お別れ

見舞いに朝行くつもりが、

昼になった。

父の部屋に行くと、

口を開けて寝ていた。

入院中も寝ていることが多かったので

「また、後で来るね!」

と声をかけて、

部屋を出た。

家に帰り、父の引っ越し荷物の片付け。

その後スーパーのフードコートで昼食を食べ、

今から買い物の会計をしようと言う時に

施設から電話が。

なぜか、嫌な予感がした。

「お父さんが、息をしていません。今医師がこちらに

向かっているところです。」

「気をつけてゆっくり来てください。」

と言われた。

急いで駆けつけると

美空ひばりの音楽が大音量で流れていて

お医者様が来られていた。

「14時50分に亡くなられました。誤嚥性肺炎でし

た。」

「??」

「誤嚥性肺炎は治ったんですけど…」

「先月から誤嚥性肺炎になっていたので、そう判断し

ました。そのほうがいい。」

「そうですか…」

「今朝は心音もあって、僕は心電図はいらないと思っ

たんですが、」

「昼看護師の方から、心電図をつけたほうがいい

ということで、つけたところ」

「先程呼吸が止まりました。自発呼吸がかなり苦しい

状況でした。本人は苦しまなかったと思います。」

と先生がおっしゃいました。

「苦しまなくてよかったです。ありがとうございました。」

と言うのがやっとでした。

父は退院して一日であっけなく、逝きました。

もう治らないと言われていて、食べられないし

延命治療を本人が希望しなかったので

あとは時間の問題でしたが

もう少しあるのかと思っていたので…

肺炎を治療してもらって、少し呼吸が楽になっていた

ことが救いでした。

5年間お世話になったグループホームの

系列の老健で看取って頂きました。

終末期と言われる中、受け入れてもらい、

父を知ってくれている職員さんの看護を受けながら

亡くなりました。

自宅で看取れなかったことへの後悔もありますが、

安らかに亡くなったことが救いです。

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