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2022.08.26 at 池下 CLUB UPSET / COUNTRY YARD "Alarm Tour"

2021年の3月に会場、そして所属のPIZZA OF DEATHのHOMEと通販限定でリリースされた8cmシングル「Alarm / Let Me Out」。
今回は、これを引っ提げての東名阪3本のリリースツアーである。

このツアーを発表した時に、Twitterでyuki(Gt.)は、「時間を経て、もっと自分達の表現が豊かになってきたことを表現したくて組んだ」と述べていた。

リリースツアーというものは、比較的リリースされた直後行われるのが典型的ではあると思う。しかし、前回、熊谷のレポでも述べたが、今回の8cmシングルといい、7inchのレコードといい、またこのタイミングでのリリースツアーといい、何か考えがあるのだろうが、良い意味で時代に捉われないような独自のスタイルを見せてくれる。

この3箇所の対バンはUNMASK aLIVEという、京都は福知山で結成された5人組のバンド。最近では、6月に大阪で「ONE & ONLY FESTIVAL」を2DAYSで自主開催したことも記憶にまだ新しい。そして何より若い。

恥ずかしながら、ライブを見るのは初めて。

定刻の19時を15分ほど過ぎようかというタイミングで、UNMASK  aLIVEのメンバーがステージに現れる。転換BGMからそのまま登場SEなしで始まるスタイルはCOUNTRY YARDと同じだ。

1曲目は2nd mini albumの表題曲でもある『Focus』。ライブの口火を切るような疾走感のあるメロディーが聴いていて心地良い。そのまま演奏は『Nirvana』に続く。

『謳花』は、2分も満たない曲(「ショートチューン」というのはどこか違う気がしたので「曲」と書く)だが、その中で、メロディーと歌詞がこれでもかというくらい情景を写し出してくるよう。そのまま、The 108 Kleshas Liveの音源そのままに『mirage』へと雪崩れ込み、演奏は激しさを増していく。この流れが哀愁漂う中で、非常に気持ち良い。

UNMASK aLIVEの曲を聴いていて思うのは、歌詞の言葉選びがとてもひとつひとつが秀逸に感じる。

「君と過ごした日々は蜃気楼
夢に翳れば刹那に消えていく
幸せすぎても哀しすぎても
前に進めない 僕らのジレンマ」

失恋をこうも表すのかと、ただただ聴き入ってしまう。すごい。

最初のMCで、バンドの紹介も早々、
ツアー前にCOUNTRY YARDのHayato(Gt)からキャビを貰ったり、前にリハでベースが鳴らなくなった時にベースを貸してもらったり、挙句にはSit(Vo,Ba)からadidasの靴をもらったと、まるでジャニーズかのように、コウダイ(Vo)自ら「COUNTRY YARDの乞食みたいになってる」と述べ、アウェイなはずのような現場をアットホームな雰囲気に徐々に変えていく。

ここから、今年の5月に出た1st E.P「Perfect Blue」の曲が3曲続く。

『酔夢』では、曲間でコウダイが「この曲でCOUNTRY YARDに見つけてもらいました。」と述べていた。
確かに、COUNTRY YARDのyuki(Gt)がこの曲に対してツイートしていたのを覚えている。
この曲のイントロは、きっと一度耳にしたら離れないであろう。
余談だが、自分も初めて聴いたUNMASK aLIVEの曲がこれだったので、その時の衝撃は、驚き過ぎて形容し難い。

『NAGOMILIA』は、音源よりも、遥かにヘビーに感じる。『Not Enough!』は、どこかWeezerやBlurを彷彿させるようなイントロから、また前の2曲と異なる世界観に導いてくれる、そんな気持ちになる。

このE.Pの3曲だけでもUNMASK aLIVEの曲の世界観の広さは十分伝わるのではないか、というくらい、この3曲を通して聴いてる時間は濃く感じた。

勢いそのままに、『Klesha』『108』『KARMA』と演奏は止まることなく続く。

KARMAとは、端的に言うならば、自業自得という意味だが、この曲の歌詞が個人的に最高なので、是非歌詞を見てほしい。

『9号線の果てに』を演奏する前に、コウダイが話す。
「どこに行くにしても必ず通る道がある、それが国道9号線です。その道路では、良いことも良くないことも色々な話をしてきた。」と。
そう言って始まった『9号線の果てに』。時よりコウダイの歌うというよりかは、叫びに近いような歌に胸を突き刺される。

「COUNTRY YARDと対バンするのは、自分たちの夢だった。でもそれはこないだの東京(ツアー初日)でもう叶ってしまった。次の目標は、COUNTRY YARDを超えることだ。」更に、「じゃないとバンドをやる意味がない」とまで述べてしまうコウダイ。超える超えないは別としても、そこまでも堂々と述べてしまうのは、確実にバンドのフロントマンであり、若きTOSHI-LOWと言ってもいいのではなかろうか。いや、同じとは違うか。まあいい。
でもそれくらい真っ直ぐだった。間違いない。

最後に鳴らされたのは『Nagisa』も、UNMASK aLIVEはどこまでも"侘び寂びPOP PUNK"だったし、きっとこれからも唯一無二であろう。


【UNMASK aLIVE】
1 Focus
2 Nirvana
3 謳花
4 mirage
5 酔夢
6 NAGOMILIA
7 Not Enough!
8 Klesha
9 108
10 KARMA
11 9号線の果てに
12 Nagisa


UNMASK aLIVEのライブを思い返しているうちに気づけば転換も終わり、COUNTRY YARDの演奏が始まる。

「Gone...」

まるで祈りのようなSitの叫びから始まる1曲目は『Passion』。イントロのハウリングからのドラムの入りが、どんどん自分の気持ちが高揚していくのがわかる。まるでライブで鳴らすのをイメージして作られたのかと。
偶然にも、今回名古屋には東京から深夜バスで向かって早朝着いたわけだが、バスを降りて、無意識に『Passion』を聴いていた。
どこか始まりを告げるような、開放感に満ち溢れたそんなエネルギーをこの曲は持っていると思う。
また、Sitは曲の途中で確かoasisの「Live Forever」のワンフレーズを口ずさんでいたのも非常に印象的。

そしてなんと、ここで早くも『Starry Night』だ。サビで会場全体が照明で明るく照らされた時、これがアンセムなのだ、と言わんばかりの幸福感をわずか2曲目で感じてしまう。最高だ。

畳みかけるように『I'll Be With You』のアンセム連続投下。激しさの中にどこか優しさがある。
イントロが鳴ったあとの「One, Two」の一体感はもう限りなく普遍的真理そのもの。

最初のMCでSitは「COUNTRY YARDと UNMASK aLIVEのAlarm Tourです。よろしくお願いします。」と言っていた。すごい細かい話だが、「COUNTRY YARDのAlarm Tour」ではなく、「COUNTRY YARDとUNMASK aLIVEのAlarm Tour」なのだ。2バンドでツアーが成り立っていることを、こうして言うあたりにSitの人柄を感じ、良いなあと感じてしまう。

すでに冒頭3曲でも、何度もSitは観客に歌詞を託している。このあとも幾度となく託していくわけだが、託しては、噛みしめるように受け取って、自分のプレイを続けていく。そして、この日は、そこにどこかより優しさのようなものが加わっていて、熊谷で見た時とはまた異なるベースプレイの姿を感じる。

Sitに限らず、他のメンバーもそうだし、COUNTRY YARDのライブは、会場の温度感を特に大切にしている様に感じる。決して他のバントがそうではないとは言っていない。でもCOUNTRY YARDはそこを強く感じる。音を体現するとは、こういうことなのか、ということを感じさせてくれるのである。

MCを挟み、鳴らされたのは1st Album「Modern Sounds」の1曲目『Seven Years Made My Now』。歌い出しで、もうサビか?というほど手が上がる光景はこの曲ならではだと思う。

そこから、『Alarm』『Let Me Out』とツアータイトルのシングル2曲が続けて演奏されていく。

『Alarm』はライブで聴けば聴くほどどこかレトロな、でも今のメロディーの感じがとても癖になってくる。『Let Me Out』もライブで聴くと、間奏の部分のあまりの壮大さに、どこかオーロラのような風景が頭の中で音楽と共に流れた。

流れを止めず『In Your Room』へと続けていく。
アグレッシブなプレイに加え、CD音源とは異なるyukiのギターフレーズが、曲の持つ強さを上書きしていってる気がする。

ここで、10月にリリース予定のアルバム「Anywhere, Everywhere」から、アルバムのオープニングナンバー『River』が披露される。
あと3回くらい、いやそれ以上にやって欲しかった。それくらいもっと聴きたいし、何より新しいアルバムがより一層楽しみである。

「今まであまりリリース前に新曲を演奏することってなかったんだけど、なんというか、初期衝動的な、今のバンドではやりたくなったからやった。」Sitがそう語った。そのあとにyukiもリリース前に演奏することをプレゼンしていたことを述べ、今のCOUNTRY YARDのバンドのモードの良さが曲からもMCからも伝わってくる。

「もう5枚目なんだけど、なんかファーストの時のような気分で、でも、ファーストは一回しか作れなくて、だからただ前を向いて先に進んでいくことを考えてる」

そう語ったあとに鳴らされた『Orb』はとても力強い。

「We're still alive」

最後の歌詞がこの言葉だったのももはや必然だったのかもしれない。

続く『Bed』では、イントロの赤い照明が雰囲気を一転させる。この曲はPVでSitがベッドに横たわってベースを弾きながら歌っている姿が脳内でフラッシュバックされる。個人的にライブで聴くのは久々だった。

『Smiles For Miles』は、曲の構成はすごいシンプルなのに、開放感に満ち溢れていて、どこか表情が明るくなれる気がする。
PIZZA OF DEATHに移籍して、まず「Greatest Not Hits」というベストを出して、その中には当時は新曲として入っていた。でも、アルバムを買って通して聴いたときに、この曲に特にグッと来た時の衝動を今でも覚えている。

MCでSitは、UNMASK aLIVEのMCにも触れ、「俺らアンマスクにものあげてばっかだけど…」と笑わせる。だがその後に、「でもそれ以外にもステージから何かあげれてるんじゃないかなと思っていて、お互いステージで良いもの出し合って吸収しあえたら良いよね。」とサラッとカッコいいことを言ってしまう、そういう男なのだ。

「本当にアンマスク、バンドやっててくれてありがとう。」からの「COUNTRY YARD、バンドやっててくれてありがとう」とSitが言ったあとにメンバーが明るい表情で拍手しているあの光景、とても微笑ましい。普段言えないとも言っていたし、その時の照れ笑いの表情がどこか新鮮だ。「UPSETもライブハウスやっててくれてありがとう」ライブハウスへの感謝も忘れない。

また、アンマスクのリハでベースが鳴らなくなったときに、Sitがベースを貸したエピソードも話していたが、自分のベースの音を初めて客観的に聴いた、と話したあとのSitの表情がしっかり決まっていたのも良い。

そんな暖かいMCの後に鳴らされるは『The Same Old Dream』。こんなMCのあとに鳴らされたこの曲はより哀愁漂って聞こえてくる。しかし、それが良い。
すごい個人的な話だが、COUNTRY YARDのライブでこの曲を聴くのがひとつの夢でもあったので、Sitが歌い始めたときの喜びもひとしおだった。
曲のラストには、oasisの「Champagne Supernova」を口ずさんでいたのも本当に良かった。

続く『Purple Days』ではまた雰囲気が一転。イントロのディレイのかかったフレーズが心地よく耳に伝わってくる。
間奏で、Sitが「Hu Uh〜」と口ずさんでいたのが、とても洋楽のロックスターそのものである。最後の方では英単語で韻を踏んでるのが非常に秀逸に感じ、聴けば聴くほど奥深く感じる曲である。

「ありがとう、また絶対会おう」

『Tonight』でライブ本編を締めくくった。

程なくしてアンコールに応え、メンバーがステージに戻ってくる。

yukiがこのツアーの経緯を語る。

始めに述べたが、今の自分たちをどれだけ表現出来るかということで組んだツアーが当初はワンマンだったということ、町田にアンマスクが来た時にSitと見に行って弾を喰らったこと、アンマスクの企画に誘われてたけど出れなかったこと。
なら、ツアーに一緒に来てもらおう。

ざっくり書くとこういう経緯なのだという。

そして、UNMASK aLIVE、観客への感謝を伝え、最後の曲が鳴らされる。

『Don't Worry, We Can Recover』

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COUNTRY YARD "Alarm Tour"

2022.08.26 愛知・池下CLUB UPSET
guest : UNMASK aLIVE 

1 Passion
2 Starry Night
3 I'll Be With You

4 Seven Years Made My Now
5 Alarm
6 Let Me Out
7 In Your Room
8 River 

9 Orb
10 Bed
11 Smiles For Miles

12 The Same Old Dream
13 Purple Days
14 Tonight

En. Don't Worry, We Can Recover


最後に、雑談程度に書くが、今自分は旅をしていて、その旅をするきっかけもこのツアーが見たいという所が始まりだった。今、最高なのだ。最終日の大阪も見に行く。準備万全。

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