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ヲ いちばん好きな漢字は何?

前回投稿した名曲 “プカプカ” は “南” という名前のジャズシンガーが唄のモデルであり、南のブルースとかいう副題がついていたことを憶えていました。検索すると、初めてのレコードが発売された時は “みなみの不演不唱(ぶるうす)” と併記されていたことを思い出させてくれました。サイトには “南” さんは強烈な個性のジャズシンガーだったことや担当するラジオ番組の現場に来なくなり行方不明になったこと、その後副題が併記されなくなったことも書かれています。この唄が世に知られるようになったのは、作者の西岡恭蔵さん同様に何人もの個性的なアーティストがカバーしたことが原因だと載っています。固有名詞としての “みなみの不演不唱” は、しだいに普遍性を持って拡がっていったとらしいのです。

その “南” という字について書き遺します。この note は、日記兼エンディングノートでもあります。

数年前、会社の仏教勉強会で “いちばん好きな漢字” を考えてきてくださいと、翌月までの宿題が出されました。与えられた瞬間に、とてもいい質問だな、いい機会を貰ったなと思いました。こんな歳になるまで以外に単純なことを考えてなかった、ということに気付いたのです。 “beの肩書き” という本を読んで “bench warmer” を考えたのとほぼ同じ捉え方をしました。

そしてひと月考えた結果 “南” という字を “いちばん好きな漢字” に定義することにしました。そのいきさつをからめながら、“南” にまつわることを書いていきます。

上述したジャズシンガーの “南” さんは下の名です。最近のアイドルグループやコミックの主人公にも “みなみ” ちゃんが居ます。逆に苗字の “南” さんもありますね。往年の沖縄のアイドルだったり、往年のシンガーソングライター、親子そろってバレーボールの一流選手もいらっしゃいました。さらに “南” を含む二文字の友人も居ますし、現在お世話になっている僧侶にもいらっしゃいます。気のせいか、例外なく温暖な感じの方々です。

そして我が父方も “南” を含む二文字の姓の家系です。お仏壇屋時代に “南” を含む二文字の職場の女性と二人、近所の居酒屋で “南の会” をして “清酒 南” で酔っぱらったことはいい思い出です。

話を飛躍させると、わたしは父や父の兄弟姉妹の暮らしの中に息づいていたのではないかと想像する宗教的な感性に共感しています。でも一度たりとも具体的に聞いたことは無く、こちらが歳をとってイエの宗教としての浄土真宗、大阪の町と浄土真宗の背景を知った後に “そういうことかぁ?” と勝手に想像しているだけです。

それ以前に、浄土真宗は “なむあみだぶつ” がそのすべてであることも、漢字で “南無阿弥陀仏” と表記することも仏壇屋に転職し朝礼でお経をあげるまで知りませんでした。南無釈迦牟尼仏、南無妙法蓮華経、南無大師遍照金剛など、あまねく仏教宗派においても “南無なになに・・” と唱えるのは、お釈迦様の国インドの挨拶の言葉 “ナマステ” の音を真似た表記だということもそのころ知りました。〇〇に従います、帰依します、お任せしますという意味も若い頃は知りませんでした。

正信偈という浄土真宗のお経は、和讃と呼ぶお経と組み合せてあげるのが習わしですがここでは何度も何度も “南無阿弥陀仏” を繰り返し、時には “南無(なぁ~ぁも~)” また時には “南(な~)” と締める句が登場します。この “ な~ ” は、チャーミングです。阿弥陀さんに “ お任せしますよ~ ” “ みんなもそうだよね~ ” みたいに思いながら、 “ な~♪ ” って発声します。大阪弁で同意を求める時の語尾は “ な~ ” ですからなおさら親しみを感じます。

大学卒業後には、母方の血筋の備後地方で少し暮らしたことがあります。この地域では “ な~ ” ではなく “ な~や ” と言ってました。大阪弁の“ な~ ” よりさらにもっと優しく感じます。特に若い女の子の“ な~や ” を聞くと、同意しないではいられない青春時代がありました。

ところでつい最近 “ 禅 ”と“ 念仏 ” は棒磁石の “ N極 ”と“ S極 ” と同じで、切っても切っても両方が存在するという考えが書かれたものを読みました。とてもよくわかります。別の言い方で “ 空が動き出すと念仏になる ” という考え方を読んだこともあります。成仏(覚り)の道筋としての “ 自力 ”と“ 他力 ” は、相反する概念だけど両方がそれぞれ切り離されずに成立しているということですね。イメージとしては “ 禅は北のN ”“ 念仏は南のS ” が似合うかも・・。

ダラダラと長文を書いてしまいました。これからも “bench_warmer” というニックネームと “南” という文字を大切に暮らしていきたいと思います。