NSNO Vol.29 エバートンFC 23-24シーズン 選手レビュー
NSNO Vol.29 エバートンFC
23-24シーズン 選手レビュー
◇はじめに
23-24シーズン、エバートンFC選手レビューをお送りします。
例年続けてきた寸評も20-21シーズンから数えて4回目となりました。今回は全ポジションを一挙にまとめ、各選手295〜300字に収めました。
筆者の主観による内容となりますが、ぜひ皆さんのお声、想い、ご意見もお聞かせいただけると嬉しい限りです。愛を込めて綴りましたので、恐縮ではありますが、最後まで楽しんでいただけると幸いです。それでは、どうぞ。
(※当初、おまけコーナーとしてアカデミー選手を複数名取り上げようと試みておりましたが、直近の契約ニュースがショックすぎて今回は見送ることとしました。U21からはウォリントンのみピックアップしています。申し訳ありません。)
GK
Jordan
Pickford
1🏴
ジョーダン・ピックフォード
威風堂々。19-20以来のPL全試合フル出場、セーブ率73.9%はここ3季において最も良い数字で、CS数(13)ではアーセナルのラヤと再終盤まで競り合った。xG Prevented(5.5)ではリーグ4位、要所でビッグセーブを連発。ショート(144/145本)、ミドル(378/390本)のパス精度を維持しつつ、ロングパスは過去最多(461/1,031本)、カルロ期(686本)に比べ345本も増加した……レシーバーに依存したストロング・ポイントだ。クラブの顔は3年連続の最優秀選手賞を手に、胸を張ってEUROの舞台へ赴く。守護神からの卒業は先延ばしのまま依存度は高まるばかり。目指すは脱却か伝説か。
João
Virgínia
12🇵🇹ジョアン・ヴィルジニア
「様々な国とスタイルで多くを学んだ」と語る通り、ポルトガルとオランダでの経験を糧に、いよいよ掴んだ第2GKの座。年明けFA杯クリスタルパレス戦では正確なポジショニングで痺れるセービングを披露。多くのファンを驚かせ安定したパフォーマンスが光った。POTMに選出されるなど確かな期待を抱かせ、「正直、エバートンに恋をしている」ほどの大いなる野心は、トレーニングやミーティングでの姿勢にも反映。指揮官はそのプロ意識に対し賞賛の声を与えている。ピックフォードから吸収できる技術を蓄え、常に準備は整っているだけに来季はリーグ戦での出場を確保させるべきだ。契約期間は残り1年、勝負のシーズンはもう始まっている。
Andy
Lonergan
31🏴アンディ・ロナーガン
15クラブ以上を渡り歩いた流浪の仕事人。その第3GKと袂を分つことが決定した。リーグ戦での出場はとうとう叶わなかったが、ピックフォードはもちろんのこと、若いヴィルジニアやクレリンのサポートを続けた貴重なポジションは、決して他に真似できない役割だろう。セルウェルが「才能あるグループに経験をもたらした」と述べたように、見えない部分への価値を感じさせてくれた。クラブの動画企画に度々登場するライアンとのトレーニング・セッションはとても微笑ましく、将来どこかのチームでGKコーチとしてのキャリアを歩む姿が容易に想像できる。今季で40歳の大台に乗った。次の舞台でも彼の活躍が聞こえてくることを願っている。
DF
Nathan
Patterson
2🏴ネイサン・パターソン
難しい1年だった。開幕スタメンを勝ち取り、攻撃的かつハートを全面に押し出すプレースタイルは好感も、チーム状況と重なるように失速。徐々にペースを盛り返し代表招集、22歳と世代的にも期待を寄せる1人なだけに、軌道に乗りかけたあとの負傷が悔やまれる。コンディション最優先のダイシ・エバートンにとってはヤングが序列の上位。加えて中盤戦のレギュラー争いではゴドフリーの後塵を拝するなど、険しい道のりを歩むことになった。怪我の回数を減らし、指揮官の信頼を掴みたい中で例の平手打ち事件は気の毒でしかなかったが、クラブはコールマンとヤングへ延長のオファーを打診するなど、若者へ追い風が吹くには時間がかかりそうだ。
Michael
Keane
5🏴マイケル・キーン
歳月不待、プレータイムは昨季の985分から439分へと減少し、ブランスウェイトの台頭で瞬く間に居場所を失った。記憶に新しい光景は、得点力不足に陥るチーム状況下、パワープレーで投入されたCFでの起用。本来のポジションではない皮肉なものだった。この夏の放出候補リストに加えられたとの噂もあり、守備陣の健闘が光ったシーズンにおいて僅かでも貢献できなかった悔しさが募る。真面目すぎるが故、大きな期待を背負って精神的に追い詰められた過去を乗り換え、本来の強さを証明する時は訪れるだろうか。もしそれがエバートンではなかったとしても、真面目に向き合ってきた時間は嘘をつかないはずだ。今夏の動向を見守りたいひとり。
James
Tarkowski
6🏴ジェームズ・ターコウスキ
「近年のフリー移籍で最も優れたビジネス」と称されるターコウスキは、まさにチームの防弾チョッキ。数えきれない被弾を全身で受ける瀬戸際のブロックは欧州5大リーグでNo.1の数字を残し、今季も苦しい展開において頼れる防波堤であり続けた。また、相手の対策を力でねじ伏せるセットプレーの脅威も健在。自身に注意を集めることでDCLのゴールを実質アシストしたダービーマッチは印象的だった。ハイラインの背後を突かれる危うさが見えたものの、ブランスウェイトという最高のバディを手に入れ"鬼に金棒"、リーグ屈指のディフェンスを築いた。チームの不調時には苛立ちを見せたが、要所のプレーで示したキャプテンシーは評価すべきだ。
Ashley
Young
18🏴アシュリー・ヤング
限られた資金でダイシが選んだのは歴戦のプロフェッショナル。ところが、リバプール戦の退場劇、ブライトン戦のOG、アーセナル戦での失点関与にハンド疑惑…褒められない場面は多岐に及ぶ。しかし、当初想定されたであろうプレータイムを大幅に超え2,280分の出場時間は幾度となくチームの穴を埋め続けた証左でもある。優れたユーティリティと90分走れるフィットネスは日頃の努力の賜物。その姿勢たるやチームメイトから「変人」と喩えられるほど。明るいキャラクターがチームの士気を保つメリットの裏で、若手の居場所を失う弊害を蔑ろにはできない。クラブは延長オファーを提出、鬼神(奇人?)の勇姿をもう1年拝むことになりそうだ。
Vitalii
Mykolenko
19🇺🇦ヴィタリー・ミコレンコ
フィアンセとのウェディング・フォトや、日頃のインタビューでも伝わるミコレンコの優しさ、滲み出る好青年っぷりは、ピッチ上においては直向きな逞しさへと変化する。クリスタルパレス戦でのヘディングゴール、ブライトン戦の巧みな左足のショットから再度押し込んだ右足でのフィニッシュ、ペナルティエリアへエントリーする思い切りの良さが顔を出し始め、時間を経るごとに成長の兆しを見せている。EURO予選を勝ち抜いた後、シーズン終盤で負傷離脱したことは悔やまれるが、思えば今季も怪我からのスタートだった。チームに加われない時間も「監督が親身になって相談に乗ってくれた」と感謝したように、彼はきっと強くなって帰ってくる。
Ben
Godfrey
22🏴ベン・ゴドフリー
鍛える「剛」、受け入れる「柔」、挫折を乗り越えたスピリットは、メンタリティを重視する指揮官からの再評価を受けた。またも本来のポジションとは異なるSBでの出場機会。ライバル達の負傷離脱によって訪れたチャンスをモノにしたとは言い難いが、未勝利期間の難しい折と重なった背景もある。チームが波に乗れない歯痒さと並行しつつ、一時は失った居場所を取り返すに至った。攻撃へのアクセスとしては計算しづらいが、ギリギリの場面で身体を投げ出すストッパーとしてダイシイズムにコミットできる力量にある。他クラブからの関心も集まる中、来季も競合ひしめくポジション争いで持ち前のダイナミズムを失わずにハードワークするのみ。
Séamus
Coleman
23🇮🇪シェイマス・コールマン
苦いOGの味も、主将にかかれば歴戦の武勇伝に添える一種のスパイス。フル稼働は難しいシーズンが続くが、ピッチに立てば若者と遜色なく期待以上のパフォーマンスを見せるのが主将たる所以。エバートンが彼の全てを支配し、己の全身でエバートンを体現する。姿勢と熱量を示し、迷うチームを鼓舞し続ける。進退の問われる来季、クラブは慰留のため正式にオファーを打診。最近のジョンジョ・ケニーによるインタビューにあったように、越えなければいけないコールマンの壁は並大抵ではない。結局、正真正銘と言える後継者は未だ不在。再び、グディソン・パークでの猛々しい咆哮と"60 Grand"のチャントを聴きたい私がいるのも本音である。
Jarrad
Branthwaite
32🏴ジャラッド・ブランスウェイト
アンチェロッティが「類稀なる才能」と太鼓判を推した原石は、更なる成長を遂げ底しれぬ大器へと変貌。PSVで培った自信はすぐにピッチ上で証明された。196cmの体躯とストライドを生かした、どこまでも届きそうなスライディング、躊躇なく迎撃できるスマートなタックル、アグレッシブなハイラインを可能にするミドルサードでのポゼッション。ここぞという場面でネットを揺らす冷静さ。弱冠21歳でペース、パワー、エナジーを兼ね備え母国を代表するCBに。集まるビッグ6からの熱視線、「隠し続けることは不可能」な夏、クラブにもたらすのは利益か維持か。いずれにせよ、我々の目に焼き付けた迸るシーンは決して色褪せることはない。
MF
Amadou
Onana
8🇧🇪アマドゥ・オナナ
ゲイェと同じルーツを持ち、信仰深きベルギーの俊英であり逸材。エアバトルの屈強さは挨拶がわりの一撃に過ぎず、本来の魅力は懐の広いボール・テクニックと、長い手足でボール・ボルダーを捉える守備センス、まさに万能型の移動要塞だ。時折繰り出すミドルレンジのハイ&ローを使い分けたロブパスは秀逸で、フィニッシュワークに関わるクリエイト力が備われば欧州屈指の階級に肩を並べられる。パーソナルな部分でも成熟しており、ピッチ外のロールにおいても年齢にそぐわない自覚と野心を持つ。主将としてEUROへ挑む夏、オナナの視野は更なる上のステージに向けられた。澄んだ歌声同様に、ビッグクラブで奏でるハーモニーを聴ける時は近い。
Abdoulaye
Doucouré
16🇲🇱アブドゥライエ・ドゥクレ
昨季復活を遂げたドゥクレは従来のBTBタスクではなく、先鋒から奇襲をかけるアタッカーに。優れたフィニッシュ精度でシーズンハイの7得点を挙げ、不振に陥ったエースをカバー。一方、前線でのポゼッション時に周囲とのパスワークやカウンター起点の展開力に難があり自軍がピンチを招く一因に。4-4-1-1(4-4-2)でハイプレスを主導するメリットはあるが、ピッチを縦横無尽に走る機会が減ってしまったことで魅力が半減。例年通り中盤戦で疲労が重なり失速したものの、自身を含むスリー・マンセルに切り替えた終盤戦ではチームの守備強度が改善、本来の持ち味も発揮された。契約最終年を迎えキングとして今以上の奮起が期待される。
Dele
Alli
20🏴デレ・アリ
想像を絶する告白だった。幼少時に受けた虐待、ボールを片手にドラッグを販売し命の危険に晒された過去、睡眠薬を過度に摂取した依存症…かつて欧州屈指の舞台で華やかな道を歩んだかに見えるデレ。その裏にはフットボーラーである前にひとりの青年として抱えた苦悩が介在していた。今季末で契約終了を迎えるが、チームはメンタルヘルスと手術後のリハビリを中心にケアを続行。エバートンで輝く以前に、プロとして新たな歩みを決断したデレの強さを賞賛したい。「また代表のユニフォームを着てピッチに立ちたい」言葉の奥にある強い決意。長い人生において遅すぎることはない。稀代のプレーメーカーは、再び自身の足で懸命に立ち上がった。
André
Gomes
21🇵🇹アンドレ・ゴメス
シウバ期にバルサから加入したマエストロは、確かな足跡を残しチームを去る。ハードワークとフルタイムを走り切るフィットネスが求められるダイシ・フットボールにおいて、ゴメスのスタイルがマッチするかは懸念があったものの、指揮官も認める戦力として残留に貢献。相変わらずPL特有の速さ、トランジションのイーブンな場面やプレスバックでは拙さを見せたが、ボールを捌く姿には彼らしいセンスを覗かせた。ハイライトは白眉な直接FKを決めたFA杯、クリスタルパレス戦。大怪我以降、期待されたパフォーマンスには至らなかったが孤高の存在として常にクールな姿が好きな選手だった。怪我と隣り合わせ、ガラスの足は次の道を歩み始める。
Idrissa
Gueye
27🇸🇳イドリッサ・ゲイェ
「自分の経験を適切な場面で生かすこと」後輩たちへプレーで示した34歳は、所属史上最高のパフォーマンスを披露した。不確実さに覆われたチームの動力源として活路を開き、「いつでも誰かを助ける準備はできている」という言葉通り、残留争いに沈むエバートンを窮地から救った。6番としてのボールハントだけでなく、8番ロールをこなすアグレッシブな攻撃的守備を徹底。ダンジュマというソウルメイトの支えもあり、自身の記録を塗り替えた4ゴールはいずれも値千金の結果をもたらした。契約延長オプションを実行すればヤング同様の弊害を産むが、「信仰がなければ今の自分は無い」=貴方がいなければ今のエバートンは無いと胸懐の念を抱く。
James
Garner
37🏴ジェームズ・ガーナー
元監督のランパードは「デイビスとガーナーを競わせたい」と語った。軍配は後者に上がり、キャリアで最も大きな怪我により出遅れた昨季終盤戦に復帰。真価の片鱗を見せつけ、世代別欧州王者の戴冠を得て挑んだ2年目が今季に当たる。名物"ガファーズ・デイ"を回避するも、今や欠かせない"ファイター"としてダイシ・スタイルに順応。プレータイムは3,000分を越え主軸として君臨、身を粉にして戦う姿が印象的で、タックル数(83)はチームトップ。本人は自身の長所に「創造性」を挙げ、攻撃性に磨きがかかれば順位に直結する存在になれる。過酷なハイ・ターンオーバーを厭わないエリートは確かな技術と静かな闘志でチームを牽引する。
Lewis
Warrington
51🏴ルイス・ウォリントン
広い視野とパスレンジ、その才能はプレシーズンでも確かに表れていた。6月を迎え、チームの契約更新者にルイス・ウォリントンの名前は無かった。ローン・マネージャーであるヴォーン主導のもと、数々の武者修行で経験を積み重ね、今季終盤に念願のPLトップデビューを果たした。シーズン・チケットホルダーであるほどの家族ぐるみでエバトニアン。ヒーローはベインズ。感銘を受けたランパードは2022年に新契約を結び、まさにこれからが楽しみな選手だった。衝撃的なニュースにクラブの厳しい情勢と疑念、甘くない世界の険しさを見る。生粋の夢を抱いたエバートンを離れ、この悔しさの全てをあなたの正解に、我々の後悔へと繋げて欲しい。
FW
Dwight
McNeil
7🏴ドワイト・マクニール
得点力不足に嘆いたシーズンで気を吐き続けたチーム屈指のチャンス・クリエイター。イウォビ、グレイ、ゴードンといったアタッカーを欠き、攻撃の手綱を一手に引き受けたワイドマンは、SCA:130というダントツの数値を残し、クロス、セットピース、ショット、キャリーを駆使しながら相手ゴールに迫った。攻撃に限らずフルタイム走り続けるスタミナも大きな武器。弛まぬ献身性でスプリントを繰り返し、ダイレクト・スピードを信条とするチームの鍵を握る存在に。(H)フォレスト戦では圧巻のミドルショットでネットを揺らしたのがハイライト。ドリブルでのテイク・オンに課題を残すが、来季は味方を生かす10番ロールにも期待したい。
Dominic
Calvert-Lewin
9🏴ドミニク・カルヴァート-ルウィン
クラブのPLゴール記録に迫るエースは、オフ返上でフィットネス向上に励み、晴れて負傷の呪縛から解き放たれた。しかし試練は終わらない。プレータイムを稼いでも、肝心の得点を重ねられない負のスパイラルに直面。常に批判や自身と向き合い、9番としての責任、先陣を切る意味、エバートンを背負って立つ気概を模索し続けた。(A)ニューカッスル戦で沈めたPKは強い覚悟と成長の証。その表情は、若手として花開いたフェーズからクラブを象徴する存在へと熟す段階へ。再び抱いた代表への憧れ。首脳陣は来年末に切れる契約に備えてオファーを敢行。疾風勁草、苦しみを大きな糧に、折れない草木同様にその居場所を誰にも譲らない柱となれ。
Arnaut
Danjuma
10🇳🇱アルノー・ダンジュマ
クラブが長期に渡りターゲットにしたウインガーは、ハイジャックの末にどこで気流に飲まれたのか、不遇のスパーズ便から乱高下の激しいエバートン航空へ乗り換えた。低空飛行で終えた1年、監督がランパードのままであったなら、違った未来があったかもしれない。セルウェルとパーディが獲得へ尽力した背景があるも結果は失敗。独力での突破と鋭利なカットイン、EFLやスペインで評価を得た姿はダイシの構想で理想的な成長曲線を描けずにフェードアウト。ゲーム・チェンジャーの称号を得られずに退団が決まった。ゲイェや同じ信仰を持つ仲間との結びつきはポジティブな効果をもたらしたが、10番のポジションは未だ確信を持てないままだ。
Jack
Harrison
11🏴ジャック・ハリソン
降格したリーズからローンで獲得。怪我の治療からスタートした今季、ビエルサ仕込みのハードワーカーは復帰後から即座にチームへ適応。アグレッシブでハイ・エナジーな駆動力はピッチの端から端までリカバリー。ポジティブ・トランジションでは勿論のこと、優れたテクニックとアジリティを駆使し、ラインを割りそうなロングボールをポゼッションに変える技術の高さも兼ね備える。本人は未だマージーサイドに定住しており、ダイシ陣営は再獲得を熱望、実質マクニールとドビンしかいないワイドエリアを補強するマスターピースとして交渉に入る。(H)ボーンマス戦での甘美なループ・ショットは多くのファンがベスト・ゴールに挙げるハイライト。
Beto
14🇵🇹ベト
豪快な推進力と、相手を弾き返すフィジカル、イタリアで名を挙げたポルトガルの重戦車がデウロフェウの助言を受けてプレミア初挑戦。カラバオ杯でのデビューゴール、(H)ニューカッスル戦で圧巻の突破力、ガーナーのピンポイントクロスを完璧に仕留めた(H)ウェストハム戦など大味かつ得意なシチュエーションでアピールしたものの、プレータイムは1,000分に満たず。悔しい表情が先に蘇る1年目で、聳える9番の牙城を崩せなかった。終盤戦、脳震盪で倒れ担架で運ばれるシーンでは力強くグッドサインを送ったように強い精神力がベトの長所。オフは日本でリフレッシュ。蘭の花ように香りを閉じ込めず、魅力を解放する勝負の2年目へ。
Youssef
Chermiti
28🇵🇹ユセフ・シェルミティ
財政難に苦しむクラブが、大金を費やして獲得したスポルティング産の若き才子。U21で調整しつつトップチームに帯同。世代別代表に選ばれ続けるエリートで、今季は代表戦でゴールを奪い徐々にファンの期待を高めている。転機が訪れたのはルウィンとベトが欠場し、初のスタメンと残留を勝ち取った(H)ブレンドフォード戦。守備時のパフォーマンスでは改善の余地を残すが、しなかやなボール捌きとリズミカルなテクニックは先輩2名と異なるエッセンスを醸し出す。陶酔する恩師アモリムに「走らないプレーヤーはプレーさせない」という厳しい規律を植え付けられ、走るのが嫌いだった過去を踏まえ、現在のダイシ・エバートンでも躍進を誓う。
Lewis
Dobbin
61🏴ルイス・ドビン
これぞ、我々が抱く浪漫と悦びの真髄。21-22ブランスウェイト、22-23シムズ、(A)チェルシー戦で成し遂げた若い青年たちのブレイクスルーは、23-24シーズンのグディソン・パークで再現された。(H)チェルシー戦で冬の4連勝を彩った価値ある一閃、全身で歓喜を表現したドビンにはウォーター・フロントに建設される新要塞への切符を渡して欲しい。アカデミーで鎬を削った同僚たちが次々とチームから離れる中、その悔しさと大きな期待を背負って来季に臨む。同じくEFLで過酷さを学び、今ではA代表まで登り詰めたゴードンを超える衝撃を。浴びるべき脚光はここから懸命に羽ばたこうとする若者にこそ当てられるべきなのだ。
◇さいごに
いかがでしたでしょうか?
いつものことながら、真面目な寸評でユーモアのない内容でしたが、読者の方が胸焼けするような筆致を心掛けました。
ぜひ、皆さんの選手レビューも拝見したいなあ、なんて思いながら今季のNSNOについて区切りとさせていただきます。
今シーズンも、奔放な呟き、拙い言動が多々あったことをお詫び申し上げます。
また、いつもご感想や応援のお言葉を下さる皆様、本当にありがとうございます。
個人としても、エバートン・ジャパンとしても、1年を振り返り省みながら、選手たちと共に成長できるよう励んでいきたいと思います。
それでは最後までお付き合いくださりありがとうございました!
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気に入ってくださり、サポートしてくださる方、ありがとうございます。 今後の執筆活動や、エヴァートンをより理解するための知識習得につなげていきたいと思います。