ウルトラマラソンとの出会いが、運動音痴だった私の人生を変えたストーリー10:サハラマラソンのゼロ関門を越える!

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サハラマラソンに、気軽に参加できる人はいないと思います。

2週間近く必要な休暇、50万円を超える費用、気温が時には50度にもなる灼熱の中を1週間走り続ける体力。

私の体験上、難易度の高い順に書きましたが、もちろん人によりこれは違います。学生さんや働き方で時間の自由度がある方は、費用が一番かもしれないし、挑戦したい情熱が先立ち、体力が伴っていない方は体力が一番のハードルかもしれませんね。

私の場合、伝統的な製造業に勤めていたので、2週間の休暇は仕事への忠誠心なし、イコール、クビ覚悟。もしくは出世路線からの離脱でしたので、それはありえない選択でした。(いまの世の中はだいぶんかわりましたね。良いことです!)

そんな私が挑戦できたのは、サハラに近いヨーロッパ、ドイツ南部への駐在の機会を得たからでした。

日本文化に染まった本社の目が届きにくいこと、金曜の仕事を終えてから、サハラへのチャーター便がでるパリまでいけること、そういった条件から、ギリギリ挑戦することが出来たのです。(それでも、大会直前に許可を得たはずの上司から、「本当に行くの?大丈夫?」という訳の分からない、しかも脅しに近い強烈なパンチを喰らいました..

読者の皆さんの一番興味があるのは、トレーニングだとおもいます。それについては、大会4か月前、12月から冬は仙台や札幌なみに冷え込む南ドイツシュツットガルトで、本格的な練習を始めました。

注)ヨーロッパはメキシコ暖流が流れ込んでいるせいで、アジアに比べて緯度のわりに温暖なのですが、私の住んでいた南ドイツのシュツットガルトの緯度はなんと北海道の最北端と同じ。気候的には札幌よりは暖かい感じでしたが冬に冷え込むと気温は-10度以下となることもありました。

さて私の場合、以前から長年にわたり、平日5キロ前後、週末は最低20キロ、場合によっては50キロといったトレーニングもしていましたので、サハラ対策は、本番で担ぐリュックの50-60%の重さである、6キロほどのリュックを背負っての坂道練習を反復しました。

ランニング時の負荷は気温が左右します。本番は気温40-50度、足元は砂に脚をとられる砂漠。そのような条件は再現できないので、代わりに6-8キロのペットボトルを入れたリュックを背負って砂漠の代わりに坂道の多いコースを、毎週末40-50キロ走り続けました。

3カ月でリュックの方バンドがちぎれるほどの練習のせいでしょうか、元来暑さには強い体質だったせいでしょうか、戦々恐々として臨んだ本番では、自分でも思ってみないほど快調に、もちろんそれなりに脚の痛みや苦しみはあったものの、日本人一位で7日間、245キロを完走することができたのです。

(つづく)








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