10.New YEAR
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10.New YEAR

「明けましておめでとう」
「おめでとうございます」
 朝方廊下ですれ違ったのでそんな挨拶をかわした。一応、形式だけ。
 年が明けたからといってなんでもない。お互いテレビも見ないから、昨日が今日になる、それだけの話。

「あ、そうだ開闢」

 けれど呼び止められたので一応は振り返る。

「なんだ」
「お年玉です」

 渡されたのはポチ袋一つ。

「人を舐めてるのか」

 子供扱いも大概にしろと。

「……とか言いながらうけとるんじゃないですか」
「もらえるものはもらっておく主義だ」
 これみよがしに目の前で開けてみせるが、出て来たものを見て沈黙する。

「……おい」

 睨みつけるが、素知らぬ顔。

「なんですか?」
「こういうのは普通、クリスマスとかな」
「じゃあ、そういうことで」
「誕生日とかな」
「知りませんし」
「……給料3ヶ月分?」
「月給定まってませんので」
 まあ、そうだろうがな。

「じゃあ、そういうことで」

 そうしてさっさと自分のスタジオにこもってしまう。
 なんだかなあと、息をついて、ポチ袋から出てきたそれを手の上で転がす。

「……ダイヤかな」

 なんの事はないポチ袋をぽいと近くのゴミ箱に捨てて。
 初日の出に指輪を透かすようにして、考える。


 さて、どの指に嵌めようか。

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