見出し画像

【“自己満足”BLマガジン『ss』】第1回:「商業」「同人」の違い

BL愛好歴15年、商業BLマンガが大好きなライター・あべゆうかが、BLに関する知識を自分用にまとめたり、自己紹介としてBLの趣味嗜好をまとめたりする、“自己満足”BLマガジン『ss』です。

第1回にあたる今回のテーマは「商業」「同人」の違い

BLコンテンツは「商業」「同人」のどちらかに分類されるのはご存知ですか?私は「商業」が好きですが、そもそもこの2つの違いを知らない人もいるようで。また、「同人=二次創作」という認識を持つ人を目にしたこともあります。しかし、実際は一次創作であっても「同人」になることもあるのです。

今回はそんなBLコンテンツの基礎ともいえる、「商業」「同人」2つの違いについてまとめていこうと思います

※以下の文章は全て個人の見解、個人の意見です
※BLに苦手意識のある方、ご自身の解釈以外は敵と判断される方は回れ右でお願いします

画像1

 1. 「商業」「同人」言葉の意味

画像2

まずはじめに、そもそも「商業」「同人」これらの言葉にはどのような意味があるのか、goo国語辞書で調べてみました。

【商業】
生産者と需要者の間に立って商品を売買し、利益を得ることを目的とする事業。(引用元:goo国語辞書「商業」

営利目的であるため、消費者の需要(ニーズ)に合わせて商品を生み出すという意味でしょう。生産者がつくったモノを消費者へ届けるために、複数の事業者が関わって利益のために動く、といった感じですかね。

「同人」の意味だけでなく、「同人雑誌」の意味も調べてみました。

【同人(同人雑誌)】
・日本の俳誌。(引用元:goo国語辞書「同人」
・主義・目的・傾向などを同じくする仲間が集まって編集・発行する雑誌。(引用元:goo国語辞書「同人雑誌」

「同人」の起源は、詩人の俳句を集めた雑誌です。「同人」はかなり定義が曖昧なので、断定はできないのですが、今回まとめる「同人」の意味としては「同人雑誌」の意味に近しいかなと。営利目的ではなく、作り手が作りたいモノを生み出している、といった意味ですね。

また、起源の影響から「同人=書籍」のイメージがありそうですが、現在は書籍のみならず、ドラマCD、アニメ、ゲームなどさまざまなコンテンツが存在します。

それぞれの言葉の意味を表にまとめてみると…

画像3

といったところでしょうか。

2 「商業」「同人」特徴

画像4

上記の言葉の意味を踏まえた上で、BLコンテンツにおける「商業」「同人」それぞれの特徴をまとめます。

◇◆ 商業 ◆◇

【販売元】
事業者。
書籍は出版社、ドラマCDは出版社や制作会社、アニメは制作会社、ゲームは制作会社や開発会社など。

【販売先】
一般的な店舗。
書籍は書店、ドラマCDはレコード店、ゲームは家電量販店など。(電子書籍やアプリゲームなどでも販売されることも)

【内容】
オリジナル(一次創作)がメインです。
出版社やレーベル(ブランド)によって、作品の毛色が異なります。時代性が反映されることも多いです。登場人物全員男性で男同士の恋愛に何の偏見もなくみんな誰かしらとカップルになるといった内容が以前は多かった気がします。最近は女性が登場したりセクシュアリティに対する葛藤が描かれたりする作品が増えているかなと(時代性なのかな…)。

二次創作で流行ったカップリングや設定に影響を受けていると感じることも多いです。

※補足…出版社から販売されている「二次創作のアンソロジーコミック」は特殊です。中身は「同人」なのに、出版社から販売されているので一般的な書店で購入可能。販売の仕組みとしては「商業」なのです。これに関してはいろいろ複雑なので、かなりグレーゾーンだな…と思ってます。

【年齢制限】
コンテンツによって年齢制限にバラつきがあります。調べたところ、社会情勢の変動(社会の風潮)、性描写や性器の描かれ方、表現形態(コンテンツ)によって年齢制限の基準が異なるようです。そのため、現状わかる範囲での年齢制限をまとめました。

書籍:推奨年齢はあっても年齢制限はモノによります。小説は性描写があっても年齢制限はなし。マンガは性描写があっても年齢制限がないモノとR18指定のモノがあります。性器をどこまで描いているか(モザイクの薄さ)、性的対象者の年齢、で決まっていると(個人的に)思ってます。

ドラマCD:推奨年齢はあっても年齢制限はなし。R18指定の商業ドラマCDを聞いたことはないですね…。

アニメ、ゲーム:性描写があれば年齢制限はあります。これはレイティングシステムに準じている模様。「青少年の健全な育成のためのコンテンツ流通研究会」が映像コンテンツのレイティング審査基準・表示の統一化を図っているそうです。コンテンツの表現によって「PG12」「R15+」「R18+」に区分されます。(参照URL

◇◆ 同人 ◆◇

【販売元】
個人、サークル(趣味の合う仲間が有志で集まる)。

【販売先】
即売会、専門店など。
人によっては販売を目的とせず、あくまでも趣味として自分のHPや投稿サイトに掲載する方も多いです。「同人」で人気が出て、「商業」へ移るパターンもあります(例:投稿サイトで人気の作品に出版社が目を付け、書籍化)。

【内容】
オリジナル(一次創作)または、既存作品のパロディ(二次創作)

制作者の欲望、妄想、思いをそのままに、内容へ反映されています。二次創作の場合、その時期に人気の作品を題材にしたコンテンツが増えるなと。そのため、流行の移り変わりが激しい傾向もあります。新しい設定が生み出されることも多いです(オメガバースやDom/Subユニバースなどは海外の二次創作発祥だとか)。

【年齢制限】
基本的に、書籍、ドラマCD、映像すべて性描写があれば年齢制限がつきます。個人販売のため「誰が年齢制限の規定をするの?」と思われるかもしれませんが、これは即売会の主催者や専門店側が決めているようです。基準は「商業」同様、社会情勢の変動(社会の風潮)、性描写や性器の描かれ方、表現形態(コンテンツ)によって年齢制限の基準が異なるようですが、商業よりも厳しいかも。

いろいろ理由はありそうですが、制作者が個人であるため解釈や判断に個人差が出てくる可能性があること、「同人」は二次創作が多くグレーであるが故に厳しくせざるを得ないことが関係しているのかなと思ってます。

画像5

「商業」と「同人」には多くの違いがありますね。私はどちらもハマった経験があるのですが、最終的には「商業」に落ち着きました。次回以降は、私の大好物である「商業BL」についてのアレコレをまとめていきます。

次回、第2回のテーマは『商業BLのジャンル』について

それでは!

読んでいただきありがとうございます。 日々の励みになります。