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ボーディングってどうなの? Part 3

とうとう日本にも他のアジア諸国のように英国のボーディングスクールが開校しますね。

HarrowやRugbyが本国イギリスではそれほどアカデミックが強いイメージではない、と聞いて戸惑うご家族もいらっしゃいますが...私は教育者として「だからこそチャンスかも」という考えです。

皆が皆アメリカのテンスクールズやイギリスのイートン、ウェストミンスター、ウィンチェスターに合格できるわけではないですし。合格してもそこで活躍できるとも限らないですからね。

私が思うには日本に開校する2校のようなボーディングスクールのメリット・デメリットは以下です。

メリットはたくさん!

① 英語があまり出来なくても入学できる~充実したESL、EALプログラムで英語をきちんとサポートしてくれる。

② 日本校を経てアメリカやイギリスの他の学校に転校できる可能性も。タイやマレーシア等のアジア英国系ボーディングスクール経由でアメリカやイギリスのボーディングスクールに入学してくる子は毎年たくさんいます。

③ 日本国内なのですぐに家に戻ってこられる!親として病気やトラブルがあった時も安心。

④ 日本語教育もしっかりとしてもらえる

➄ 国内の大学進学サポートもしてもらえる

⑥ 日本なので食事もきっと美味しい

⑦ 安比は大自然の中でスキーやトレッキングなど運動好きには恵まれている環境

⑧ 教育の質は国内の多くのインターに比べてかなり高いのではないかと思われる

⑨ 日本は他国より治安面で安心

⑩ HarrowやRugbyのブランド・ネームバリューは少なからずある。

デメリットはこんな感じでしょうか

① ネイティブスピーカーが先生以外ほとんどおらず、国内の似たような環境のインター同様、英語があまり伸びない可能性がある。しかし、インター生やハーフのお子様も(日本も中国からも)一定数入学してくると思われるので、7~8年後くらいにならないと結果はまだ分からない。

② 人種構成はたぶん日本人と中国人(台湾含む)と思われるので、ダイバーシティの点でどのくらい期待できるかは未知数。

③ 国内にあるのにもかかわらず本国と学費はあまり変わらない!高額です!アメリカのように奨学金もなさそう。ただ、長期休みごとに子どもが日本に帰ってくる飛行機代やこちらから渡航する旅費がかからないので、結果的には同じかもしれませんね。

④ そしてやはり、まだまだすべて未知数なので分からないことが多い。ただ確かなのはこれから数年経って人気校になると入学の際に必要になる英語のレベルが上がり、今とは違って英語が得意じゃない日本人生徒の場合、入学優先順位が低くなる可能性も。

➄ 国内にある学校なので海外でリアルな外国生活を体験できない。

私が(インター卒業生+インター教師+インター母親の立場から)学校選びで最も大事にしている点は自分の子供を大切にしてくれる環境なのかどうかです。なぜならば輝ける場所は子どもによって、皆違うからです。

トップ校に入学することを優先にするのではなく、どこの国のどこの学校でもトップ20%に入ることのほうが大事だと思っています。特に世界のトップ校にはそれだけ優秀な文武両道スーパーマン&スーパーウーマンがたくさんいて競争も激しいので、そこで日本人がトップ20%に入るのは容易ではありません。

そしてそのようなトップボーディングスクールに入学出来ても、その先の目指すトップ大学に入るのはもはやミラクルに近いものがある気もします。 少なくても米トップ大学は学校、州、地域、国などの偏りを避けてダイバーシティを好み、一つの高校から何十人も同じ大学への入学は出来ません。ですからAndoverのトップ10番目の生徒とハーレムの貧しい高校の1番であれば、たとえAndoverの子のほうが点数や課外活動の内容が上でも、確実にハーレムの高校生の方が有利になってきます。

また、主人が通ったイギリスのボーディングスクールからも数多くの生徒が毎年オックスブリッジに進学しますが、やはり受からない子もたくさんいて、ワンランク下のイギリスの大学に進む子も大勢います。ケンブリッジ大学・ポスドク経験者の友人によると日本人の場合英語が弱くても理数系が強いと高く評価してくれるので、やはりオックスブリッジを目指すのであれば物理学や化学などの専攻が得意な子は有利みたいです。

そして、名門ボーディングスクールを卒業したからといって、30歳、40歳で社会的成功をおさめ、幸せになっているともかぎりません。主人の同級生の間でとても優秀だったのに最近まったく話を聞かない友人について「彼今何してるの?」と聞くと、イギリスだからかもしれませんが「彼は何もしてないよ...」という人たちが結構な数います。

アメリカの場合はそういう人は少ない気もしますが…とにかくロイヤルやお金持ちは生きていくために働く必要がないので、働かないという選択をする人たちが一定数います。庶民から見ると羨ましいですが。精神的に満たされているかどうかは分かりません。

ボーディングスクール経験者によるとボーディングスクールのメリットはどうしても甘えてしまう親元から離れて、最高レベルの教育のもと先生と衣食住を共にしながら学ぶ機会を得られること。そして生涯にわたる人脈の構築だそうです。デメリットはとにかく学費が高額なことだけ!ということですが...私は母親+教師+心理学専攻ということもあり、もう一つのデメリットは人格形成においての家族の役割の比率が減ることだとも思います。家族としての時間は実はあっという間に終わってしまい、子どもは巣立っていくものですが、その時期がさらに早く来てしまうと子どもの人格形成にあまり良い影響を与えないのではとも心配しています。

私が考えるにはボーディングスクールに行くベストな時期は他の多くのことと同じで個人差があると思っています。 男・女の違いや家庭環境の違い。例えば男の子の場合は女の子よりも少し早い時期の5年生~中1くらいからがベストな気がしています。それは日本の場合子どもと接する時間が最も多いのは母親であり、男親不在の中、男性としてのアイデンティティー(もちろんLGBTQなどの場合もありますが)が確立する時期に同じ男性の素晴らしい先生や先輩たちに囲まれて育つ利点が数多くあると思います。

また、女の子は母親と同性ということもあり、本人次第ですが、もう少しゆっくりで中3~高校くらいから進学するほうが精神的に安定し、環境にも馴染みやすいと思っています。ただ、もしも家庭に複雑な事情がある場合などであればもう少し早くてもいいかもしれませんし、本当にご家庭によって違いますね。ただ、やはり3歳くらいからボーディングスクールに行かせるというお話を聞くと、もちろんご家庭の判断ですが、モヤモヤした複雑な気持ちにはなります。

私たち夫婦が考える、親が子どもにやってあげなくてはいけないこととは、これに尽きると思います。

経済的+精神的にも自立した人間に育てること

経済的に自立するためにはまずは教育です。そして精神的な自立は周囲から認められ、溢れるほどに愛されることによって確立される自己肯定感が土台になります。両方与えてあげれば、親はもう必要ないですね。

我が家の娘が将来、心も身体も健康で、税金をきちっと納められるような仕事につき、仲間に囲まれて幸せに暮らしていればそれがどこの国でも構いません。

私たち夫婦の役割は私たち自身が経済的・精神的に自立した大人であり続け、なにかあった時にはいつでも彼女を助けてあげられる状態でいることだと思っています。

ボーディングスクールってどうなの?というテーマで書いてみました!

そして毎回同じことになりますが、これは私の個人の見解ですのでお互い考え方は違っていても「ふーんこの人はこういう見方をしているのね」とポジティブにとらえてくだされば幸いです。

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