Apple Vision Proにより次の10年で起こることは「場所の解放」と「映像の3D 化」
Apple Vision Proの発売が公表されました。
今日はApple Vision Proによって、私たちの生活が次の10年でどう変化するのかについて書きたいと思います。
Apple Vision Proは、USD3,500で2024年に発売開始予定で、初年度は15万台の販売を、2年目には200万台の販売を目指しているそうです。
因みに、iPhoneは初年度に1200万台が売れました。
■Apple Vision Pro(正確にはテクノロジー)によりどんな影響があるか?
私は、次の10年間で人々の生活において最も大きな地殻変動は「場所の解放」と「映像の3D化」だと思っています。
はじめに、「場所の解放」による影響について考えます。
■人間の移動数が減少
まず、オンライン化によって既に始まりつつある「移動の減少」が加速するでしょう。
具体的には、学校への通学や職場への通勤や出張が減少すると思います。
Apple Vision Proが進展すると、いづれ対面と大きく変わらない音声と画像で授業や会議に参加できるようになります。
■住む家の移動
Apple Vision Proにより、会議や授業が受けられるようになると、学校や職場の近くに住まなくてよくなり、住む場所の自由度が高くなります。
その結果、住み心地の良い場所に引っ越すようになり、一部の地域の地価は上昇するでしょう。
例えば、鎌倉や沖縄などの住み心地が良い場所に住みたい人が増えて、天候が悪い場所などは人口の流出が起きやすくなります。
■世界中で教育格差が縮小
場所に縛られない、といことは、日本の地方に住みながら、ハーバード大学の教授の授業を聴講できるようになります。
さらに、VR上では自動翻訳もされるので、国境も超えて教育が受けられます。
その結果、地元の公立小学校ではなく、世界で最も優秀な先生の授業を受けることができるようになります。
■「場所の解放」による影響のまとめ
場所の解放による影響は、極めて大きいと思います。
モビリティ産業では、移動により顧客に価値を提供しているため、長期的にレッドオーシャンになるでしょう。
例えば、飛行機に乗って海外旅行する必要性が相対的に小さくなります。
車に乗らなくても、湖や海や山の近くに移動する体験ができます。
一方で、食事を運ぶなど、人間以外の商品が、人間のもとに移動する物流機能は重要性が増すでしょう。
不動産業界では、気候などが恵まれた場所の土地価格が高くなると予想します。
教育業界では、優秀な先生の授業は、世界中で競争となり、地元の学校や塾の必要性は低くなるでしょう。
次に、「映像の3D化」による影響を考えます。
■TVはVR上で視聴するようになり、ハードは不要になる
現在のTVのようなスクリーンなど、ハード製品は不要になり人間の負荷が少ないグラスでニュースを見るようになる。
ハードは売れませんが、新しいニュースを届ける機能は引き続き必要だと思います。
■映画館ではなく、自宅で映画を見るようになる
映画館を運営する企業は、Apple TVなどに淘汰される可能性が高いです。
映画コンテンツを作成する機能は残りますが、制作はAIが代替できるのでコモディティ化するでしょう。
■世界中のスポーツが、スタジアムではなく、自宅観戦が主流になる
スポーツではスタジアム運営が特にレッドオーシャン化すると予想します。
例えば、日本の自宅で欧州やアメリカのメジャーリーグのスタジアム体験ができるようになると、近所にあるサッカーチームや野球チームは、海外チームと競合することになります。
選手の観点では、これまでは国内市場がありましたが、ファンのグローバル競争が加速するので報酬格差が拡大するでしょう。
同様の理由により、各チームは、世界トップレベルの選手輩出が重要となるので、育成のコーチは世界中で獲得競争が加速します。
■「映像の3D化」による影響のまとめ
映像を視聴するハードは不要となり、AppleなどのVRゴーグルが代替するようになるでしょう。
映像の制作機能は、AIが得意とする領域のため、高いAI技術を持つ企業が稼ぐようになるでしょう。
スポーツの視聴体験は、世界中でファンの獲得が競争されるため、世界トップの競合クラブの人気が加速し、地元クラブとの格差がさらに拡大するでしょう。
以上になります。
おわり