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東大IPC・パートナー 美馬氏に聞く、ベター・プレイスに出資を決めた理由

「ビジネスを通じて、子育て世代と子どもたちが希望を持てる社会をつくる。」という企業理念のもと、現在および将来にわたり、人々が「お金の心配なく」「自分らしく働ける」社会を目指す株式会社ベター・プレイス。医療、保育や介護など、人々の生命と社会生活を支える人たちの資産形成や福利厚生を支援するための「はぐくみ基金」の設立のほか、DXにより企業年金を刷新し、初心者の方でも手軽に老後の資産形成ができるような取り組みを行っています。
 
2021年12月、当社は東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東京大学100%子会社の投資事業会社、以下、東大IPC)をリードインベスターとして、総額5.4億円の増資を実施しました。
 
今回は、なぜ東大IPCはベター・プレイスに出資を決めたのか、そしてベター・プレイスに期待することについて、当社のリードインベスターである東大IPCのパートナーであり、かつ当社取締役である美馬 傑(みま すぐる)氏にお話をうかがいました。


東大IPCがベター・プレイスへの出資を決めた理由とは

—ベター・プレイスおよび「はぐくみ基金」に対する第一印象はどのようなものでしたか?

 最初に社長の森本さんとお会いしたのは、2021年3月だったと思います。福祉施設の人材不足は以前からの社会課題であり、福祉業界の人々を支えるサービスは必要とされています。「はぐくみ基金」のような仕組みは社会的貢献性が高く、しかもニーズもあり、施設側にとっても導入しやすい点がいいなと思いました。さらに事業実績が伸びていることにも良い印象を覚えました。

 —そこから、わずか1年たらずで出資を決めています。どのような経緯があったのでしょうか。

 福祉業界は大変な仕事であるのに対して給料も決して高くはなく、長く安心して働ける環境が整っていません。正直なところ、こうした課題を解決するマジックソリューションはありませんし、はぐくみ基金がすべてを解決するとも思っていません。しかし、退職金や老後の資産形成というプラス材料が増えるメリットは大きい。企業にとって大きな経済的な損失がなく、手続きについてもベター・プレイスが管理してくれるため、企業側にとって導入のハードルが低い。雇用する側も、従業員も、双方にとって良い面があるわけです。

 我々にとっても、社会にとっても、ここに出資をするのは良いことではないかと考えました。

 —東大IPCはディープテックやバイオ系のスタートアップへの投資が多い印象ですが、福祉業界へのサービスというのは異色ではありませんか?

 投資の判断をする際に、社会貢献や社会課題の解決を担う事業である点は評価のひとつとして重視しています。社会課題をテクノロジーで解決するのか、仕組みや制度で解決するのか、あるいはそれらを組み合わせるのか。そうした違いこそあれ、社会課題に取り組む姿勢は我々にとって重要と考えています。社会的な課題に取り組んでいるという共通点がありますから、異色とは思いません。

 高齢化社会がさらに進む未来に対して、どうしたらいいのか明確なソリューションがないのが現実です。こうした面からもベター・プレイスが取り組んでいることは適切であり、意義があると感じました。

社会貢献と事業収益の両立を成立させた原動力は社長の「経験値」

—取締役としてベター・プレイスに深く関わってみて、どんな感想をお持ちですか?

 社員の皆さんともお話しますが、思いを持ってやっている方やビジョンを誇りに思っている方が多いと感じています。

 また年金というのは専門性のある分野です。社長である森本さんの経験があるからこそで、誰でも簡単に入り込める業界ではありません。ベンチャーでどんどん入り込める領域という感じはしないですね。ベター・プレイスはベンチャーではあるけれども、すでに歴史があるところも、ちょっと違う面かもしれません。

 —10年の歴史があることのメリットや特徴は?

 ベター・プレイスは、はぐくみ基金ができてから大きく成長し、企業としてのフェーズが変わりつつあるなとは感じます。10年間という歳月で、いろいろな経験をされていることが良い面で出ているのではないでしょうか。

 実績がすでに長いベンチャーは「伸びがない」と捉える方もいますが、ベター・プレイスの場合はこれまでの道のりや、その経緯に意味があるので「長い」ことがメリットになっていると思います。

 —ベター・プレイスの経営に対する信頼についてはどうでしょう?

 事業は読みどおりにいかないこともよくあります。いい時は誰がやってもいいわけで、悪い時にどう対処できるかが大切です。森本さんは過去に苦労されていますが、失敗や経験を活かした対応力があります。

 いいバランスで成功も失敗も知っていること。これは勉強しただけではわからないこともあるし、教えたり説得したりして理解するというのとも少し違う。そして森本さんはその感覚、経験を持っていると僕は思っています。

 —ベター・プレイスという会社のカルチャーについては、どのように見ていますか?

 若くて勢いのあるベンチャーと成熟している企業の中間くらいにいて、しっかりと稼いでいる。落ち着きはあるが、落ち着きすぎてはいない。エネルギッシュだけど、やんちゃという感じではない。伸びている事業を扱っているから和やかな雰囲気もある。ちょっと不思議な感覚ですね。

 落ち着きもあるが成長意欲もある企業を牽引するのは、若い方がやるとなると難しいと思う。その点、先ほど申し上げた通り、森本さんにはさまざまな経験があり、社会的課題のニーズをしっかりと捉えながら、事業としても成り立たせている。この両立は難しいけれど、ベター・プレイスはうまくいっていると感じます。

事業そのものがSDGsなベター・プレイスがめざす道

 —新しいフェーズの成長段階で、ベター・プレイスはSDGs銘柄として上場をめざしています。

 いわゆるSDGs銘柄のSの要素がありますよね。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のS、持続可能という点です。社会に貢献できるサービスはソーシャルグッドであり、人々が持続可能、つまり長期的に安心して暮らせるところに価値がある。社会課題に対応することによって、収益や業績もついてくる事業は今後もっと増えていくでしょう。

 実際にベター・プレイスの事業を説明しようとしたら、SDGsを例に出すのがもっともわかりやすい。まさにSDGs銘柄ですね。

 外から見たとき、上場企業という信頼性や安心感は大きい。ベター・プレイスが扱っているのは社会保障や金融に関連することですから、そうした信用性は重要です。

 今後ベター・プレイスが発展していく上では資金調達も必要でしょうし、信用の面からも上場したほうがよいと考えています。

 —美馬さんは投資に関わってきて、世の中の流れを肌で感じていると思うのですが、ベター・プレイスは流れに適していると思いますか?

 適していると思いますね。ただ、流れに合っているのも大事ですが、存続して継続できることがより重要だと思っています。持続可能、サスティナブルであることは、事業として見たときも大きな意味を持ちます。

 スタートアップの企業が継続して発展するには、ビジョンや運営体制がしっかりしているかどうかもポイントです。短期間で収益をあげることはできるでしょうが、信頼が積み上がっていき、事業が持続していくことが大切ではないでしょうか。

 福祉業界を支える仕組みを定着させる役割を期待

 —では取締役として、またリード投資家として、ベター・プレイスに対して期待することはありますか?

 しっかりと着実に信用を作っていくことでしょうか。

信頼される企業としてお客様がついてくれば自然と事業は成長しますから、信用が崩れないようにというのはポイントのひとつです。この業界はそこまで競合相手がいませんから、ビジネスとしては口コミなどで広がっていくのがいいのかなと思います。そういう意味ではベター・プレイスは信頼されている。数字なども見せてもらっていますが、一瞬の業績ではなく、しっかり着実に歩んでいると思います。

新しいニーズにも応えながら、これまで通りにやっていけばいいのではないでしょうか。いい意味で「愚直」に、変わらずにやっていってほしいですね。今は株価が軟調なので、あわてずに進んでほしいと思っています。こういう時だからこそ、変わらずにやることは大事だと思います。

ベター・プレイスが導入サポートしているはぐくみ基金のような社会への貢献が大きいサービスはしっかり定着させないといけない。信用を重ねて、世の中にこうした仕組みを定着させてほしいというのが期待でもあり、望むものでもありますね。


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