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パンの袋をこそ再利用すべし。

 スーパーで貰える袋が有料化されてしばらくが経つ。

 それから起きたことと言えば、『袋を買う』ことだろう。

 なんだかなあと思う一方で、あれのない生活ももはや考えられないくらい、あの袋は生活に定着してしまった。薄いながら、よく働いてくれるやつだ。

 ただあれを締め上げた理由も、よくわからない。なんのためにビニール袋が誕生し、それから紆余曲折があってポリ袋が誕生したのか、まったく経緯が無視されたままこうなってしまったのは、なんというか知性の敗北を感じないではない。

 海に漂う袋をイメージしたのだろうが、それはゴミを分別、廃棄する際の不手際が問題なのであって、総量を減らしたとて、最終処分やそれにいたるまでの段階の『ガバ』が解消されないのであれば、海洋ごみ問題は一生解決しないはずだ。

 そこんところ考えると、パンの袋はすごいな(CV:大木こだま

 パンの袋、最高。

 めっちゃ丈夫。柔らかいパンを傷つけないために、めっちゃ丈夫。

 しかもパンをカチカチにさせないための保湿性も抜群。

 それでいて毎週出る。六枚切りのパン、日曜日に買って土曜日に食べきる。単身でこれなのだから、家族のいる家だと毎週二枚は出るだろう。

 これにもっと、フィーチャーの光をあてるべきだ。

 生ごみには持ってこいだ。パンがダメにならないように、においも湿気もそこから漏れ出ることはない。半透明の小袋と違って、パンを包むほど丈夫な作りなので、魚の骨のようなとんがったものを入れても穴は開かない。

 また、やはり丈夫さを活かして、これを簡易の手袋に出来る。

 爪が多少あたろうとも、破れることはない。髪の毛で埋まる風呂場の排水溝に手を突っこむときなどには、これが一番だ。古い歯ブラシはよく言われるが、そこにまとわりついた髪の毛を見るのは身の毛がよだつ。

 においも水も漏らさないパンの袋は、家庭から出る最小限の汚さに効果抜群なのだ。

 分別に困る、というのも些末な話で、石油由来の袋を手に取った以上、そこは避けて通れない煩悩だ。これを吹っ切るためには。あらゆる石油由来の製品を体から離さなければならなくなる。

 人間そう強くは出来ていない。

 でも、パンの袋は強い。したたかで、丈夫だ。

 今日も排水溝の髪の毛を、根こそぎ包んで持って行ってくれた。

 だから髪の毛よ。

 そんなに流れ出ないでください……。

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