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4 海外の女性と秋葉原のお店を回ったお話し

もう四半世紀は過ぎたと思います。
縁あってほんの2年足らずですがCS放送の会社に籍を置きました。いわゆる出向という形です。

新聞にそこそこ大きく取り上げられたCS放送の、その立ち上げのタイミングでした。オフィスは陸の孤島みたいなところでした。TOPの方針でしたね。
複数の会社が乗った事業で、異文化との出会いにワクワクしていたことを忘れません。

一つが外国の会社で、日本の放送産業を見てみたいと言われ、一緒に働くことになった何人かと秋葉原の家電量販店を見学に行きました。もちろんです。

はっきりと覚えているのは「なんで目の高さにIRD(チューナーのこと)がディスプレイしてあるの?」
「その高さに置くのはTV(コンテンツを映し出す装置という意味)であるべきでしょ?」という女性の言葉でした。
言葉はわからなくても、身振り手振りから読み取りました。

アナログとデジタル

新鮮な問いかけでした。愉快であり痛快でした。つまり、名だたる家電メーカーが来るべきデジタル放送時代に備えてこぞって家電店に提案して、IRDをドドーンと店頭に飾ってもらい始めていたのです。私はそのひとつのメーカーからの出向社員でした。

彼女は、たしか番組編成の担当だったはずですが、「CS放送文化の幕も明けていないのに、ハードの競争だけでコンテンツをほったらかしてしていいの?」と問題提起をしてくれたわけです。

四半世紀経った今なら、この電気メーカーの提案やお店の順応はおかしいかなって気づかれるかもしれませんが、当時はそんな感じでした。

問題提起を社に持ち帰って仲間たちと話し合って、作戦を練ったことは楽しい思い出です。自分たちなりの「1/4インチの穴」探しにやっきになっていました。

でも力が足りなくて、自分の職務をやりとげたかというとそういうわけではありませんでした。