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【極私的音楽雑記】#25「TVの国からキラキラ」一流の軽薄ソング (1982年①)

テレビは楽しく面白く

この頃からフジテレビが「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズを打ち出し、『THE MANZAI』『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも!』『オールナイトフジ』など軽くて面白い番組が続々出てきた。

タモリは根が暗い人を蔑み“ネクラ”と言い出し、林真理子が上機嫌を表す“ルンルン”を流行らせ1982年の流行語になった。ソニーもウォークマンがヒット、“軽薄短小”をポジティブな言葉として使い出す。

バブルに向けて、軽さや明るさを良しとする時代の雰囲気が出てきた。
(この流れに逆行する形で1983年に尾崎豊がデビューし人気になっていく)

西武百貨店「おいしい生活」などで有名になるコピーライター糸井重里の周辺からも、いろんな面白い物事や面白い人々が出てきた。
自分は1982年に始まった糸井さんが司会のNHKの番組「YOU」も毎週見ていたし、「ヘンタイよいこ新聞」も「糸井重里の萬流コピー塾」も楽しく読んでいた。
糸井さんをきっかけに橋本治や村上春樹を知った。

「TVの国からキラキラ」

そんな糸井さんがこの時期に手がけた歌詞には、暗く考えず、軽く明るく楽しく行こうぜ、といった時代の雰囲気をうまくとらえたものが多かったと思う。

「TOKIO」沢田研二 (1980)
「いまのキミはピカピカに光って」斉藤哲夫 (1980)
「春咲小紅」矢野顕子 (1981)
「TVの国からキラキラ」松本伊代 (1982)

沢田研二の「TOKIO」もぶっとんでいたが、松本伊代の「TVの国からキラキラ」も相当だった。

「TVの国からキラキラ」は当時聴いた時にも、斬新で浅い歌詞、奇抜な衣装と振り付け、伊代ちゃんのキャラや独特の声質を含め、いい楽曲だと思った。
作曲は筒美京平だ。

今聴いても、暗さのカケラもない、お花畑感満載の軽薄さが素晴らしい。

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