過去の推しに思うこと

数年前、応援は大麻に変わるという経験をした。

さらにそのもっと前に、人生で最も愛した担当（今でいう推し）が突然解雇され、華やかな表舞台から姿を消すという経験をした。

そして、数日前応援が覚醒剤という悪魔に変わるという経験をした。

解雇、大麻、覚醒剤。このワードが当てはまる人物なんてこの世に数えるくらいしかおらず、もう大体誰のことなのか察しがつくと思う。

わたしが初めて彼を知り応援するようになったのは、まだわたしがランドセルを背負っていた頃だ。まだ彼はグループ活動すらしていなかった。いわゆる彼が天使だった頃。

その数十年後、自分の人生においてこんなにも辛くて悲しくて寂しいことが三回も降りかかるなんて、当然ながら全く想像していなかった。

わたしは彼が解雇されるまで嘘偽りなく、純粋に愛していた。熱狂的に愛し応援をしていた。

お小遣いはもちろん、バイト代、ときには祖父からもらったお金も全てつぎ込んだ。グッズや雑誌を大量に買い、出演するものは何一つ欠かさずチェックと録画をした。

高校時代のわたしは人生の中で最も輝いていた。多分彼にとっても当時が一番輝いていたんだと思う。ツアーには行けるだけ行き、今ほど転売が「いけないこと」と言われたり叩かれたりしている時代じゃなかったので、よりいい席を求めたり、とにかくチケットがご用意されなかった公演に参加したくて、出来る限りのことをして時間とお金が許す限りつぎ込んだ。

人生の中で父に激怒されたのも、黙って大阪に遠征に行った時だけ。怒られることは無数にあっても激怒というのはこの時だけ。親にすら言わずとにかく夢中で、そして全力で追いかけていた。

大袈裟じゃなく、自分の人生＝彼だった。

いじめに遭い死にたかった時も彼を応援したいから生きていられた。

どうにかして彼の人生に関わりたくて同じ大学、同じ学部に進学するという、あまりに浅はかな暴挙にもでた。（学費とか入学金を思うとあまりにも、両親に申し訳なさすぎる）

解雇されて、しばらく経ったあとバンド活動を始めた彼。始めた当初はものすごく複雑な思いを抱えつつライブに通った。

そして、追いかけて15年以上がたったある時、そのバンドのライブの特典で写真を一緒に撮ってもらう＆サインがもらえるという特典に当たって、ついに言葉を交わし、名前を呼んで書いてもらうという、奇跡が起きた。

その奇跡が彼から離れるきっかけになった。

不思議なもので、手の届かないキラキラしたアイドルだった彼が、言葉を交わせる距離にいることに魅力を感じなくなった。

わたしが見たいのは、愛したいのは、ドームのステージでキラキラしたアイドル衣装を着て踊る姿だったんだと気づいた。

根っからの男性アイドル好きなわたしは、バンドマンじゃ満足できない。

そんなことはどうでもよくて、きっと完全に断たないと様々な気持ちをずるずる引きずると思い、それ以降彼を見たりすることをほとんどやめた。

で、やめてしばらく経ったら親友からLINEが入った。
それが一回目の逮捕の知らせだった。

あまりにも衝撃的だった。
なのになんか「あーやっぱりやってるよね、わかる」という矛盾した気持ちもあった。

色々言いつつも、人生で最も愛した男が「容疑者」として全国ニュースで報じられる衝撃は、心に大きなダメージを残した。トラウマになった。

釈放され、スーツを着たガリガリの彼を見た時、わたし15年超ってなんだったんだろうと思った。

尿検査で大麻陽性なのに、不起訴なのもよくわからなかった。（日本では所持は違法で使用は合法というのは知っている）

各所で反省を述べていた彼。
解雇のときに絶望感で死のうと思った彼。

逮捕にかこつけて報道される彼のプライベートや下半身事情。どれもこれもくそくらえと思った。

悪質な記事でPV稼ぐものも全て滅んでしまえと呪った。

逮捕によりバンドは解散し、個人で活動するようになった。それも極力みることを避けた。

キラキラした思い出が汚れてしまう気がしたから。
タトゥーまみれの彼を全て愛せなくても、彼の過去だけは綺麗なまま愛し続けたかったから。

派手な衣装を着て、東京ドームで黄色い声援を浴びる彼の頭の先からつま先まで全て変わらず愛しているから。

過去に縋っているから。

ただ、こんなことを言っておきながらYouTubeのライブ放送がたまたま目に入り、微々たる額だが投げ銭（スーパーチャット）をしたことも2回だけある。

そこから時がたち、また「容疑者」になった。

は？？？？？

は？？？？？？

お前反省して、ライブの物販で手売りとかしながら頑張ってたんじゃないんか？？？？

は？？？？？？？

「覚醒剤取締法違反」

「覚 醒 剤 取 締 法 違 反」

「覚　醒　剤　取　締　法　違　反」

は？？？？？？？？

大麻からなにバージョンアップしてんの？？？？
いつから？？？？なんで？？？？なんでなんで？？？？

言ってることがわからなかった。

そして捕まった本人も「わからない」と言ってて本気で意味がわからなかった。

捕まってて「わからない」ってことはもしかして、彼のものではない？なんてことを思うわけもなく、なぜか100%黒だなって思った。

ホテルに覚醒剤を忘れてくる。

えっ？どんな馬鹿なの？？
捕まりたかったの？？？

これまで散々裏切ってファン泣かせてきたり、家族、関係者に迷惑かけまくってたのに、また？？

そもそも覚醒剤を買う金なんてどこにあったの？

と、悲しみや絶望よりも先に疑問と怒りが襲ってきた。そして時間と共に悲しみや絶望、失望、辛さとかが一気に色々襲ってきて、その晩は寝れなかった。

次の日も何度も途中で目が覚めた。フラッシュバックに襲われた。

あの幸せで輝いていた日々は何だったんだろうと虚無感にも襲われた。

彼を応援しなくなって結構時間が経っているにも関わらず、メンタルがボロボロになった。

見捨てずに今の今まで応援してきたファンや彼のお母様を思うと、本当につらくて悲しい気持ちにもなった。

何より前にいたグループ名がデカデカと報道されるので、今そのグループを守っている3人に対して、なぜかわたしが申し訳なくなった。

昨日、覚醒剤の陽性反応が尿検査により出たと知った。
そして、置き忘れからすぐに逮捕ではなく泳がされていたことも。

きっと本人は置き忘れに気付いていたと思うから、毎日冷や冷やして過ごしたんじゃないかと思う。

今何を思って、送検先で過ごしているんだろうか。

また、死にたいと絶望しているんだろうか。

投げ銭によって、1円でも覚醒剤の購入に加担してしまったんだろうか。

いろんなことを思う。
わたしは彼がどんなにクズでも、どんなにゴミでも、彼が見せてくれた景色や思い出だけは本物だから、嫌いにはなれない。

100%の無関心でもいられない。

やっぱり当時の彼に勝る人はどこにもいないから。

今の推しはもう彼ではない。でも彼は間違いなく今のわたしを作る要因であったし、当時のわたしの全てだったから。

あなたが死にたいと思うとき、わたしだって思っているよ。

あなたが「解雇されたとき死のうと思った」って言葉にした時、わたしも死にたかった。

そんな言葉、聞きたくなかった。

また、いつか帰ってきて言うのだろうか。

それとも後悔と反省を口にして、また繰り返すのだろうか。長いことずっと彼だけを見てきた結果、わたしはまた繰り返すんだろうな、薬物に逃げるんだろうなって思ってるよ。

長い年月をかけて、そう思わされてしまった。

庇う余地がどこにもないことが、とても悲しい。

「弁護士が来るまでなにも話さない」なんて往生際の悪いこと言ってないで、全て話して反省してくれ。

は？こいつここまできて反省するどころがクソみたいなダサいこと言ってんじゃねぇよ、って思わせないでくれ。

そう思いつつも勝手に溢れて止まらない涙を止めてくれ。

誇れる担当でいてほしかった。
過ちを重ねた分、もう二度とそういうことを起こさず、ファンが安心して応援できる男でいてほしかった。

何度も失望しながらそれでも応援してくれるファンのお金でそんなもん手にしてほしくなかった。

「容疑者」なんていう肩書き二度と見たくなかった。

また、逮捕にかこつけてクソみたいな下半身事情とかごみみたいな記事を書かれてほしくなかった。

いいようにPV稼ぎのゴミ記事のネタにされないでほしかった。

反省して、やり直せなんてもう言わないし望まないから、大人しく慎ましく、身体を大切にひっそり生きてほしい。

わたしはどこまで行ってもアイドル時代のあなたが好きだから、今の素行で思い出を踏み躙らないでほしい。

この期に及んで嫌いになれないのが悔しい。

今朝、彼が自ら命を絶ち、その葬儀に行き、わたしも一緒に死のうと思ってうなされる夢をみた。

どこまでいっても過去の推しに縛られている。

今のわたしが彼と一緒に死ぬなんてことは100％ありえないのに。

お願いだから、身体を大切に、家族を大切に、友人や仲間を大切に、そして自分を大切にして、幸せに暮らしてくれ。

おクスリや大麻、くそみたいな人間関係を断って、幸せになってくれ。