入院最終日らしい(5/20)

起床。朝ごはん食べきれず、パンを半分残す。

午前中は映画『Winny』を観た。winnyをはじめとしたP2Pソフトウェアについては、僕もリアルタイムでその革命に興奮していた世代だったが、開発者が逮捕されていたとはまったく知らなかった。

いやはや最後まで面白く観られた。三浦貴大さん久しぶりに見たけど、静かに熱くて志の高い、とても成熟した弁護士を好演されていた。この弁護士と開発者の金子氏が出会えたからこそ、「未来の弁護士のために」と一致団結して裁判を戦い抜けたんだと胸が熱くなった。
あとエンタメ要素として「刑事訴訟無罪の名手」とされる弁護士先生が辣腕を振るっていたのも楽しかった。実際に戦い続けた男たちの生々しい情熱と、法廷エンタメとしての面白さが両立していて良作だったんじゃないだろうか。

朝の回診にて、唐突に「明日以降いつでも退院できる」などと告げられ、じゃあ明日退院しますと伝える。週末までかかると言ってなかったか?
おそらく投与した薬剤が効かなかったから、強力なステロイド治療に切り替えるためにいったん今回の入院は断ち切ってしまおうというところだろう。

あのさ土曜に担当医が来たときも「もともと薬が効くかどうかは五分五分とお伝えしてたかと思いますが、」とか抜かしてたけど、全然そんなこと言ってなかったよ!?!?

おれは「最初からステロイドつーのは、ナシなんでしょうか」とか聞いたけど、あんま前例がないとか、ステロイドだったら死ぬまで感染症に怯えて暮らす低免疫人生だとか(盛っています)、免疫グロブリンで十分効くと思いますよとか、アンタが言うからさぁ!!じゃあまずは免疫グロブリンで、って、決めたんじゃん!!ハァ。医局のアンチになっちゃうかも俺。『医龍』読んでるし。

昼ごろ、ルームメイトが全員退院してしまって8人部屋にひとり。溢れんばかりの解放感!!!!。本当にかなり気分が良くなった。明日退院するの惜しくなってきた。空っぽの病室を歩き回り、窓から見える景色がこんなに綺麗なら絶対に窓側のベッドがよかったと思った。

13時20分ごろリハビリへ。OTさん→PTさんの順番でリハビリをつけていただき、急に明日退院できることになったんですと伝えた。どう感じられたかわからないが、ふたりとも同世代でリハビリのたびに楽しくお話させてもらっていたので、僕としては寂しかった。外来にいらしたときでも呼んでくれたら飛んでいきますよ!と言ってくれた。LOVE。

昼すぎ、入院して2回目の命のシャワー。1回目のシャワーを浴びたのは土曜日。日記には書き漏らしたが、その気持ちよさったらなかった。文字通り生き返った気持ち。なにせ体は拭かせてもらっていたが、頭皮には何もできないでいたから。健康で文化的な最低限度の入院生活は、このシャワーから始まったのだった。

帰りに入院中2度目のスタバへ。肝っ玉母ちゃんみたいな店員さんが回していてかなり笑顔になってしまう。プラストローを要求した大学生集団に明らかに多すぎるストローを渡し、「お疲れ様です!」と見送っていた。僕には買い物終わりに「同じ日に買うと二杯目が安くなるの、知ってましたか!?」とワンモアコーヒーの説明をしてくれた。知らなかったので来ようかな、と言うと「21時までやってますので!寝る前とかにぜひ!」とのことだったが、俺をコーヒーで眠れなくしてあんたどうするつもりなんだ?とも思った。

夕方、入院にかかった費用の見積もりをもらい、ぶったまげる。人生でいちばん大きい出費が入院になってしまった(あとから一部返ってはくるけど)。金額ほんとに面白いので気になる人は聞いてください。

お待ちかねの夕飯はクリームコロッケと海老フライとチキンカツで、間違いなく今まででいちばん美味しかった。悔いなき最後の晩餐。
コロッケというと僕は地元・愛知の明治村で売っていた「食道楽のコロツケー」がどれよりも好きだった。特に白身魚と米のコロッケがそりゃーもう何個でもいける美味さだったのだが、今では食べられなくなってしまった。

『シンドラーのリスト』を観ている。長くて腰が引けていたが、今のところ飽きずに観られている。なんだろう、淡々としているのが心地よい。カットが変に凝ってないとか、BGMが扇情的じゃないとか、そもそもモノクロだとか、その辺が要因だろうか。知らなかったけどこれスピルバーグが監督なのやばい。SFエンタメからシリアスな歴史ものまで全部面白いなんてさすがにバケモンすぎるよね。

間もなく消灯になる。前の日記にも書いたけど、入院期間は実質のところ仕事はほぼ0のバケーションだったから、社会復帰が少々億劫で不安だ。頑張ろう俺たち。笑顔で会おう。

それでは。

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