「医療的ケア児って知ってますか?」 「療育って聞いたことありますか?」 最近新しい環境に身を置くようになり、自分自身の話をするときに仲間に質問する内容だ。 仲間は 「いいえ、知らないです」 と応えるのがだいたいである。 それもそのはず、私だって難病の息子を生むまで「医療的ケア児」なんて言葉を知ることはなかった。一般の人が知らなくて当然である。 新しい環境での仲間に子育ての話をするとき、上記の質問をすると同時に「こういう機械を使っていて」「栄養はこんなふうに摂っていて」と
ブーブーブーブー。 毎朝同じスマートフォンのアラームが鳴る。今日は少し早めの起床だった。 息子の保育園の日だからだ。 息子は難病であり人工呼吸器や経管栄養といった医療的ケアを必要とする医療的ケア児である。 一般の保育園に入るには選択肢が少なく、家から車で10分の場所にある保育園に通っている。 住まいの市ではガイドラインが決まっており、保育園が預かってくれる時間も9:00〜17:00で延長保育はない。 週2〜3日保育園に通っているので、その日は少し早起きだ。9時に行
私の母は専業主婦だ。サラリーマン経営者にまでなった忙しい父を支え、家事も育児もほとんど全て一人でやってきた。 私が幼稚園の時は、お遊戯会のために本格的なドレスや着ぐるみなどの衣装を手作りし、小学生の時は15人以上の友達を呼んで誕生日会を開いてくれたり、クラス規模でクリスマス会の企画をしたりと、とにかく子どものために手を尽くしてくれた。おかげさまで私も姉もなに不自由なく元気に育った。 そんな主婦として完璧なように見えた母だが、私が10歳のとき精神疾患になった。一人で頑張りす