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【卒業生の今】舞台俳優を目指す大学生 ナツキさん

こんにちは!インターン生のコーイチです。

より多くの皆さんに私たちビヨンドトゥモローのことを知ってもらい、理解していただくために、noteではビヨンドトゥモローに関わる様々な人のインタビュー記事を投稿しています!

今回は、2021年度と2022年度にビヨンドトゥモローの活動に参加した、ナツキさん(仮名)にインタビュー!

ナツキさんは、2023年度のインターン生としても活躍してくれています。

ビヨンドトゥモローを卒業した今だからこそ思うこと、そして今までのことやこれからのことなどを沢山聞かせていただきました。


1. プロフィール

ナツキさん
・東京都出身
・4歳から里親家庭で暮らす
・現在大学二年生、舞台俳優を目指して東京の大学で演劇を専攻している
・高校時代は演劇部に所属、部長として様々な公演に取り組む
・写真編集、サンリオ、ハリーポッターが趣味

2. バックグラウンド

高校生だった母のもとに生まれる

私は母が高校生のときに生まれました。当時、母は祖父母から暴力やネグレクトを受けていて、家庭に居場所がなく夜遊びや家出をするようになっていました。

そんな中で妊娠が発覚しましたが相手の男性に逃げられてしまい、悩んでいるうちに中絶期間が過ぎてしまっていました。

そうして、母が出産したのが私です。

母と一緒に母子寮へ

私の出産後に母と私は一緒に母子寮で暮らすことになりました。ですが、学校に通いながら子育てを両立するのは難しかったそうです。

そんなある日、母が寝ているときに私に覆いかぶさってしまい私が窒息しかけてしまいました。

それがきっかけとなり、母は私を施設に預ける決断をしました。

※母子寮…配偶者不在の18歳未満の子どもを持つ母親を支援する施設。子育てや就職など自立支援を受けることができる。現在は法改正によって母子生活支援施設に改称。

児童養護施設での4年間

児童養護施設では周りの子は家族が会いに来るのに私にはありませんでした。生まれてから母ともしゃべった記憶がなかったので、家族に飢えていました。

職員さんに「家族が欲しい」と伝えたことがきっかけとなり、里親を探すことになりました。喘息などをもっていたので難航したそうですが、今の里親さんと暮らし始めました。

新しい家族のカタチに苦しむ

私が里親家庭で暮らすようになった後、最初は新しい家族のカタチを受け入れることができず悩みました。

ですが、乳児院から引き取ってきた新しい妹もできてだんだん順応できるようになっていました。この頃には母や児童養護施設での記憶も薄れてきていました。

母子手帳を見たことで再び孤独感に苦しむ

幼少期の記憶も薄れて、小学生の時には里親を血のつながった家族と思うようになっていました。ですが、私は母子手帳の中に全く知らない名前が書かれていることを見てしまいショックを受けました。

当時の私にとって血縁こそが家族にとって最も大切なことだと考えていたからです。思春期と反抗期が重なったこともあって、なぜ里親が私を育ててくれるのか分からず、里親に対してひどい言葉を投げかけることもありました。

学校生活もあまり上手くいっていなかったので、中学校を卒業するまでかなり荒れていました。


3.ビヨンドトゥモローの出会い

既に大学進学を目指していた高校3年生のときに児童相談所からエンデバー2021を募集するチラシを貰ったことが、ビヨンドトゥモローを知ったきっかけです。

受験費用の10万円をもらえるだけでもかなりありがたかったので受けることを決めました。全国から10人程度しか受からないと聞いていたので書類審査を通過したときはびっくりしました!その後の2次審査の面接日が誕生日だったのはいい思い出です(笑)

※エンデバー…児童養護施設などの社会的養護の施設および里親家庭に暮らす進学を目指す高校生に受験費用10万円の補助と1年間の人材育成プログラムを提供する制度。

エンデバーでのたくさんの学び

エンデバー時代のナツキさん(1列目左から4番目)

エンデバーでの1年間は自分との向き合い方を教えてくれました

当時の私は将来への不安、孤独感にまだ苦しんでいました。ですが、ビヨンドトゥモローでのエンデバーとして過ごした1年間が私を大きく変えてくれました。

提言作成では「自分にできること」を考える必要があったので、自分の好きな演劇を学校教育に活かすアイディアを実際に同じ班員と劇をしながら発表しました。

すると、発表を聞いていた沢山の人から「おもしろい」「よかった」と数えきれないくらい褒めてもらいました!そのおかげで、自分自身に前向きになれましたし、自分の境遇だからこそできることを考えるようになりました。

体験共有ではみんな自分と同じように辛い経験をしてきたので、ありのままの自分を隠すことなく話せました。過去や将来のことをしっかりと考えている子も多かったので、母親のことや将来のことを前向きに整理するきっかけをもらいました。

※提言作成…同じ班の学生同士でディスカッションを重ねて、自分たちにできる社会課題へのアクションを作成・発表する。
※体験共有…参加学生同士が自身の経験やバックグランドについて話し合ったり、その時に感じたことを伝え合ったりする時間。

大学進学後、スカラーに

サミットで最優秀賞を獲得したナツキさん(1列目右から5番目)

スカラーで自分なりのリーダー像を学ぶことができました

エンデバーでの1年間は行ったことのない場所・会ったことのない人などのたくさんの初めてを経験できました
そんなビヨンドトゥモローでの非日常な経験がすごく楽しかったですし、自分の将来に活きると確信したのでこれからもビヨンドトゥモローに関わりたいと思うようになりました。

なので、ビヨンドトゥモローの大学1年生を対象とした奨学金(ジャパン未来スカラーシッププログラム)に応募しました。

スカラーでもエンデバーと同じように沢山の学びがありましたが、特に学びがあったのはリーダー像です。スカラーは1年間のプログラムを通してリーダーの役目をもらうことが多いです。

ジャパン未来リーダーズサミットではリーダーとして班をまとめなければいけません。最初、私は周りを引っ張っていく自信がありませんでした。

ですが、サミットで私は一歩引いて俯瞰してみることが得意だと気付くことができました。スカラーでの1年間でリーダー像には周りを引っ張るだけでなく、それぞれの個性によって様々なやり方があると学ぶことができました。

※ジャパン未来スカラシッププログラム…親との死別・離別や虐待などの社会的困難を経験した大学1年生に返済不要の奨学金50万円と1年間の人材育成プログラムを提供するもの。通称「スカラー」

※ジャパン未来リーダーズサミット…ビヨンドトゥモローが東京で秋ごろに開催する2泊3日の対面プログラムイベント。全国から社会的な困難を抱えた高校生・大学生が集まり、自分たちにできる社会課題へのアクションを発表する。交通費や宿泊費などの参加に関わる費用はビヨンドトゥモローが全て負担する。通称「サミット」。

インターンとしてつくる側に

インターンとして働くナツキさん

私にとってビヨンドトゥモローでは自分を色んな変化させてくれた大切な場所だったのでこれからも長く関わりたいという思いが強くなっていました。そして、インターン生としてのつくる側の経験は演劇にも活かせると思い、2023年度インターン生になりました。

インターン生になってからは、難しいことだらけです(笑)

運営側にまわって1度のプログラムごとにでこんなに考えなきゃいけないんだとびっくりしました。特に「何が学生のために必要なのか」を考えるときは、私も含めてインターン生のみんなは絶対に妥協しないので議論が長引きます。

ですが、学業との兼ね合いもあるので無限に時間はあるわけではありません。

「限られた時間の中でいかに良いものをつくるか」考えた経験は私の将来の夢である舞台俳優にも役に立つスキルだと思うのでこれからも頑張っていきたいです。

4.目指している夢と原動力

私の夢は舞台俳優です。

舞台俳優を志したきっかけは小さいころからサンリオの舞台で勇気を貰っていたことが大きいです。最初はモデルになりたいと思っていましたが、成長するにつれて具体化していき、高校では演劇部に入ってから本格的に目指すようになりました。今もテーマーパークの舞台をよく見に行っていて、大きなモチベーションになっています。

将来はテーマパークの舞台で働きたいというのもありますが、里親や児童養護施設などの社会的養護をテーマとした舞台にも出てみたいと思っています。そうすることで、お客さんに社会的養護に興味を持ってもらえたり、支援をするきっかけをつくりたいと思っています。

なによりも社会的養護出身でも好きなことをやれると示すことで自分と同じような子どもたちに勇気を与えたいなと考えています。

5.高校生へのメッセージ

頭で考えるより身体を動かす!

高校生になるといろんなことの選択の連続で悩んでしまうことが多くなると思います。そんなときは、深く考えることも大切かもしれませんが勢いで行動することも必要です

例えば、奨学金の応募も必ず合格するわけではないので、とりあえず応募して合格したらまた考えればいいんです(笑)
私はそうしてビヨンドトゥモローに出会えたので、みなさんも心よりも身体を優先してみてください!

※この記事ではビヨンドトゥモローが提供する年間プログラムを修了した学生を卒業生とし、彼らの活動展開をお伝えしています。

<ビヨンドトゥモローについては以下より詳細をご覧いただけます>


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