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ティー ナッチ チッチ コマ

僕は、時々しか実家に戻らない。 ティーが居ると話しかける。 長女妹、惨仔に、いきなり咬みつかれた。

「お兄ちゃん、自分の猫みたいな顔しないでよ、お兄ちゃんがいない間、ずっとトン仔が看ているんだから」

あれまっ トン仔に礼を言い、お頼みした。 医者代餌代は母が出してくれているとの事、 ほんに僕は無責任だ。 ごめんなさい。

千葉で中古車を売っていたら、母から電話が有った。 父の会社の番頭格が辞めるという。 残ったのは僕と同い年の高専出のリーダーだけ。 全盛期は10数人の社員が居て、業界では一番大きな会社だったのに、やれやれ。

それでも、まだ資金は有ったから、父は自宅からワンブロック向こうの道路沿いに店舗兼事務所を構え、戻った僕は、元事務所だった旭ヘーベルの3階に住むことに。 社宅扱いで家賃は3万。 月給は28万、役員登録でボーナス無し、残業代無しだった。 中古屋は50万で残業代は無いけど、ネットを弄れる手当があって、年3回ボーナスだから、収入は7割減以下(笑) プロ野球なら自由契約にしてもらってトレード希望みたいな待遇。

メインの商品は、信用できない実子ではなく、信用できる後輩のリーダー任せ。 僕は家庭用品を あの手この手で、当時、全盛期だったデパートに。

家庭用品は細かく、上手に扱わないと伸びないのに、大口を探せ、コンテナごと売れるところじゃないと取引するなと、足を引っ張られながらw 物産展、催事に食い込み、何とか仕事をしていた。

ボブテイル、キジトラのティーは地域猫のボスに君臨。 先輩猫のコロを立て、家では大人しい分、 ほぼほぼ出歩き、外でティーを見掛け、声を掛けると、僕を一瞥するが歩み去り、後ろから、雌猫がすたたっ その後ろをコロが情けない顔で したたっ。

昭和の終わり、ティーの版図は猫の世界ではアレクサンダー並みで、今でも彼の子孫らしき猫をここいらで見る。 ひょっとしたら、今生女王ティアも子孫かもしれぬ、地下鉄駅、いくつか向こうだが、子孫が増えすぎ、当家としてもいたたまれず、また、彼が交通事故に遭い、後ろ脚に傷を負ったので、彼の避妊手術を行った。 避妊以降、彼は太り、8㎏を超え、虎から狸猫に変身した。 だが、その威厳、知性はティーゲル大王と呼ぶにふさわしいものであった。

長女妹、惨子は猫を連れてくるのだが、頭が悪いので、必要なケアをせず、担当する猫は悉く居なくなる。 コロも、ある日戻らなくなった。 張り紙をするでもなく、仕事終わりに申し訳程度に近所をうろうろ探すふり。

珍しく甲斐犬の清正を連れて、散歩に行き、コロを探す振りの惨仔がサビネコを連れてきた、フンゴロニャオ王国、初代コマ。 惨仔は命名センスが致命的にナッシングだ。

コマは犬慣れしていて、庭で清正や華と寝る事がしばしば、甲斐犬とサビネコは一緒に寝ていると毛並みが同じなので、混ざる(笑)

迷い猫だと思ったから写真を撮り、ヨドバシでプリントしてゼロックスで張り紙を作った。 警察に目こぼしを頼み、あてが着いた後は、きちんと清掃したよ(笑)

丁度、国政選挙も重なったので、コマを肩に乗せて選挙へも行った。 その時に、近所の人がアパートで飼われていた猫だと教えてくれて、夫婦げんかの末に、飼い主である奥さんが離婚の為に帰ってしまい。 飼えなくなった旦那が、出勤の度に外へだし、近所の犬のごはんを ご相伴にあずかって生きていたらしい。

「んじゃっ うちの仔になるかい?」 コマに聞いたら、僕の頬に額をすりつけて、ゴロゴロ言うので決まり(笑)

事務所だった、僕の部屋に明治通りのオリンピックで買った猫トイレと猫様一式が揃った。

コマが来て、すぐにナッチとチッチが来た、惨子が手引き(笑) 体毛のパターンがアメショで鯖虎、顔は虎猫の兄弟。 ティーが受け入れて、妹達エリアは虎猫3つ どれも巨大(笑)  2㎏ないコマはガリバーと小人みたいだったけど、コマには清正という強い用心棒が居てw  良く庭のバルコンで固まって寝ていた。

ティーは当家に来て8年で逝った。 トン仔が看取り、僕もお別れが出来た。 よく顔に怪我をして帰ってくるたびに、トン仔と一緒に洗濯網に居れ、傷口にシリンジを当てて、オキシフルで洗いながら膿を出すなんて荒療治がしょっちゅう。 顔を怪我するのは女の子にもてる証拠だそうでw 勲章だ。 猫の皮膚は厚いから、気が付いたら荒療治が必要になる、ほっておくと化膿して死んでしまう。 最後は老衰、賢くてハンサムで立派な猫だった。   翌年、アメショパターンのチッチが死んだ。 家に戻り、屋根の有る自転車置き場で横たわり血を吐いた、車にやられたのかもしれぬ。

ティーゲル大王が事故に遭ったころ、僕は嫁を貰い、猫と暮らせるアパートを用意したのだが、嫁の親戚の強い進言で、住んでいた部屋を新婚様に改装し、実家に住んだ。 コマのいる新婚生活だった。

一緒になる前は、動物が好きだと言っていた嫁のメッキが剥がれ、コマは僕が戻ると3階から駆け下りて、僕の脚によじ登り、肩に抱いてやると ゴロゴロと喉を鳴らし 甘え声で額を押し付ける毎日だった。

動物が嫌いなら 言ってくれたら 結婚しなかったのにw 僕も動物だものw

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