東大農学部正門前の東海高校生による刺傷事件

1月15日の共通テストの日に、東大農学部正門付近で、東海高校の2年性が、受験生2人と大学職員1人を刺しました。

3人は命に別状はなく、女子学生は軽傷、男子学生も退院し、大学職員も一時は危ない状況に陥りましたが、今は回復しているそうで、死人は出ず、そういう意味ではほっとしました。

しかしながら、この事件の犯人は、東海高校の2年生で、成績が上がらずに悩んでいて、他人を殺して罪悪感を感じながら切腹したい、という動機で刺傷事件を起こしたそうです。

どう考えたら、他人を刺傷する、という発想になるのか、なぞですね。

高校2年の時の成績で全てが決まるわけではないですし、高校3年生で急激に伸びる生徒も多いですし、浪人して医学部に入る人も大勢います。

一説には、この生徒の父親は私立大学の職員だそうで、そうであれば、学歴による差別、悲哀を人一倍受けていて、それを子供にも伝えていたのかも知れません。

いい大学に入ればこんないい生活ができる、入れなければこんな悲惨な人生になる、というように天国と地獄みたいに話していたのかも知れません。

しかし、もしそうとしても、実際に受験するのは子供である生徒自身ですし、そこまで思い詰める理由にはならないでしょう。

ただ、東海高校の場合、1月半ばの試験の出来次第で3年次のクラスが決まり、上位クラスに入れないと、いい大学や医学部には入れない、というコース分けがあるようです。

なので、今回事件を起こした学生は、このクラス分けで下位のコースに入るおそれがあり、それを極端におそれて事件を起こした、ということではないかと思います。

東海高校は勉強だけではない、という教育をしている、と公式には言っています。しかし、3年次に一流大学に進学するコースと、それ以外のコースに完全に分けてしまい、優等生と敗者に分類するのは、勉強だけではない、という姿勢とは矛盾しています。

確かに、成績順位でクラスを分ける高校も相当数あると思います。私の通っていた高校でも、そういう感じはありました。

しかし、そんなにギスギスした感じもなく、皆和気藹々とやっていましたし、成績が悪い生徒も別に悪びれる様子もなく、平気で劣等生のままで気にもしていませんでした。

東海高校のようにエリート意識が高い高校の場合は、成績が最大のステータスとなり、成績の悪い生徒は村八分にされる、とかあるのでしょうかね?

というよりも、受験秀才は、どんどん先に行って、劣等生を相手にしている暇はない、といったところでしょう。

さらに、トップクラスは東大にも楽勝で合格できるレベルでしょうから、そんなにガツガツせず、余裕で全国模試の上位に入るでしょう。

それらを考え合わせると、周囲の学生は、今回事件を起こした学生のことなど何とも思っていなかったと思います。

さらに、家族にしても、成績が悪ければ悪いで仕方ない、と思うのではないでしょうか?

ただ、ちょっと気になるのは、イチローが子供の頃からの英才教育で大成した事例があることです。このイチローの事例があるので、名古屋の教育熱が非常に強いのかも知れません。

例えば、ビリギャルのお父さんは息子さんを野球選手にしたくて英才教育をしていましたが、結局息子さんを潰してしまったようで、高校のとき野球を辞めてしまったようです。

こういう土地柄であれば、親も、教師も度を過ぎた厳しさで対応するかも知れません。もしそうであれば、今回の事件をきっかけに、教育方針を改めて欲しいですね。

今や、高学歴→一流企業や高級官僚、医者、弁護士 というルートよりも、ベンチャー企業でIPO→FIREという従来とは全く違う成功のルートが人気になりつつあります。

大学に入って起業して株式公開できれば、若くして一流企業の生涯年収を超える資産を築くことも難しくありません。

だとすれば、高校時代の成績なんか一生から見れば大したことではありません。

過去の学歴重視の時代であっても、大学を卒業後コツコツ勉強していれば、東大生を抜くことも十分可能でした。例えば、英語を徹底的に磨いて中卒でオリンパスに入り、米国営業マンになり、その後独立して数百億円の資産を築いた方もいます。

人生はどこからでもやり直しがききます。高校の一時期の挫折なんかで、一生を台無しにする必要は全くありません。それどころか、それをバネにして頑張り続ければ、もっといい人生になる可能性が十分あります。

成績が全て、という価値観のみにとらわれず、他の世界もある、と視野を広げて欲しいですね。

その上で、東大医学部にどうしても入りたいなら、それに必要なことを全てやればいいだけです。それでも東大医学部は無理だとしたら、他の医学部に入ればいいだけのことです。

切腹するほどのことではありません。

事件を起こした生徒さんは、友達がいなかったんでしょうかね?友人にどう思われるか考えたらとてもこんなことはできないと思うのですが。

とはいえ、負のスパイラルの思考の陥ってしまったら、周りとの関係も遮断し、親子の会話もなくなり、こうなることも止められなくなるのかも知れません。そういう場合でも、親は子供に声かけをすべきと思います。普段と変わらない態度で。

受験さえ成功すれば全てうまくいく、というほど世の中は甘くありません。東大医学部に入っても、血を見て卒倒したり、ベンチャー起業したり、弁護士や会計士になる人もいます。

東大医学部には、成績が良かったから入っただけで、別に医者になりたいわけではない、という東大医学部生もいます。

東大医学部は受験生の頂点として目指す人も多い、ということです。医者になることが目的なら東大医学部にこだわる必要はないでしょう。

こういう事件を見ていて思うのは、この学生は本当に医者になりたかったのか?東大医学部に入ってどういう医者や研究者になってどうこの世界をよくしていくか?という夢や目標が無かったのではないか?ということです。

もちろん、入れるかどうかわからないのに、東大医学部に入った後のことなんか考えられない、という考えもあるでしょう。しかし、東大医学部に入るだけを目標にした場合、入ってから落ちこぼれたり、医師国家試験に合格できないおそれもあり得ます。

実際、東大医学部に入っても中退する人もいます。中退して家庭教師として有名になった人もいました。親類は、「なんだ、家庭教師か」とバカにしていたそうです。

これらの問題は、つきつめて言えば、「生きる力」の問題ではないでしょうか?人としての人間力、生きる力のようなものがちゃんとあれば、どんなに苦しくても、何かやり方を見つけてブレイクスルーできるものです。

その最後の最後の努力ができず、簡単に諦めてしまったのではないでしょうか?

人間力、生きる力を高めるよう、高校はしっかり生徒のケアをして欲しいものです。そして、危ない生徒がいたら十分注意して行動を見守って欲しいです。予兆は何かあったはずですから

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