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【音楽雑記】YUKI「坂道のメロディ」(2012):怒涛の展開と疾走感

今回も前回に続き、菅野よう子作曲による作品。YUKIが歌う「坂道のメロディ」だ。

この曲は2012年のアニメ「坂道のアポロン」のOP曲。歌もメロディも素晴らしいことはもちろんだが、畳み掛けるように変化する曲の展開、異なるテイストのパートを一つの曲にまとめ上げる菅野よう子のプロフェッショナルな剛腕にしびれた曲だ。

最初はBPM 88のミディアムテンポのバラードとして始まる。ホーンやバグパイプ的メロも入ったマーチ的なイントロからAメロへ。続くBメロでも少し素朴で抒情的なメロディが続いていく。

と思ったら、Bメロの後半から、いっきにリズムとメロディが展開し、サビでBPM 176の倍テンポの曲になって疾走感が半端ないロックテイストの曲へ。

ここまで盛り上げつつ、2番のAメロでは一気にミニマムな音数に落としてBメロでも1番と少し違うアレンジで、もう一回サビに突入。

そこから大サビ的なブリッジなメロディを挟んで、再度サビを繰り返し。

最後はイントロと同じマーチ的なモチーフに戻って、オーケストレーションな仕掛けで壮大なエンデイング。。。


異なるテイスト、異なるノリのパートをつなぐのに、ちょっとしたオブリガードの挿入やリズムのクレッシェンド、強弱を絶妙に調整している。
楽器/音色の種類も様々で、バランスがちょっと違うだけでガチャガチャしたまとまりのない曲に成りかねない。

思うに、この難しい曲が成立しているのは、このアレンジと演奏力と歌詞のフィット感、YUKIの歌唱力あってのもので、常人では成立しないだろうなということだ。

そんな意味で作編曲を一体としてまとめている菅野よう子の剛腕さに目がいく曲だ。


一方で、菅野よう子はアレンジや歌い手を問わず心に訴えかける曲も手掛けている。聴くたびに涙腺が緩むのが「花は咲く」

こちらは歌が上手くても下手でも、演奏が多少下手でも、良い曲として成立する力のあるメロディだ。

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