本当のことを言えなかった

「恋人でも作ったら楽しいんじゃないの？」
という意のことを言われた。

そうかもねぇ、なんて笑って流したのだけど、嘘をつきたい相手ではなかったから苦しかった。私が本当は恋愛を"したい"とさえ思っていないこと、過去に恋人ができたことはあるけど"恋愛ができなくて"別れてしまったこと。本当は本当のことを言いたかったけど、怖くて言えなかった。一度人に伝えた事実はもう無かったことにはできない。覆水盆に返らず。それが怖い。自分の腹を痛めて産んだ子供が"恋愛できない"し子供をもうける気もないと知ったらどんな反応が返ってくるのか。私の身内の感じであれば、受け入れてくれる可能性もそれなりにあるとは思う。ただ、がっかりされたり、受け止めたふりをして実は内心で悲しまれたりしていたら…。私それを想像しては不安になる。伝えなければ悲しませなくて済むなら、それでいいと思った。だから笑って流した。でも、なんか、鈍い澱のようなものが私の心に落ちた気がした。

私が恋人のいない「今」を100%充実して幸せに過ごせていたら、まだ良いのかもしれない。あなたは一人で大丈夫だもんね、と言われるような私であればまだ良かった。でも、私は正直今とてもつらくて、家族に頼ったり、職場の人に迷惑をかけたりしていて。別に大したことはない、きっとたぶん誰もが通るような「つらさ」の只中にいるだけなのだけど、中々それを乗り越えられずにいる。ふいに涙が出て、弱音でいっぱいになってしまう。でも、だからってそこに恋愛をあてがってもらいたいわけではないのだ。そんな私のことを、全ての人に理解してもらうのは難しいと思っている。

自分でも、私がひとりで生きていけないことは分かっている。前述した「過去の恋人」と過ごしていた時期、全てが苦しいわけではなかった。自分を大事にしてくれる他者がいて、大事にしたいと思える他者がいて、他愛もない話をし合えること。どこかへ出かけたり予定を立てたりして、笑い合えること。その尊さは、彼から教えてもらったと思ってる。だから、人のいう「恋人のいる幸せ」が全く分からないわけじゃない。今私が一人で抱えているものを分け合える相手がいれば、それは確かに何かが軽くなるんだろうなと思う。でも、私はそれでも、今の人間関係に恋愛感情や性愛を持ち込みたくないと思っているんだ。近すぎる人間関係は、苦手だ。たぶん、私がほしいのは、"共感や共有ができる相手"なんじゃないかなと思ってる。周りに、そういう相手が全くいないわけじゃない。だから、今こんなことを考えているときに頭に浮かぶ人たちを大切にしながら、私の望む関係性、在り方を模索していくしかない。と、思ってる。恋愛しない＝ひとりでいる、わけではないと、私は自分にも言い聞かせて、色んな重たい気持ちを分散させていきたい。うまく人に助けてもらいながら、生きられるようになりたい。そうしないと、つらい。

……久々に吐き出してしまった。長めの文章を書いたのは久しぶりだ。noteの投稿は久しぶりだけど、いつもnoteや他のSNS、書籍やドラマや動画は見たりしています。あとAroAceの活動をされてる方の取り組みや交流会とかも、調べたり、たまに参加したりしています。こういう、名前も知らないけど似た感覚を持った人たちの言葉や取り組みに、私は日々微かに、でも確かに救われている気がする。だから、少しだけ、久々にここにも本当のことを垂れ流してみた。自分を折らずに、社会を嫌いにならずに生きていきたい。そう思ってる。