雪菜はハートウォーマーの引き立て役なんかじゃない」
海はそうきっぱりと告げる。
3人並び立ってこそのハートウォーマー。
必要以上に先輩ふたりに対してコンプレックスを持ち、未だにそれを引きずる雪菜。

すれ違い始めた雪菜を救ったのは相原雪乃だった。
雪菜とは佐城雪美を加えたトリオユニット『Snowing Princess』を組む関係にある。
言わずもがな、3人ともに名前に「雪」が入っている。
他にもデレステの営業コミュ『思い出いっぱい、秋の里』でもいっしょだった(あとのメンバーは奥山沙織、喜多日菜子、十時愛梨)。
そう、雪菜を大事に想っているのはハートウォーマーの仲間だけではない。

雪菜の「自分のいいところ探し」は続く。
そんな最中、彼女の幼稚園の卒業アルバム流出事件が起こる。

スタンプ適正のあり過ぎる朋。

あるもんですなあ、そういうことが。
人気商売怖い怖い。
が、それをきっかけとして3人の思い出話に花が咲く。
海と雪菜、ふたりともが幼少期は髪が短いボーイッシュスタイルだったとか。
よくもまあこんなにもビューティーレディーになられて。
逆転の発想。
ライブグッズの目玉商品が思い出のフォトアルバムに決定する。
巻末に余白部分があり、ライブ後のことを埋められるメモ用紙になっている。
今までを懐かしみつつもこれからをみんなで作る。
グッズも、ライブも、彼女たち自身もまさにそう。

雪菜のソロパートの演出は海と朋が考えたという、ひとりひとりが輝けるライブが大成功で終了し、ハートウォーマー専用のフォトアルバムには「絶対に欠かせない大切な人」としてプロデューサーの写真も収められた。
これ以上ない大団円。
井村雪菜にはもう虚勢や作り笑顔のメイクは必要なくなった。
みんなの心を温かくするにはまず自分たちの心が温かくなくては。
当たり前だが、それこそがやはり真理。

<総括>


私は以前、「カード枚数から見るデレステで最も不遇なアイドルとは。【2024年4月30日現在】」なる記事を書いたが、その最下位であった井村雪菜がこうして『ススメ!シンデレラロード』に採用されたことは非常に喜ばしい。
ストーリーのあるこのイベントならなおさらのこと。

これが
こうなった。

今までの扱いが悪過ぎた分、「報われた!」ととても手放しでは喜べないが、単独最下位脱出というのは担当Pたちにとって大きいに違いない。
奇しくも同じくこのリストにランク入りしていた伊集院惠もひとつランクアップ。
いいぞいいぞ。
格差なんてどんどんなくなれ。
過去から未来へとつながった今回の2つのシナリオ、ふたりのアイドル。
どうか他にもこんなにもいるアイドルたちにも浮上のための翼を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?