ソフトクリームの飴の思い出

いつの間にか飴を舐めなくなって。
たまにのど飴くらい。
だって歯医者も飴はダメだっていうしさ。

私が子供のころはよくわからない大人が街中を徘徊していた時代でした。
だいたいどのエリアにこんな人がいて、風貌とかチャリ乗ってるとか、有名人ではないけどもそういう人もいて許されたというか、生活の風景の一部で。

その徘徊してる大人のうちの一人のおじさん。
釣り用のカーキ色のベストを着ていて薄いサングラスのようなメガネをかけていて、杖をついて歩いている。
今だからわかるけどおそらく脳梗塞か何かの後遺症なんだろう。
独特の歩き方と何かしゃべりかけられるけども何を言ってるか子供にはよくわからなかった。
それが子供ながらに不気味ですごく苦手でした。

公園で遊んでいるとどこからともなく現れ、その時は友達の影に隠れてやりすごしていた。
しかし1回、下校時にバッタリ出くわしてしまって。
いつも遠目で見て、そのおじさんがいるようなら早歩きしたり反対側の歩道を歩いていたんだけども、丁字路から出てきたので避けようがなかった。
一緒にいたのは公園では遊ばない、下校が一緒なだけの同級生の女子数名。
おじさんは何かを言おうとしてるんだけど、何を言っているか全くわからない。
しかしここは、私が友達を守らねばとよくわからない使命感で私が先頭に立っておじさんと交渉(?)に。

手のひらにいくつか小分けになってる飴を乗せて、
「うっ…うっ…」
と差し出してくる。
「これはもらえばいいの?くれるの??」
ときくと嬉しそうにニンマリとする。
走馬灯のようにいろんな可能性を思い浮かべた。

学校じゃ知らない人に付いていかない、と言われている。
断ったらこのおじさん怒る?逆に危ない?
飴を受け取ったとして、大人にどう説明する?

いろんなリスクを考えて一番ヤバいのはおじさんを怒らせることだ。
杖を付く程なので走ったら鈍足の私でも、きっとこの人より速いから飴を受け取って捕まえようとしてきても逃げきれるけど、断って怒ってその杖で殴られたらヤバい。
親や学校で怒られることなんてたかが知れてる…。
っていうことで、「ありがとう」って飴を受け取りました。

おじさんはそれっきり、またどこかに歩いていってしまった。
さて、この飴はどうしよう?と友達と相談したところまでは覚えている。
食べなかったのは確か。

だってそれは、私が好きだったソフトクリームの形をした飴で、いくら好きなものでも怪しいおじさんがくれるなんて、何かヤバいに違いないと警戒して(当時は)断腸の思いで我慢したのを覚えているから。

いつの間にかそのソフトクリームの飴は販売が終了していて、何年か前にダイソーで復刻したらしいけどそれも販売終了。
発売されたのは昭和らしいんだけど、平成の初期くらいまであったよ。

そんな飴の思い出。
急に思い出したので書き留める。

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