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#池袋裏百物語 あとがき

「怪談なら、いいですよ」
と言ったのは、どれくらい前のことだったか……。
とにかくそういうことになって、こういうことになった。怪談が好きで、ずっとかなり、めちゃくちゃ好きな方、だと思うんだけど、あまり書くことがなく過ごしてきて、今回書かせていただける運びとなった。

くわしいここまでのいきさつは割愛するけれども、そんなわけで、書くことになったのが怪談企画の「百物語、あといくつ?」であり、「池袋裏百物語」であった。

ここまでは前振りで、ここからは単純に、宣伝告知です。
なにはともあれこちらの朗読劇、アーカイブ配信が以下の期間となっております。

販売期間
8月28日(土)12:00~9月20日(月)18:00
見逃し期間
9月13日(月)12:00~9月20日(月)23:59


見たいな聞きたいな、と思った方は、どうぞお見逃し無く!

購入はこちらから。


dTVの月額課金なく購入は可能ですが、その場合もdアカウントの登録が必要です。最初は少し煩雑になりますので、お時間の余裕のある時に購入下さい。

また、この作品は、全公演キャスト、配役が違います。

◆配役(敬称略)
11日(土)昼公演             
江戸:西山宏太朗 明烏:梅原裕一郎 桜庭:林勇 久陽:熊谷健太郎 山本:土岐隼一
11日(土)夜公演
江戸:梅原裕一郎 明烏:西山宏太朗 桜庭:土岐隼一 久陽:林勇 山本:熊谷健太郎
12日(日)昼公演 
江戸:榎木淳弥 明烏:下野紘 桜庭:狩野翔 久陽:林勇 山本:天﨑滉平 
12日(日)夜公演
江戸:天﨑滉平 明烏:梶原岳人 桜庭:林勇 久陽:榎木淳弥 山本:狩野翔

どの回を見ればいいかというと、好きな役者さんの出ている回を見るのがいいと思います!!!!! それ以上のことなんてある???? ないと思います……。俳優さんにあまり興味がありません、私の作品にだけ興味があります、という方は、どれもどれでも……。決めきれませんが、やはり初回か千秋楽……? 1日目から2日目の間に、一言だけニュアンスを確認していただいたところがありますので、そうなってくると……千秋楽、かな……? ぐらいです。でも、どの回を見ていただけても嬉しいです。

好きな役者さんが2回出ているよ~どっちを買えば~という方用にキャラクターのニュアンスと衣装(大事!)を書いておきます。

江戸:白シャツの青年。語り部。フラットな「僕」。心はどこにあるのか。それとも、どこにもないのか。めちゃくちゃに喋ります。ダントツのセリフ量です。
櫻庭:ガラシャツの男。チンピラ、よりも、もう少し悪人のつもりで書きました。情に厚いのか、それとも今回が特別だったのかどうかは、多分、解釈の分かれるところです。恫喝する役。
明烏:眼鏡でベスト!!!!!! 皆さんこれは覚えて帰って下さい。眼鏡でベスト。そしてよく喋る。夜明けに鳴く鳥のように。役者さんによって一番解釈が違います。
久陽:ごくごく普通の青年。でも、普通であるっていうことはさ、難しいことだよね、と多分思っているかもしれません。苦労人になったり、明烏の捕手役に回ったりしますが、なくてはならないアシスタントです。
山本:ジャンキーでダンサー。久陽くんと山本さんは意図的に「普通の格好」をしていますね。でも、これは、陰陽です。ちょっと普通じゃないところが多い、っていう、普通の人。

なにもわからん説明をしてしまったな……。まあ、ご参考になれば……。

あえて今回配信の方から喋っておりますが、原作は
小説現代9月号(完売おめでとうございます!電子で購入可能です)


作中怪談の原作は
小説現代8月号


に掲載されております。こちらもよろしくお願い出来ましたならば。
なお、作中怪談で使われた怪談は
11日(土)昼公演、12日(日)夜公演 「怪談」織守きょうや
11日(土)夜公演 12日(夜)昼公演 「背景の人々」山白朝子
どちらも朗読用に脚色して使用させていただきました。ありがとうございます。

以上、私からのご紹介でした。

あ! それから、見ていただけた方はオマケとして、個人的に行っていた百物語怪談も、どうぞご覧になっていただけると幸いです。百話目だけでも。

この百物語、せっかく書いたので、気に入っているので、11月にある東京コミティア合わせ、いつものサークル『少女文学館』にて一冊にまとめられないかな~できたら嬉しいな~。だめだったらやりませんが笑 よければその時はまた、よろしくお願いします。

というわけで、宣伝という宣伝をいたしましたので。

以下、内容のネタバレを含むあとがきになります。

あしからずご了承下さい。




「怪談なら、いいですよ」
そう言った! そういったはずなのに~~!!!
結局怪談は書けなかった。あんまり、書けなかったですね。なんとなく、こういうことになるだろうという予感はありました。

そもそも、幽霊って、なんだと思いますか? 魂って、なんだと思いますか? こう考えることは出来ませんか。それは意思だと。それは感情だと。それは思考だと。それは情念だと。それは妄執だと。

こうなった時点で、「こう」なってしまうであろうことは、もう火を見るより明らかでした。なるようになったなぁと思うし、それは演出や役者の皆様に多大なご迷惑をかけることにもなりました。とにかく終始止まらない「概念」の話を、どこまでお客さんにわかっていただけるか……。どこまで、耳で聞いて、理解してもらえるようにするか。
すべての方に、心を尽くして頂きました。
伝わったでしょうか。伝わったのなら、それはきっと、私の手柄ではなく、あの舞台をつくったみなさんの手柄で、伝わらなかったならば、私の力不足です。

舞台を見ながら、ラストシーン、「ゴースト、だったんですよ」という最後の大オチ、うぅん、と少し考えこんでしまいました。このオチ、実は最初のうちは全く決まっていなくって、小説版を書いていたときに、つるっと出てきた種明かしでした。
でも。
これは、もっと私が上手く書けたらよかったな、と思う悔恨なのですが。
明烏先生、それは本当に、理由になっているのでしょうか。そんなことはどうでもいいことではありませんか。ゴーストだから、愛情を持ってたってのは……。
愛するのに理由がいりますか。なんの理由がなくとも、妄執を持ってはいけませんか。好きになったから愛した。それではいけない、ものでしょうか……。
そういう風に書きたかったなと、実際の舞台を見ながら、しみじみ思ってしまったのです。
まあ、作中の言葉を借りるなら、先生はこう答えることでしょう。

卵が先か。鶏が先か。そんなことはどうでもいいことです。

そう、本当ですね。
まったく、情念ばかりで嫌になる、と思います。
そう、私だって取り憑かれだ。私だって亡霊だ。
そんなこの夏の、うわごとに、お付き合い本当にありがとうございました。
またとない経験をさせていただきました。
そして見て下さった、すべての皆様。
江戸くんに、拍手を、どうも、ありがとう。
「池袋裏百物語」これにして──終幕です。

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