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語学書の著者のコラム

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ベレ出版語学書の著者による、本を書くこと以外のお仕事の話、教えること、ことばにまつわること、言語について。
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2022年12月の記事一覧

「社会人」に一休み、中国留学してみれば 第4集 

林屋啓子 初めての春節中国のお正月である春節は、伝統的に家族で過ごす日です。初めての春節、私は中国人の姉弟に招待され、彼らの故郷で過ごすことになりました。姉の娟(Juān)ちゃん、弟の南(Nán)君は日本で研修したことがあり、特に娟ちゃんは日本語が得意です。私は北京から500キロほど南下した世界遺産「泰山」のお膝元、山東省泰安市に向かいました。 伝統を受け継ぐ暮らし彼らの家は伝統的な建築様式で、敷地は高い塀で囲まれています。門をくぐると中央が庭、周りに平屋の建物が配置され

「社会人」に一休み、中国留学してみれば 第3集 

林屋啓子 中国の休日事情私が留学していたころの中国は単独の祝日がほとんどなく、代わりに年3回の大型連休がありました。1月か2月の春節(旧正月)、5月1日からのメーデー、10月1日からの国慶節(建国記念日)です。メーデーや国慶節は公的には3連休ですが、1週間の休日になるところが多いのです。ただ、この休みを捻出するために、大学では「月、火、水、木、金、金、月、月」という地獄のスケジュールが組まれました。宿題が多い上に出席率も悪くなり、休み前はふらふらです。 汽車は一大社交場1

「社会人」に一休み、中国留学してみれば 第2集 

林屋啓子 中国ではまず話さなきゃ!中国で暮らし始めると、最初は人々の態度に少々たじろぐことがあります。平たく言うと「ぶっきらぼう」、「怒っているのかな」と心配になるレベルです。ただ、そこでめげる必要はありません。中国では一般的に「見知らぬ人」に対する警戒心が強く、最初は愛想良くしてもらえないこともあるのです。ということは、相手と「知り合い」になってしまえば大丈夫。 例えばお店に欲しいものがなかったとき、「もうちょっと大きいのがあると嬉しいんだけど」など、少しおしゃべりする

「社会人」に一休み、中国留学してみれば 第1集 

林屋啓子 外国語の勉強が大の苦手だった私ですが、職場で中国人の女の子と仲良くなったのがきっかけで、中国語をかじってみることにしました。市民講座に申し込むと、中国語は漢字のおかげで手がかりが多く、スタートダッシュをかけられることが分かりました。すっかり気を良くした私は、2年ほど勉強したあたりで、大胆にも中国に留学しようと思い立ちました。当時、正社員でなかったこともあり、ちょっと生活を変えてみるのもいいかなという気になったのです。その頃のレベルは中検3~4級ぐらいでしょうか。