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アンチフェミニスト男性の正体(は分からんぞ)

はじめに

どうも、虚無の先と名乗らせていただいている者です。

こちらの記事が自分の周りで話題になっていたので読んでみました。が、記事の内容そのものはまともな調査もせずに記事にした(調査は電通総研の調査の結果をチェリーピックして引用した)ため、データに基づく点は最初の1ページのみで残りは「フェミニストが嫌いな男性は低賃金で(=フェミニスト側が願い下げな男性で)あってほしい」という願望を記した広告代頂戴記事(という名の感想文)だなと感じました。ですので、それの一ページ目の(というよりもタイトルの)「低賃金で結婚できない」に対する反論を紡いでいきたいと思います。

現状把握

まずは正しく現状を把握しないことには始まりません。上の記事ではそれに失敗していると考えます。というのもこちらの記事、電通総研が行い、結果を公表しているこちらの意識調査の結果を用いているのですが、詳細なレポートを参照せずに記事を書いた可能性が高いのです。

こちらの意識調査では「マン・ボックス」と言われる「覇権的な男らしさ」を数値化した「マン・ボックス・スコア」と男性の考えについてを調査しました。このマン・ボックスの例を引用という形で示します。

「マン・ボックス」とは、「男性はタフであるべきだ」、「男性は一家の大黒柱であるべきだ」といった、社会で広く受け入れられている、伝統的かつ覇権的な男らしいとされる行動や考え方を意味します。

https://institute.dentsu.com/articles/2234/

ここで注目したいのは詳細なレポートのpdfの36ページ(通しだと37ページ)の「フェミニストが嫌いだ」という調査項目です。このマン・ボックス・スコアは「覇権的な男らしさ」が弱いほど大きい(=マン・ボックス・スコアが小さいほどフェミニストが嫌いであると推測できる)のですが、マン・ボックス・スコアが1の人は50.8%フェミニストが嫌いだと答え、スコアが2の人の43.6%、スコアが3の人の38.4%、スコアが4の人の46.2%、スコアが5の人の34.3%がフェミニストが嫌いだと答えました。調査人数が各スコアごとに分けると200人ほどになり、統計的に偏りが生まれる可能性は否定できないですが、単調に減少するだろうと考えられたグラフがスコアが4の人で増加しました。ただ、このスコアが4の人は、「女性活躍を推進するような施策を支持する」という調査項目で74.7%の人が同意していました。あくまでこれは調査のデータであり、アンケートではないので、どうしてなのかを推測するのは難しいのですが、女性活躍に肯定的な男性であってもフェミニストに対する嫌悪感が大きくなっていると言うことはできるかと考えます。また、こちらの調査、「男らしさ」と男性の問題の相関関係を調べる調査なので、女性が調査対象に入っていません。そのため、「フェミニストに否定的な女性」というのは無視されているのではなく、記事のもとになった調査が調べていないというだけでした。

また、こちらの記事とは内容が少し離れてしまいますが、すもも氏によるフェミニストのイメージ調査が以前行われております。

こちらの調査でも若い男性がフェミニストに対して相対的に強く否定的なイメージを持っており、フェミニストが若い男性から嫌われているという事実は否定できないものになっています。

そのうえで、男性の年収とフェミニストに関するイメージが結びついた調査は見つからず、「フェミニストを嫌う男性は低賃金である」という理論の根拠が若年男性の貧困化のみというあまりにも薄弱なものです。

結論

これより、「フェミニズムを嫌う男性は低賃金の弱者であってほしい」という願望に基づいた結論に依存した表層しか調べない杜撰としか言えないような調査で記事が書かれた可能性が高いと考えられます。ただし、「フェミニズムが嫌いな女性が無視されている」という反論に関しては、あくまでこの記事の基になった調査が「男らしさを基準にした男性の意識調査」であり、それ以上でもそれ以下でもないので、その反論は話題が違うと考えられます。また、「フェミニストを嫌う男性は低賃金である」という予想を証明するにはあまりにも根拠が薄弱であり、それを証明したいのであれば、自分で調査をすることをお勧めします。ただ、ジェンダー平等は男女平等を含んでおり、女性の社会進出の阻害要因を取り去る必要はあります。が、それのみに限らず、男性の生きづらさ、また、男女平等のみではなく、トランスジェンダーの方の生きづらさも女性と同様に解決せねば、それはただの女尊男卑になり果てないでしょうか?

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