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演出

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演出論、巻頭言、パンフレット・著書抜粋、など
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#ノー・ライト

演出家三浦基の言葉 木津潤平

「何かの回路、そんな感じ」 空間デザインについての最初のミーティングで、演出家三浦基が口にした言葉だ。 それは確信に満ちたビジョンというよりは、まだどこにも見えない頂きに目を凝らし、そこへ至るための手がかりを必死で探しているような言葉だった。 私はその言葉だけを頼りにスケッチブックに手当たり次第にアイディアを書き連ねた。その数は100には届かなかったが、数えたら84あった。その内の74番目に、そのスケッチがあった。四角いトンネルの横に「1つの窓」と書かれ「窓」のところに◯

イェリネク戯曲連続上演 記事まとめ

『ノー・ライト』で〈マルチリンガル公演〉という新たな表現形態に挑戦した地点。次に続く『騒音。見ているのに見えない。見えなくても見ている!』でも様々なトライアンドエラーがあります。その創作過程や思考プロセスなどを、文章・動画・音声コンテンツで発信する記事をまとめました。 【公演情報】 地点『騒音。見ているのに見えない。見えなくても見ている!』 2023年2月16日(木)〜23日(祝・木)  会場:KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉 作:エルフリーデ・イェリネク 翻訳:津崎

私の身のまわり 〜マルチリンガル公演によせて 三浦基

私の身のまわりが騒がしいのか、そうでもないのかよくわからない感覚が、ずっと続いてきたような気がします。具体的に振り返ると、元劇団員に対してのパワハラ疑惑でロームシアター京都における私の館長就任の見送りと新型コロナの流行が重なったあたりからですから、もう3年近く前からになります。この間、私が何をしてきたかと言うと、感染対策を講じながらできる範囲で演劇の上演をしてきましたし、粛々と民事裁判を進めてきました。裁判の結果は春頃に出ると思いますので、この件に関してのコメントは控えますが

マルチリンガル公演について語る(ドイツ語篇)〜『ノー・ライト』にむけて|安部聡子×三浦基【音声配信】

あえて日本語を封印し、俳優が母国語以外の言語で台詞を語る〈マルチリンガル上演〉で臨む地点『ノー・ライト』。稽古場で俳優と演出(と制作)がこの試みについて語るシリーズ。初回はイェリネクが書いた原語であるドイツ語を担当する安部聡子。 YouTubeでの動画では全4回に分けて配信する内容を音声配信では一挙公開。 「だれのことも理解できないっていう関係性」「言葉の波間から飛び出してくるもの」「伝わると思ってやっているのか問題」「字幕は別の生き物」「イェリネクを引き連れて」「翻訳不可能