映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を観てきたので超自由に感想を書く(ネタバレたぶんない)
始まりは父からのLINEであった。
「公開日にSEED FREEDOM観てきたよ(^^)」
我が父、還暦越えるもさすが筋金入りのオタク。
流行りのアニメはきっかりチェックし、先日帰省して会った時は「青のすみか」(呪術廻戦アニメ二期前半のオープニング曲)を購入し、スマホに落とす方法を教えてくれと言ってきた。
さて、その父の影響でドラクエ・FFを知り、漫画の世界を知り、幼少期からオタクの沼へとズブズブと浸ってきた私。
実を言うと人生で最も熱中した作品の五本指に入る作品の一つが、この「ガンダムSEEDシリーズ」と言っても過言ではない。
どれくらいハマっていたかというと、公式サイトを常にチェックし続けた結果、公式サイトが更新される瞬間を目撃したこともあるレベルである。赤いブラーがかかってリロードしたら新情報が更新されていたあの感動、きっと生涯忘れることはない。
ただ、その割には肝心のストーリーなどはわりと忘れてしまっているので、脳のメモリの使いどころを間違っている気はするが、まあとにかくオタクとして熱狂することの原初体験を与えてくれた作品、それが「ガンダムSEEDシリーズ」だった。
どうしてそこまでハマっていたのだろう。
理由を今から語るのは少々難しい。なにせ上記の通りストーリーはほとんど忘れてしまっているのだから。
けれど当時は思春期真っ只中で、昨日まで友だちだった人と突然険悪になることもあれば、理不尽な大人に噛みつきたくなることもあった。孤独で、自分の理解者なんて一人もいないんじゃないかと独り言ちることもあった。
それが、Saw――「君の姿は僕に似ている」ってことだったんじゃなかろうか。
……話を戻そう。
父からのLINE。私はぎくりとした。
SEEDの映画がやること自体はなんとなく耳にしていた。
しかし直視できなかったのだ。
SEEDシリーズは私にとって思い出の作品。
それゆえに観るのが怖かった。
期待からのギャップ。思い出自体がくすんでしまうことへの恐れ。
それに今は子育てに追われる身で、休日でも二、三時間出かけるというのはそう簡単なことじゃない。映画館に行くこと自体が億劫になっていた。だったら評価が出てからアマプラで観ればいいかなどと考えていた。他人の評価で自身の行動を決める、現代人の悪い癖だ。
けれど父は言う――「観る価値があるのは保証します(^^)/」。
私の中の中二が疼く。
観たい。観なければ。
興行収入が好調というニュースの一方、酷評する意見も確かに目にはした。そもそもSEEDシリーズがガンダムシリーズ全体から見たら本流から外れた作品で、ガンダム好きな人からはあまり良い目で見られていないらしいというのは大人になってから知ったことだ。
しかしそれがなんだというのだろう。
これは自分の問題だ。
思春期にハマった作品が、20年の時を経て新作を出す。
そんな奇跡のような瞬間に立ち会わなくて良いのか。
自分の目で確かめなくて良いのか。
向き合え。向き合うのだ。
あの時の情熱に、感動に、再び「出逢えることを信じて」……!
……というわけで、私は重い腰を上げて映画館へ行くことを決意した。
最低限の復習はしておこうと思ったら、なんと公式がSEED・DESTINYのまとめ動画(別名:西川さんすぐ死ぬ)をそれぞれ30分で作ってくれているではないか。ありがたい。
これを観ただけで十分映画は楽しめたので、復讐したいけど時間がないという人にはぜひお勧めしたい。あ、違った、「復習」だわ。
▼まとめ動画はここから観れるぞ!
ここでようやく映画本編の話に入る。
過去シリーズを少しでも見直してから観ると、まず驚くのが映像の美しさだ。
キャラクターの動きの滑らかさ、機体の艶感、戦闘シーンのスピード感に細やかさ。凄く良い。
昔好きだった作品には概して「思い出補正」がつきものだ。
ドットで作られたファミコンのゲームが思い出の中では不思議と立体感のある幻想的なイメージで残っているように、人の頭の中で自動的に美化されがちなものである。
だからその「思い出補正」を超えるのが難しいというのが、あらゆるリメイク作品などに立ちはだかる課題なのだ。
その点に関して、SEED FREEDOMはまずクリアしていると言って良いだろう。
特に終盤の戦闘シーンは、主要ガンダム以外の機体名がまともに分からない私のようなニワカでも口を開けて見入ってしまうほどのド迫力だった。これは確かに映画館で見た方が楽しめる。
次にキャラクターについて。
出てくる、出てくる。みんな出てくる。
公式サイトの紹介でも34人載っているけれど、これの他に回想やらちょっとしたシーンなんかでお馴染みの人たちがどんどん出てきて、一本の映画にしては正直情報過多である。どうりで何度も観に行く人たちがいるわけだ。
そんな中、味方サイドのキャラクターはそれぞれちゃんと「らしい」かつファンが「こうなって欲しかった」と思っていた姿を見せてくれる。
偉くなっても相変わらず奥手で孤独なキラ。(でもガンダムに乗ったら強い!)
相変わらずフラフラしてるかに見えて、今回はちゃんと親友親友してくれるアスラン。(ちょっとえっち!)
毒っけ抜けて主人公としての本領発揮し始めたシン。(君の言動にいちいち笑ってしまったよ!)
映画が終わってからというもの、彼らのことを考えるとしばらくニヤニヤが止まらなかった。Xで感想やファンアートを眺めていたらみるみるうちに時間が溶けていった。
……そう、認めなければならない。
当時私がSEEDシリーズにハマったのはこの世界のキャラクターに恋していたからだ。そしてSEED FREEDOMで彼らにもう一度会えた。眼福。
ちなみに推しはキラだったけど、この映画でアスランの茶目っ気に惚れてしまったし、シンのことはなんかこうよしよししたくなってしまったので、いっそもう一度シリーズのんびり見直そうかなんて思っている。大人になった今見たら、またちょっと見方が変わるかもしれない。
さて、最後にストーリーについて触れておきたい。
当時のストーリーをほとんど覚えていない私が言うのもなんだけれど、「SEEDシリーズってこんなノリだっけ?」という違和感があったのは正直否定できない。TVアニメを見ていた時は割と毎回しんみりしていたような気がするけれど、今回は後半ほぼ笑っていた。自分の中ではギャグ映画になっていた。
理由は、今回の敵がわりと清々しいくらいの悪役だからだ。
同情の余地なし、戦闘で散っても胸が引きちぎられるような思いは抱かない。ただ単に「やったね!」って感じ。
友人同士戦わなければいけない運命、あるいは平和のための行動が誰かの平和を踏み躙ることで主人公たちを葛藤させてきたSEED・DESTINYのストーリーラインとはやや方向性が異なるような気がしてならない。
ただ、自分も一応物を書きエンタメ業界の隅っこに暮らす端くれ、これは正直仕方のない問題だと思う。
メイン機体の活躍シーンを作り、キャラクターたちにそれぞれ見せ所を与え、TVアニメシリーズではなかなか描けなかったキラ・アスラン・シンの三人が協力して敵を打ち倒す場面を描く……それらのオーダーを一本の映画で実現するには敵をシンプルにするしかなかった。そういうことじゃないかなと。
疑いようのない悪ではあるものの、悪役たちもそれぞれキャラクターは立っており、イジりがいある魅力は込められているのだから決して力を抜いているわけじゃない。
ただ、もしこの映画を残念に思う人がいるならば、たぶんこの点は引っかかるだろう。
なので、今回の興行収入をもって今度はアニメTVシリーズで超シリアスな続編を作ってくれることを期待しよう。
(……と言いつつ、今回の映画でやっと主人公三人の幸せな姿を見られた気がするので、もう苦しんでほしくないな……とは思っている)
総括すると、
映像の美しさ、戦闘シーンの迫力だけでも映画館で見る価値あり!
ファンサービスたっぷりでキャラ愛の深い人はきっと楽しめる!
反面、シリアスなストーリー展開は期待しないほうががっかりしないかも!
といったところだろうか。
初めてのnoteにしてはちょっと書きすぎた気もするけれど……。
こんな風に今後ゲームや映画の感想を不定期で書き記そうと思うので、気になったらまた見にきていただけると幸いだ。