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RPEって何?

Noteをご覧いただきありがとうございます。今回は(今更感はありますが)RPEについて色々書いていきたいと思います。

タイトルにもなっているそもそもRPEって何?という話から始めたいと思います。
RPE(Rate of Percieved Exertion)とは日本語に訳すと『自覚的運動強度』であり要するに『本人がどれくらい運動をしんどいと感じるかの指標』です。

この指標を元ノーギアパワー世界チャンピオンのMike Tuchschererがパワーリフティング用に定義したものが我々がよく見る『RPE』というものになっています。

彼の定義ではRPEは10を最高としてそこから1回の余力を残す毎に1個数字が小さくなります。文章力が無く伝わりづらい文になってしまいました。

100kg×8回できる人がいるとします。彼が100kgを8回行ったらもう1回も余力が無いのでそのセットのRPEは10になります。同じ彼が100kgを7回行ったらもう1回できる余力があるのでそのセットのRPEは9になります。同様に6回行った場合はRPEは8、5回行った場合はRPEは7となります。

ここまではなんとなく知っていた方が多いのではないでしょうか。

ではRPEがどのようなものかは分かりましたがRPEを用いてトレーニングすることでどのような利点があるのでしょうか?

自分のその時の出力に合わせたトレーニングができる

RPEを用いたトレーニングの最大の利点です。実際に私自身に当てはめてみて考えてみます。

私は先日の全日本前の過去最高の調子の時で230kgが5発できました。しかし今230kgをやれと言われたら2発が限界だと思います。

ではプログラム上、そこそこ重めの日として230kg×3×3が組んであるとします。全日本前の私なら余力を残して行えますが、今の私は潰れてしまうでしょう。すると意図していたトレーニングが行えなくなります。体の疲労も意図していたものとは違ってきます。

しかしこれが3×3@RPE8というプログラムだったとしましょう。すると全日本前の調子なら230kg×3×3、今の調子ならおそらく210kg×3×3を同じ2発余力残しで行うことになります。調子が落ちていても同じトレーニングを行えます。

逆のパターンもあります。今後自分が練習していって240kg×5回できるぐらいの力になるとします。プログラムで5発のマックスをやらせる意図で230kg×5×1が組んであったとします。全日本前の私ならちょうどいいですが、強くなった私は余力を持ってあげてしまうでしょう。

5×1@RPE10なら230kg×5×1、240kg×5×1と同様の意図のトレーニングを行えていたでしょう。

前者の問題は上級者に、後者の問題は初心者に多く見られます。前者の場合はトレーニングの強度が意図より高くなりオーバーワークになってしまう可能性が高いです。後者の場合はトレーニングの強度が意図より低くなり刺激不足で思ったように伸びないことがあります。

トレーニングをRPEで管理することによって意図する強度を保つことができ、結果として意図するレベルで体を疲労させることができます。これがよく聞く『RPEによる疲労管理』です。

トレーニングの進度がわかりやすい

従来のトレーニングでは例えば100kg×5回できる人が強くなっているかを知るためには102.5kg×5回をやる必要がありました。しかしRPEを用いてトレーニングを行えば100kg×5回@RPE9や102.5kg×4回@RPE9ができれば恐らく強くなっているであろうという確認の仕方ができます。

これによって常にマックスを計測し続けなくても強くなっているかが確認できます。確認できることによってトレーニングのやる気にもかなりいい影響を与えてくれます。

また、ある回数帯に固執しなくても良くなると言うことなのでトレーニングに多様性を出しやすくなります。


しかし長所があればやはり短所もあります。
RPEの欠点や難しさ、疑問点も上げてみたいと思います。

RPE 10を知る必要がある

当然RPE8、RPE9の感覚を分かるためには自分にとってのRPE10の感覚を知る必要があります。そしてこの感覚はRPE10のセットをたくさん行って、身につけていかなければダメなものです。また初心者のRPE10の感覚と上級者のRPE10の感覚も全然異なります。

そして残念なことにRPEベースのプログラムで高頻度でRPE10が組み込まれているものは少ないので初心者の方がすぐにRPEを用いたトレーニングを独自に始めると、RPE10を覚えるチャンスがなくなってしまいます。

つまりRPEを用いたトレーニングを効果的に行うにはある程度のトレーニング歴が必要です。コーチがいればその限りでもありませんがそれでも本人がRPE10の感覚を覚えていかないと効果的とは言えないでしょう。

主観的である

自信過剰気味の人であればRPE9だったとしてもRPE7と言い張ってしまうといった問題です。またプログラムに100kg×5回@RPE8などと書いてあったらRPE8にする義務感がある、でも重量は下げたくない、となるとRPE9でもRPE8扱いにしてしまうことが多いです。

RPE毎での重量の誤差

これは少しわかりにくいと思います。例えば1×1@RPE9.5の日があるとします。RPE9.5の定義は『あと一回はできないかもしれないがもう少し重量は足せる』です。私は1発マックスが265kg、2発マックスが245kgです。そうすると私のRPE9.5の範囲は247.5kg〜262.5kgになります。ですが1×1を247.5kgで行うのと262.5kgで行うのでは全く疲労度が異なります。

このように数字が大きくなっていくと特に誤差が生じます。この辺の微妙なところを感覚で調整できる方はいいですが難しい方にとっては大きな問題となり得ます。

TUT(Time Under Tension)の問題

TUT(Time Under Tension)とはパワー競技においては要するにバーベルを持っている時間のことです。

マックスが共に100kg×8回のAさんとBさんがいたとします。Aさんは楽にレップをこなしていくように見えて急に潰れてしまうタイプのリフターです。Bさんはもう潰れるだろうというところから数レップできる粘り型のリフターです。

AさんとBさん両方に100kg×7回@RPE9をやってもらうとしましょう。Aさんは20秒でセットを終え、Bさんは60秒でセットを終えました。この2人の疲労度は同じでしょうか?

私は異なると思います。Bさんの方が遥かに疲労度が高いと考えますがRPEの数値だけではその判断ができません。ご自身がBさんタイプのリフターであるという自覚がある方は少し気をつけてみてもいいかもしれません。


いかがだったでしょうか。以上簡単にではありますが私なりにRPEについてまとめてみました。RPEは正しく使えばかなりトレーニングの質が向上するものだと思います。ただ気をつける部分が多いので初心者の方こそ熟練者の方やコーチに教わりながら行うのがお勧めです。

RPEベースのトレーニングを行うなら、元ノーギアベンチ世界チャンピオンの東坂さんが作成されたトレーニングサポートツールの利用がおすすめです。このRPEだと何kgをやるべき等の自動計算はもちろん、ボリュームの管理、トレーニングの記録、それらをグラフで可視化してくれる非常に便利なツールです。2つのプログラムも付属していますので『RPEのトレーニングやってみたいけど何をやればいいかわからない』と言う方に非常にお勧めです。

私自身がノーギア250kg、フルギア380.5kgを上げるために行ったRPEベースのプログラムも販売しておりますのでよければご覧ください。

近日中に初心者向けのRPEベースのプログラムも発売する予定です。ぜひよろしくお願いします。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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