アングスト/不安
「アングスト/不安」という映画を観てきました。
こちら、実際にいた殺人鬼をモデルにした作品で、
あまりの凄惨な内容に1983年製作にも関わらず、
まともに上映されることなく、いままで禁止処分を受けていました。
内容としては実際にあった殺人事件を基にしているので、
こんな感想もあれですが、そう大した話でもないです。
むしろ殺人鬼を描いた映画としては、
これといった感情移入もできず、
ダークヒーロー的な見せ方もなく、
面白い要素は1ミリもないのですが、
当たり前にそこは演出なんですよね。
この映画の主役の殺人鬼は、
多くのシリアルキラーと同じく、
やはり生い立ちに問題があり、
自分の欲望や妄想の実現のために殺人を犯します。
しかし、テッド・バンディのよう知力もなければ、
人を惹きつけるカリスマ性もないので、
犯行の手際は悪く、杜撰が故にすぐに逮捕されます。
自身では綿密な計画があると嘯きますが、
ことごとくが失敗しますし、
逮捕のたびに精神異常を訴えるも、
ただのサディストとして収監されます。
何だか映画に出てくる癖に情けない殺人鬼なのですが、
その主役にもなれない感じはある種の皮肉かもしれませんね。
そんな感じなので、出来損ないの狂気、という印象を受けました。
この映画の面白いところは不安を煽るようなカメラワークと、
BGMがスタイリッシュってところですかね。
映画の大半はアップシーンが多く、
一人称視点のように人物にカメラがついて回るので、
感情移入できないキャラに無理矢理近づけられのが、
この映画独特の不安と嫌悪感になってます。
そのくせ、BGMはかっこいいのがアンバランスで、
内容はともかくとして、映像作品として観る分にはとてもよかったです。
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