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ステンシルボードでのFCのやり方

 今回はFC(S2C)のやり方を、より具体的に見てみましょう。(※文中に出てくる図はどちらも同じものです。)

 文字盤をファシリテーター(介助者)が持つタイプのFCで大切なのは、実は文字盤を「手前と奥」に動かすことです。

 おそらくFCのやり方は個々人によって少しずつ違うので、すべての人が同じやり方をしているわけではないでしょうが、最近見た動画で気付いたやり方があったので例として解説してみます。

 まずは下の図をご覧ください。
 省略していますが、黒いものがA~Zまでの穴が開いたステンシルボード。右の四角いところが持ち手。茶色は奥行きを表すために書いた机か何かだと思ってください。緑色の線は自閉症者が持つ鉛筆です。

ステンシルボードの例 - 余白カット

 右の持ち手を自分が持っていると想像してみてください。そこを支点にして軽く手前に回転させるようにすれば、ボード全体が手前に動くことが分かるでしょう。そして、ちょうど穴のところに鉛筆が来ていれば、それを穴の中に「迎え入れる」ことができます。これが「メイントリック」です。

 まず自閉症者には文字盤全体に鉛筆をさまよわせてもらいます。ボードをわずかに左に動かせば、その動きを察して自閉症者はボードの右側の方に鉛筆を動かします。ボードをわずかに上に動かせば、自閉症者はその動きを察して鉛筆をボードの下の方へ動かします。そして、ちょうど「正解」の文字のところに鉛筆がやってきたら、ボードを手前に動かして、鉛筆を穴に「迎え入れ」ます。これであなたは自閉症者に、「正解」の文字を入力させることができました。

ステンシルボードの例 - 余白カット

 もし「不正解」の文字を自閉症者が「入力」してしまったら、「体がうまく動かなかったため」と言うことができます。自閉症とは体がうまく動かない障害だ、というわけです。また、「間違った文字」を指しても、単に無視して先を続けることもできます。

 これを繰り返していけばあなたは、どんな文章でも自閉症者につづらせることができるでしょう。

 ……この話は、続きます。