おんなともだち

noteの更新もなかなかできなくて、企画メシの感想とかも書きたいけどなかなかまとまらなくて言葉にならなくて…と自分で自分に言い訳しまくっていたらなんとひと月も過ぎてしまったのでした。
感情やもぎたての気持ちには鮮度があって、その時感じたことをみずみずしいまま言葉に表して気持ちを整理することが今のわたしには必要なことなのかもしれない、と思って、思いついた時に書くことを決めました。

前置きはよくって。
今日は思いつきで、She isが企画している柚木麻子さんのお話を聞きに行ってきました。真夜中3時ごろ、なかなかテストが作り終わらないし眠たいしもう無理!となんとなくストーリーを眺めていたら、She isの投稿が流れてきて、応募期限を見てみるとなんと27日まで。日付回ってるし無理かなあ、でもこんな好きな作家さんのお話聞けること滅多にないし、今応募するしかなくない?今晩中にテスト仕上げれば行ける!と急にやる気になり、駄目元で応募してみたら、今日のお昼頃に無事に参加できますとのメールを頂き無事に参加できました。

"おんなともだち"=辛い時に連帯して助け合うもの

柚木さんは元々、中高を女子校で過ごされている方で、まず"シスターフッド"という「姉妹の契り」についてのお話をされていました。わたし自身ずっと共学かつキリスト教系の学校に携わったことがないため、この考え方に触れたのが初めてで、とても新鮮な気持ちを味わいました。
シスターフッドとは「辛い時などに連帯して助け合う、血縁関係のない連帯」のことだそう。韓国でいう「オンニ」に当たるものだそうです。日本人にはあまりピンときにくい概念なのだとか。会場に来ていらした方の中にも、女子校出身の方も多数いて、「そういえばミソジニー系の先生が多かったかも…」と仰っていました。
柚木さん自身にも、15の頃からの親友と、とても大好きだった先輩がいらして、その友情関係が作品の節々に生かされているそうです。女子校育ちだった分、大学に入ってからのカルチャーショックが大きかったとか。自作のモテスクラップブックは是非一度目にしたいものです。笑

ドロドロした負の感情もたくさん描きたい

上の記事にもあるように、白柚木・黒柚木と言われるくらい、女同士のドロドロした部分を丁寧に描くことに長けていらっしゃる柚木さん。わたしはその中でも特にブラックな『ナイルパーチの女子会』という作品から入ったのですが、こんなにもドロドロした感情を言語化できる人がいるなんて!と思うくらいにドロドロしていました。女同士がちょっとでも噛み合わないとすぐ"ドロドロしてる"と言われる世の中で、そういう負の感情もたくさん描いていきたい、と柚木さんは言います。友情とか親友とかって、常に仲良しで常に良好な関係でほのぼのしていて、と思われがちですが、そんなことはなくて。自分がうまくいかない時にはうまくいっている友人に嫉妬したり、その逆もあったりして、常に同じ関係でいられないもの。どんなドロドロの中に本物の絆もあるはず、と仰っていて、わたしもそういうふうに思ったことあるなあ…と一人頷いていました。

どんな女性にもうまくいかなかった友人関係があるはず

男女の恋愛よりも、うまくいかなかった友情が失恋よりも深い傷になるんじゃないかなあ、と言っておられたのが印象的でした。わたしはそんなに友人と喧嘩することもなく、比較的平凡に相手を慮って友達づきあいをして来たので、ものすごくうまくいかなかったという経験はまだないんですよね。でも、真っ当に喧嘩したり、いがみ合ったり、そういうことを思春期に経験している人ほど、このセリフは刺さるんじゃないかなあと思いました。

柚木さんのオススメの本

有吉佐和子『処女連禱』
心に架空の恋人が居たっていいじゃない!という連帯。マウンティングされまくり女子。有吉さんは嘘つきの女を書かせるとピカイチだそう。

エマ・クリーン『The Girls』
これは実際にあった、マンソン事件というものがベースになっているそう。マンソンガールズと言われる、いわゆるマンソンが家出少女を集めて作ったコミューンは、一見すると自由で、女の子たちはみなマンソンに惚れていて、憧れの対象だが、実は俯瞰視するとマンソンそのものが弱者で、という入れ子構造になっているらしい。青春の終わりを描いた作品で、これが一番読んでみたいなあと思った。わたしも一歩間違えばマンソンガールズみたいになっていたかもしれなかったからだ。

エレナ・フェッランテ『リラとわたし』
1950s頃のナポリを舞台に描かれた、封建制や家父長制が根深く残っていた頃のお話。アメリカかどこかでドラマになるそう。この作品は、いわゆる"推し"が親友で、"今この子から目を離したら、人生の重要な部分がなくなっちゃう!"って思えるのが柚木さんのいう"推し"らしい。力関係が常に変化しているところも見所。

エリザベス・ウェイン『コードネーム・ヴェリティ』
WWII中のスパイのお話。とにかく何が真実かわからなくなるような話らしいけれど、スパイとマディという女の子の友情だけは本物みたいなので、これもいつか読んでみたいと思う。

わたしにとって女友達とは?友情とは?ということを考えさせられるいい機会だったし、何より柚木さんがこんなに気さくで面白い方だとは思わなかったので直接お話を伺えたのが何よりの収穫でした。今ちょうどButterを読んでいる最中なので、早く読み切りたい!
それと、小中高大一つも女子校を通って来てないのに、初対面の人に「女子校育ちっぽい!」と言われる理由が少しわかったような、気がしました。全然意識してなかったけど、フェミニスト寄りなのかも。キリスト教のこととか、フェミニストのこととか、もっと勉強したいな。
余談ですが、この間の編集の企画で畑中さんは「夢を見させるものがエンタメ」と仰っていたけど、柚木さんは「もっと月9とかで75歳のおばあちゃんが主人公で夫に先立たれて、これからどうしよ!」みたいな話をやってほしい〜とこぼれ話をされていて、ウケるもの・描きたいものは人それぞれなのだなあと思わされました。

最近ずっと聞いてる大森靖子ちゃんの「死神」
https://www.youtube.com/watch?v=uA7ZGV5z3i4
"いつか男とか女とか関係なくなるくらいに愛し合おうよ"という歌詞がだいすき。

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