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頑張らない不真面目でいい介護

Eテレで訪問医の小堀鷗一郎氏の番組を見た。以前もテレビで見たし本も読んだ。患者に対し自身の考えや感じた事をきちんと伝えようとするとこがすごいなといつも思う。率直に話す一方で語り口に優しさがある。ちょっとファンである。

今回は同居する独身の息子が親を看るケース。介護のために仕事を辞めた息子、精神疾患で仕事のない息子、定職につけないまま現在無職の息子。肺炎などで入院していた親は一様に家に戻り息子と暮らしたがる。最期は息子に手を握っていてほしいと。ずっと二人で暮らしてきたからそう思うのだろうか。家庭を持っている息子だったらきっと話は違うのだろう。

介護に真面目過ぎ、頑張り過ぎはダメと小堀氏。無理をすると必ず限界が来る。親のために仕事を辞めた息子は頑張り過ぎたようだ。最初のひと月はサービスを全く入れなかった。じきに親への暴力が始まりディサービスを利用。それでもダメで結局親を入院させることに。ある日酔って病室の床で寝てしまった息子。「私も入院させてくれ」と言うのを家に帰すとその夜自殺してしまった。彼は一体どんな思いを抱えていたのだろう。親を大切に思う気持ちと慣れない介護の厳しい現実との間で心が引き裂かれていたのか。辛くても恥ずかしくてもなんとか思いを言葉にして誰かに伝えることはできなかっただろうか。きっと同じような思いで苦しんでいる人は大勢いるはずなのだから。

外科医をしていた頃、小堀氏は手術がうまくいくかどうかだけにしか関心がなかったらしい。患者のバックグラウンドなど無関心。訪問医の今はそれがおもしろいと言う。そういえば高齢者の一人暮らしが一体どんなものか想像したことがあるのだろうかと、義父の主治医に対し何度疑問に思ったか知れない。

母の最期をどうするかが目下の悩みどころだ。さらにコロナが加わって、今後自宅でどれくらいサービスが受けられるのか不透明になってきた。できれば最期まで自宅で過ごさせてあげたいが、介護者の私が孤立してしまったらどこまで耐えられるか。不真面目に肩の力を抜いてできる介護を模索していかなくちゃ。

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