実家のおばけ

私の実家、築30年程の一軒家。

周りは木々に囲まれたポツンと一軒家…とまでは全然行かないが、お隣さんのお家は見えないほどのポツンとさである。

実はこの実家には家族以外の何かが住んでいる。(と私は思っている。)

初めてその何かが"いる"と気づいたのは小学校低学年の頃。

まだ幼い弟と二人で留守番をしていた。

弟は寝ており、敷地内に祖母がいたこともあり、すぐに帰るから、と母は近くのスーパーまで買い物に出た。

運の悪いことにしばらくすると、弟が泣き出してしまった。
あやしても泣き止まず…とうとう私まで大泣きしてしまった。

その時、部屋の入り口の引き戸が開いており、何故だかそれを閉めなければ、と思った私は泣きながら、

「うわーーーー!だれかそこ閉めてぇぇぇぇ!!!」

と泣き叫んだ。

その部屋は階段を上ってすぐの部屋で誰かが来たらすぐにわかるような間取りであったが、下から誰かが来たということはなかったし、2階にいたのも確実に私と弟だけであった。

何度か同じ事を叫んだところで、部屋の引き戸が

スーーーーーーーっとしまった。

!?!?!?

いや、確かに閉めてくれと叫んだが、誰………?

いや、誰!?!?

意味不明な事態に思わず泣き止む私。

そして弟もピタリと泣き止んだ。

母に話すと「おばあちゃんが来たんじゃないの?」と言われた。

仮に祖母だったとして、孫が二人で泣き叫んでる所に声もかけずに引き戸だけ閉めて行ってしまうなんてことあるんだろうか………

いまだに謎である。

それ以降、変わった事はなかった。

本当にずっと何もなかった。

20代初めの頃、家出をした。

たまに荷物を取りに両親がいないすきに実家に戻っていた。

仕事の休みの日の日中だ。

一応家の中を見て周り、誰もいない事を確認するほどの周到ぶりだった。

しかし、一階にいると二階から足音がするのだ。

誰かが侵入しているのか?

それとも家族の誰かがトイレにいたとか…?

どちらにせよ先程までいないと思っていた誰かが二階にいると思うと気になる。

恐る恐る見に行くも、やはり誰もいない。

気のせいか?古いから家が鳴ってるのか?

また一階にいると足音がする。

見に行く。

誰もいない。

何度か繰り返すうちに慣れてしまった。

二階で足音がしても何も気にしなくなった。

数年後、家族が集まった時にその話をしたが足音を聞いたものはいないという。

両親もそんなことは一度もない、と言った。

まさにそんな話をしていたその時、二階から足音がしたのだ!!!

「ほら!今!歩いてる!!」

他の人には聞こえていないようだった…。

横に座っていた主人を見ると青ざめた顔で何度も頷いていた。

主人にも聞こえたようだ。

それ以来主人はうちの実家の事を「お化け屋敷」と呼んでいるw

脱走した猫を連れ帰ってくれたお化けと甥っ子に「おいでおいで」するお化けの話もあるが、今日は長くなったからこの辺で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?