都立中受検 適性検査I対策 実践編②

前回の実践編①では実際の過去問(適性検査Ⅰ共通試験2022)を用いて、その文章の内容に即して持ちネタを変形して構成を作成して、作文を作るまでのプロセスを確認しました。

なお前回も書きましたとおり実際の作文の指導はやはりプロに習った方が良いです。当noteの管理人はその意味では経験から書いているアマチュアです。あくまでご参考までということでお願いいたします。

さて前回でも記載しましたが大事なことなので何度も繰り返します。当日の受検までに作文のネタ帳を準備していることは必達です。実際は当日まででなく6年生の春までには作成したいところです。それを使って問題文で課されている条件で作文を作成します。

作文の練習とは持ちネタから問題文章に即した、問われていることに即した構成を作成して、作文の答案を作成すること、といって過言ではありません。

まあまず自分が塾講師で適性検査Ⅰの担当ならまずは全生徒に対して持ちネタノートを持たせて、ネタを作成させて提出添削ですね。そこでしっかり本番に役立つ形で持ちネタを整理させる。作文の添削指導では今回はどの持ちネタを使ったのかを確認した上で文章に即した書き方ができたかを確認指導していくでしょうね。文章要約力を徹底的に鍛えて、またこの作文作成の流れを鍛えればかなり良い答案は作成できるはずと思っています。

なおネタ1つで一本脚打法はあり得ませんので必ず複数ネタを持つようにしてください(勝ちパターン外しにこられるとより厳しくなりますので…)。

今回の目標も親御さんがお子さまの作文を家庭内で添削してあげる際に役立つことです。その一助になれば幸いです。個人的には本当は塾でお父さんお母さん向けに授業を行って家での取り組みにしてもらうなど巻き込んだ方が良いくらいなのではと思ってます。そういう塾って無いのかな…。普通に力つけさせるならそういう考え方が出るような。

さて前回の2022年に続き、今回は2020年の共通適性検査Iの問題を利用して検討してみたいと思います。

■2021年共通適性検査Ⅰ
<問題文分析>
共通適性Ⅰの問題ですが今回は都立武蔵のサイトにリンクします(filelink-pdffile-6206.pdf (metro.ed.jp))。

【問3】
ひかるさんとかおるさんのやりとりを読んだ上であなたの考えを四百字以上四百四十字以内で書きなさい。

問題で問われていること、今回の文章は「ちがい」についてに着目して考えていくものです。文章内容自体は平易かと思います。
そしてこちらに着目ですね。

ひかる:わたしも、みんなはそれぞれちがっていると感じる時があります。
かおる:学校生活の中でも「ちがい」を生かしていった方がよい場面がありそうですね。

上記から学校生活でちがいを感じ、またちがいを生かした経験から自分の考え(意見)を書く作文を書ければ良いと分かります。

文章1の筆者は
大人的にはあるあるな考え方だと思いますが、「私」と「あなた」は違う、分析して受けいれるためには理性と知性が必要であり、ちがいを認め合うには相手を思いやる感情が不可欠だとしています。

文章2の筆者は
生物多様性の大切さについて、多様性があるのはあらゆる生き物にとって生きるための理由があるからであって、その格好が役に立つのかは分からず、また生きていけるという説明はできるものの優れた形かもわからないことがあり、進化について考える時はどちらの動物が進化が上かという優劣的な考え方はしない
としています。

以上から
文章1多様な個性、そして考え方を理解するためには理性や知性が必要で、そしてそのちがいを認め合うためには相手を思いやる優しさが不可欠。
文章2は生物多様性がなぜ必要なのかという問いを考える際には、どちらが上かという優劣的な考え方はしない

という内容になります。ここまでくるとお分かりだと思います。お互いの個性、考え方を認め合う優しさをもつ、多様な意見があるわけでそこに優劣的な考え方をしない、というテーマだと見えてきます。

<文章から得られるものに注意する(前回と同じ繰り返しの内容)>
上記のとおりこれは適性検査Ⅰに関わらずですが、筆者の言いたいことは何かという要旨を掴む練習が役立ちます。特に都立中受検適性検査Ⅰでは文章内容を踏まえて作文しなさいという問題が多いです。従って普段から私立向け問題集を解いたとしても別途「この文章を要約してみて」「筆者は何が言いたいのだろう」を問いかけて、かつ紙に書かせる練習をしてみてください。頭で何となくわかっても紙に書くと難しいという練習・経験も必要です。

<頭に入っているネタ帳からネタを取り出してくる>
今回もネタから出してきましょう。前回書いたネタ帳案あたりからですが、
・中高6年間で行いたいこと(小学校時代の経験から)。勉強に関することが望ましいと思います。
・将来の夢、なりたい職業(これまでの経験とつなげて)
・環境関連の経験
・高齢社会関連の経験
・友達関係での経験
・創意工夫の経験
・多様な意見をまとめた経験
など

上記のうち「多様な意見をまとめた経験」のネタが適切そうだと分かります。何度も繰り返しになりますが、問題内容に即して書きやすいテーマを選べるように複数持っていると強いです。

★作文ネタ(中高で研究したいこと):多様な意見をまとめた経験
●校内創作ダンスコンクールでの経験
・8人1組のダンスを行うにあたり、難易度の高いものに挑戦するか、難易度を下げて確実に踊りきるか8人の意見が異なった。
・ダンスが苦手な人もいるので自分は難易度を下げてミスを防いで点数を高くしたかったが、話し合った結果難易度の高いものに挑戦することに。
・自分はダンス創作が得意なので、役割を決めてダンスが苦手な人は難しい動きを抑えて、得意な人は難しい動きもいれ、ただ8人全員揃わないときれいに見えないダンスを創作した。創作後も皆の意見を取り入れ全員が納得できるように改良。
・ダンスが苦手な人も楽しく練習ができ、また彼女はジャンプ力が高いのでジャンプを活かしたダンスで活躍した。
・皆で話し合いながら苦労しながら楽しく練習を重ね、各自の得意を活かしたダンスが完成して本番では見事優勝できた。異なる意見があってもそれぞれの良いところを認め合い取り入れることで優勝できた。

<文章構成を作る>
上記のネタを利用するであればこのような構成案があります。
まず今回の課題は「ちがい」について。学校での経験から書くことが書かれています。「ちがい」を行かせたことを書くという点では創作ダンスの経験が合いそうです。そこに文章中のテーマである多様な個性、考え方をお互いに理解するというテーマを入れるという話になるかと思います。

●構成案
・私は学校での8人1組の創作ダンスコンクールでちがいを活かした経験
多様な意見を取り入れて全員の得意分野を活かせるダンスに挑戦。
・各自の役割を決めてダンスが苦手な人は例えば1人は跳躍力、もう一人は体の柔軟性を活かすなど本人の得意な動きを活かし、得意な人は難しいダンスも入れ、ただ8人全員揃わないときれいに見えないダンスを創作。創作後も皆の意見を取り入れ改良。
・ダンスが苦手な子も楽しく練習ができ、得意分野を活かしたダンスが完成して本番では見事優勝できた。
異なる意見があっても、異なる個性があってもそれぞれの良いところを認め合い得意分野を活かすことでより大きな成功に。中高でもそれを目指す。

上記のネタについて太文字の箇所が問題文に従って合わせにいったところです。課題で「あなたの意見を書く」がありますので最後にしっかり意見を書きます。文章に即した意見が書ければOKです。
今回もほとんどの部分が薄い文字、つまりすでに予めネタとして持っていた内容だとお分かりになるかと。こうしてネタを予め持っているとそのネタを問題文に合わせて少し変形させるだけで形にできる、本番に余計な時間をかけずに答案を作成できます。これは合格するほとんどの受検生が行っているかと思います。繰り返しですが、

作文の練習=持ちネタを複数持ち、いかにその中で適切な持ちネタ出してきて課題文に合わせてその持ちネタを上手に変形できるかの練習を行うこと

といっても過言ではありません。ただそれは将来の大学受験時の小論文などでも同様ですのでその先にも使えるスキルだと思います。

ここまで構成ができればあとは作文を書くだけです。構成がしっかりできれば時間内に書ききることさえできれば合格点はもらったようなものです。しっかり内容に合わせて段落分けして記載する練習を行います。

<答案の作成>
 私は学校での8人1組の創作ダンス大会でちがいを生かして成功した経験がある。
 まずダンスを行うにあたり多様な意見を取り入れた形で全員の得意分野を活かした役割分担のダンスに挑戦することになった。全員で話し合いながら各自の役割を決め、ダンスが苦手な人は例えば1人は跳躍力、もう一人は体の柔軟性を活かすなど本人の得意な動きを活かし、ダンスが得意な人は難しいダンスも入れ、ただ8人全員揃わないときれいに見えないダンスを創作した。創作後も皆の多様な意見を取り入れ全員が納得できるように改良し続けた。それによりダンスが苦手な子も楽しく練習ができ、結果として各自の得意分野を活かしたダンスが完成して大会本番では優勝できた。
 異なる意見、個性の中でそれぞれの良いところを認め合い得意分野を活かすことでより大きな成功につなげることもできると思う。今後の中学高校生活でも多様な個性や意見を認め合って、その中でお互いの得意なものを出し合うことでより良いものを導き出す学校生活を送っていきたい。

 <終わりに>
上記は案として記載したものですが、よりよい答案が多くあると思います。ここで大切なことを繰り返すと、
・持ちネタを複数持つ
・構成を作る練習をしつこいくらい行う(持ちネタの変形の練習)
・実際の答案を練習を繰り返し行う
です。できればプロの先生にも添削していただきながら良い答案を作成できる力を身に着けて合格答案を作成できるようになっていただければと思います。

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