転校生

中学1年の確かこのくらい時期だったと思うが、クラスにフィリピンから転校生がやって来た。母語はタガログ語で英語も話せる。日本語は分からない。


外国からの転校生なんて田舎住みの我々からしたら珍しく、最初は皆んなで机を囲んで色々会話する光景もよく見られた。だがそれも1週間ほどでそう長くは続かない。


周りの興味も少しずつ薄れ始め、休み時間ひとりで勉強してる様子か目立つようになった。そんなある日の休み時間、俺を覚えてくれと言わんばかりに自己紹介をした。純粋に友達になりたかったのと、自分が逆の立場だったら不安だよなって思ったのが大きかった。

色々話す機会も増えたと同時に、言いたい英単語が出てこないなんてことも増えた。そんな時の相棒が辞書。朝の読書の時間に辞書で今日話したいことなんか調べたりしてた思い出。


それからして、担任の先生から通訳みたいな形で業務の連絡とか色々任されるようになった。
それも含めてとにかくたくさん喋った。文化のことも色々教えてくれた。でも話のほとんどはとてつもなくくだらないことなんだけど笑


そんな楽しい日々もあっという間に過ぎ、彼女が帰らなければならない日がやってきた。
約1年ほど。ものすごく短く感じた。
最後の日はいつもより長く喋った。
そして日本語で書いてある手紙をくれた。

今も元気にしているだろうか…
私が今1番会いたい人です。

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