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アニポケサンムーンを見終わった

SNSとかで感想書くタイミングを失ってたのでここに書く。

アニポケサンムーン編を見終えた。ちゃんとサトシがチャンピオンになるところを見れてよかった。

けどサトシがチャンピオンになったことに対してあまり深い感慨はなかった。もっと「あのサトシがチャンピオンに!信じられねえ!」みたいな感情になるかと思ってたけどあっさりとその事実を受け入れてしまった。

というのもサトシ自体チャンピオンになったことを結構あっさり受け入れてたからだ。彼はもっと拳を振るわせて地に膝を付けてバカでけえ声で雄叫びを上げるくらい喜んでもいいはずだ。何てったって20年以上叶わなかった念願のチャンピオンなんだから。

いや、これはこちらの方の認識が間違っているのだろう。
そもそもサトシは矛盾を抱えたキャラクターだった。サトシは様々な地方を渡り歩いてきた歴戦の旅人であり、一方で10歳の少年だった。
メタ的にはサトシが10歳であることを気にする必要なんてなかった。それはなんかホビアニのお約束みたいなものだった。子供向けアニメは設定上小学生であってもとても小学生とは思えないようなキャラがよく出てくるのだ。サトシもその類型みたいなものだと勝手に認識していた。サトシのパーソナルを「10歳の少年」か「歴戦の旅人」かで語るときは後者で考えるのがまあ筋というものだと思っていたわけだ。

だがサンムーン編はサトシを「10歳の少年」として書くことに重きを置いていた。
サトシを歴戦の旅人として書くのはXYで終わりだ。もっとサトシには我々が見逃していた可能性があるんじゃないかと、そういう反省から作られたアニメがサンムーン編だったんじゃないかと思う。20年以上の重荷を脱ぎ捨てて、海で遊んで、学校で学んで、友達作ってとそういう経験をするサトシがいてもいいだろうという。

そういう意味でアローラ地方は最適の環境だった。何てったってアローラはハワイだ。何もかもを忘れるには一番良い土地なんだ。
そこで健全に遊び、健全に学び……サトシがチャンピオンになったのはその延長線に過ぎない。20年以上の旅の末でなくアローラという日常の中でサトシはチャンピオンになった。それは大して重い話ではないんだ。元々サトシにはそういう可能性があった。だから当然のこととして受け入れることができるのだ。

逆に言えばサトシはそうでなければチャンピオンになれなかったのではないかとも思う。20年以上の負債は重すぎる。それだけ負け続けたならサトシがチャンピオンになるには何か特別な理由が必要になる。それはもうこれまでのやり方では到底手に入らなかったのだろう。

というわけでサトシは無事チャンピオンになれた。結構な荒業だけど中々好みの手法だったと思う。
メタ的なことばかり語ってしまったけどこのアニメの面白さはサトシがアローラで過ごす「日常モノ」であるところと縦の方向に積み上がっていく人間・ポケモン関係の積み重ねにある。このアニメを見ればもっとアローラが好きになる。良いアニメだった。

それとゲーム版のifのストーリーとしても面白かった。特にリーリエはゲームでは中々重いものを背負ってしまったけどアニメで背負った荷物はずっと軽くなった。ルザミーネさんはもはやただのかわいいお母さんだし。
サトシに子供としての可能性が描かれたようにリーリエにも子供でいられる期間がなるべく長く与えられたのだろう。ゲームのリーリエの成長と一人で旅立つ彼女を見送ることしかできない苦いEDにも心を打たれたがアニメでは優しい可能性が示された。原作を否定するのではなく「こういう可能性があってもいいだろう」とそっと差し出された滋味の溢れる作品だった。

俺はそれを受け取り涙を流しながら「でもハウくんはもう少し描きようがあったんじゃないかな」と言った。
アニポケはニコリと笑って何も言わなかった。

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