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タロウ コロ ティー

当家は母が戌年だったので、基本犬好き、猫はわけがわからんから あんまり触らないだったのだが、 はい やってくれました 僕のすぐ下の惨仔、こいつが、いつも秩序を壊す、いえ開明的なのではなくて、頭が弱いので空気が読めない、そして、本人は頭が良くて良い事をしているつもりだから、いつも他がかき回されて迷惑をするという図式(笑)

ある日突然、猫を連れてきて、母に「戻してらっしゃい」 何度も言われるけれど、でもでもだって。

猫と言うのは自由で身勝手だけれど、決して犬に劣るわけではなく賢い、虹彩が黒く、大きなときに母を見上げ 「にゃっ」  「あんたが看なさいよ」 当家の猫歴史が始まった瞬間。

タロウは歴代、一番美しい仔だったかもしれない、白ベースの和毛、ところどころに茶。 ロングテールまでスマートで 顔はきりっと山猫系、フォルムはプーマのジャンプ猫そっくり。

ただ、野良をやっているときに男に虐められたらしく、男が嫌い。 父とは基本の生活圏が被らないし、タロウは旭ヘーベルの2階の子供部屋をテリトリーにしていたから、父とのトラブルは幸いなかった。

彼は、何故か僕を目の敵にして、隙が有れば襲い掛かる(笑) リビングから2階への階段脇に本棚が有ったのだけど、そこに身を潜めて、階段を上がる僕に Pumaマークで襲撃(笑)  そのくせ、飯を食っているときに僕が通りかかっても、尾を振るくらいで逃げはしなかった(笑)

当時は猫の出入りが自由だったけれど、庭は甲斐犬のテリトリー、犬舎の扉は開いていたから、猫は入り込めない。 タロウと清正はリビングのサッシを挟んで、良く睨み合っていた(笑)

僕が嫌いなくせに、ドアを開けろと、ドアのところで僕を見上げる、ほんに猫は勝手なやつだ(笑)

外で喧嘩をしているのを見掛けたけれど、アクションが野生、とても強くて美しい仔だった。

惨仔は馬鹿でいい加減だから、きちんと猫の世話を出来る訳もなく、主に看ていたのは次女のトン仔。 ただトン仔も学生ゆえ、いつも居るわけではなく、家族での世話が足りなかったのか、タロウは或る日、戻ってこなくなった。

惨仔はコリもせず 猫を連れてきた。 コロ タロウと同じ毛並みだけど半尾。 とても気の弱い仔で、外で喧嘩をすると おしりに傷を受ける。 負けて逃げるときにアタックされるので、臀に怪我をするそうな。

この頃、僕は千葉に居たので、コロとは余りコンタクトが無かった。

千葉の大きな街道沿いの中古車屋、僕の職場。 高速を使えば実家まで40分だけど、アパートを借りて一人暮らし。 2階の階段を上がって2つ目の部屋。  買ってもらったお客さんへの訪問なんかもしていたから、帰宅はいつも20時過ぎ。

アパートの2階の廊下にキジトラが居た。 身体は大きいけれど、割と若い仔、ジャパニーズボブテイル。 なつっこくて、僕の顔を見るとにゃあっと鳴く。 首輪はしているものの、僕が部屋に入ると着いてきた。

その日、何故か一緒に寝て(笑) 翌日、出勤するときに一緒に出た。 ホムセンで猫缶を3つ買って帰る。 暫く見掛けず、あの時だけかと思っていたら、週末、ドアの前で声がする。 開けると、するっと入って来て、皿に猫缶を開けたら美味そうに食べた。

時には、僕の車が駐車場に入ると、どこからか走って来て着いてくる。 ある夜、一緒に階段を上がったら、後ろから女性の声、猫の名前を呼んだ気がする。 

「こんばんは、いつも◎◆(名前言っていたけど忘れた)がお世話になっているみたいで」 若くて別嬪さんだった。 彼女がティーのサーバントだった。 

「いえいえ、いつも遊んでいただいてます」 猫が居ると無聊をかこつことはない。

「やんちゃだから、ご迷惑じゃないですか?」 ティーは気が強くて、若いからいたずらもするけれど、甲斐犬で慣れている僕は平気。 若い猫と遊べば、傷は日常、テラマイシンを常備するようになった(笑)。

「本当に言う事を聞いてくれないんです」 猫と犬が違うのは、タロウとコロで何となく学んでいた。  これをきっかけに恋が芽生えたら小説にもなるのだけど、そうは行かないのが世の常(笑) 別嬪さんには彼氏がいるみたいで、週末に訪ねて来る事が多いみたい。 その時、ティーは外に出される。 また、デートで不在の時も外。 部屋に居ると、破壊テロをするそうな。 20時過ぎ、僕が戻ると、ティーはほぼ毎日、僕の部屋で過ごすようになった。 トイレも常備したよ(笑)

僕の休日、4ドアセダンの掃除をしていた。 実家に用事が在ったけれど、その前にワックスと室内掃除。

「あのー」 女性の声がした、シートの下に掃除機のノズルを突っ込んでいたので起き上がったら、ドアに顔をぶっつけた。 中年の女性が立っていた。

「猫ちゃんの面倒を看てます?」                  「さっきまで、そこらに居ましたよ、上のお姉さん所の仔らしいです」

その人は道路を挟んだ一軒家の奥さんで、そこへもティーはお邪魔していたらしい。

「◎◆ちゃん、貰ってくれって彼女から言われたのよ」 え?

「貴方の所へ行って負担が減ったから言わなくなったのね」 あれま(笑)

「彼氏が出来てから邪魔にしていたみたいで、叩こうとして逃げられたり」 ふぅん(笑)

「部屋が崩壊するくらい悪戯するって」 でしょうね、賢くて力が強いから優秀なニャロリストだ(笑)

「保健所に連れていく相談もされたの」 知らずにティーを助けていたのかしらん僕(笑) 

「自分の都合で生き物をどうこうってねぇ」 御意。

「貴方、◎◆ちゃんを引き取って下さらない?」 なんですと?

「ここに居る間は、彼と付き合うのは やぶさかではありませんが」中古車販売会社は支店が沢山あるので、ときどきシャッフルされて転勤も有るかもしれない。

「彼と保健所に連れていくって、猫は邪魔みたいなの」 あ~ お金掛かるしね、猫様に仕えると(笑)

◎◆ちゃんこと、僕の中でティーは砂利を敷いた駐車場をすったか駆けて来る、ジャンプ、僕の車の後部席に、ちょこなんっと移った。

女性と僕は顔を見合わせた。

「今日、実家へ戻るのです、猫は一匹いますけど、そこそこ広いし、妹が4人居るので、サーバントにも困らないでしょう、 たまたま僕が掃除をしていたら、猫が乗ってしまい、新宿界隈で行方不明。 仕方ないですよね」

僕はニャロリストを拉致。 ◎◆ちゃんは京王プラザから1000mの所でティーゲル大王になった。 住友三角ビルと三井の蒼いビルは有ったけど、都庁は建設前だった(笑)

数日後の夜、奥のお姉さんが訪ねてきた。 何故かすっぴん、濡れ髪で。 僕はちょうど、歌舞伎町から栄町に鞍替えした友人と酔っぱらっていて、猫の行方を聞かれたけれど、知らないと答え、それっきりになった。

御蔭で、ムードが壊れて友人が彼女に戻る事も、それっきりになった(笑)

確かに異性と しっぽりタイムに やんちゃな雄のキジトラはマッチしないだろう(笑)

ちなみに、その友人と以前、良いムードになったとき、ケージを破壊して、お尻に咬みついたのはパピヨンだった♪ 彼女の声と僕のアクションで主人が襲われていると思ったのだろう、あのパピヨンはチェリーだったに違いない。

あれから、小型犬は嫌いだ。

性格が良くて、別嬪で良い仔だったけど、縁がなかったんだろうな彼女(笑)

 


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