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ベルテンポのお客様は、70歳代、80歳代のお客さま、杖をご利用のお客さま、
移動に車イスを利用されるお客さま、そして、ご家族が多くいらっしゃいます。

超高齢化社会の姿が、
そのまま旅する仲間になっています。

福祉とか、バリアフリーとかではなく、
ごくごく「普通」の家族や親戚が
旅しているのと同じような光景です。

焼津、河口湖、長野、箱根。

毎年一月に新年会(とはいえ少人数)で国内旅行をします。

毎年、行き先を変えながら
お客様と新年の初詣と顔合わせを楽しんでいます。

私達が「行き先」を選定する以上に
苦労するのは「宿」をどこにするか。

私達の旅は、
ご高齢の方やお足元の悪い方も
いらっしゃるので、

 和室に布団
 宴会場で座椅子

はNGなのです。
館内が階段のみの移動もNG。

最低限、

ベッドで休める部屋が5部屋程度以上あり、
食事はイスとテーブルで頂けることが
必須となります。

障害者とか、バリアフリーという大げさな話ではなく、

膝が悪いので正座は出来ない
階段の昇り降りは辛い
布団の立ち上がりはキツい

お年を召された方なら
誰もがおっしゃることです。

ご自宅ではベッドでお休みになり
食事もダイニングテーブル。

そんなお客様が増えているのです。

ところが、
旅館でベッドのお部屋がある宿は
本当に少ないのです。

そして、
食事をイステーブルで戴ける宿も
驚くほど、少ないのです。

以前、会員のあるお客様が戦中、疎開先が
長野だったこともあり、戸隠へ行きたいと
ご希望を戴きました。

そこで、

長野に行くと決めました。

戸隠神社と長野善光寺に初詣に行くと決め、
長野市周辺の温泉で宿を探したのですが、
スタッフがネットで調べても、調べても出て来ないのです。

仕方ないのでそれぞれの宿のホームページを
見て、洋室がありそうな宿、外見や施設の写真から激しい段差がなさそうなところを、
片っ端から電話して、確認をしました。

スタッフ曰く、恐らく30軒はかけたと。


和室だけです。ホームページに書かれた洋室は1室だけで、乗務員向けのような部屋なので屋根裏部屋みたいなところです。

とか、

ベッドの部屋はありますが、食事は座敷になります。

とか、
全滅でした。

範囲を別所温泉まで広げた結果、
「ベッド付き和室」を4部屋持つ
上松屋さんに出逢うことが出来ました。

上松屋さんも館内の一部に階段があり、
お部屋も和室にベッドを置いているタイプなので
車イスのままでは室内に入れませんが、それでも、泊まる宿が確保出来ただけで良しとしなければなりません。

本当は貸切風呂が欲しいところですが、あいにく大浴場のみ。

贅沢は言えません。

支配人さんも女将さんも、
予約の段階から一生懸命に対応して下さり、
何とか当日を迎えることができました。

私達の今までの経験では、
多くの宿は

「うちは施設が古いから」
「過去、受け入れてクレームになったことが
あるから」

と及び腰なところが多く、
やりとりしていても、遠回しに断られて
しまうことがほとんどなのですが、
私達のグループを引き受けて下さったことに
心から感謝しています。

バリアフリーへの取組みは福祉的な発想ではなく、ご高齢のお客様への受入から少しずつ取り組まれて行くのが現実的だと思います。

いきなりハードルを上げて「バリアフリー」を
やってしまい、事情の良く判らない人が適当な
設計をした結果、変なものが出来上がってしまい、逆にクレームを誘発してしまう事例をたくさん見て来ました。

大きな投資をしなくても、
今、ある設備で

「出来ること」
「出来ないこと」
「コストはかかるが提供できるサービス」

を明示して、お客様に選んで貰うのが
現状ではベストの対応だと思います。

バリアフリーへの考え方はお客様それぞれなので
特別養護老人ホームのような「コテコテ」の
客室を作らない限りは、必ずクレームはでます。

障害がある方は、仕方のないことですが、
ご自分の体の状況をベースに
「使える」「使えない」を判断しますから、
「自分が使えない」と感情的にクレームを
上げることも多いです。

私は「感情的」なクレームが受け入れ先の方々の
やる気をなくして、

「怒られるばかりだし、商売にもならないから
 やっぱり障害者の受け入れはやめておこう」

となるのは避けたいのです。

実際、旅館の方に聴くと

「取り組んではみたものの、怒られてばかりなのでうちはバリアフリーはやめました。こないだは、車イスのお客様に土下座しろと言われて、土下座しました。私は社長だから仕方ありませんが、スタッフの心が疲弊するので、バリアフリーはやめました。」

と言われて悲しくなったことがあります。

障害の有無に関わらず、怒鳴る人はいますし、
謝罪を強要する残念な人はいますが、
いわゆる“健常者”の人が「土下座しろ」と言えば
クレーマーですが、

障害がある人から「土下座しろ」と言われたら、サービス業の現場では「障害がある人に失礼なことをしてしまったのだから、土下座するしかない」
と思ってしまうのです。

これは、お互いにとても不幸なことです。こんな関係性に未来はありません。

私達は、難しいことを言っているのではなくて、
「安心して快適に泊まれる宿」を提供して欲しいだけなのです。

私も経営者ですから、
「施設が老朽化している」
「景気が悪くて設備投資できない」

その想いは痛いほど理解できます。
でも、どうか「思考停止」にだけはなって戴きたくないのです。

大宴会のどんちゃん騒ぎや、
コンパニオンを入れた社員旅行や、

そんな「過去の古き良き儲かった頃」の
再来を夢みていても、誰も助けてはくれません。

善意や福祉の話ではなく、
ビジネスの観点から、

高齢者やお体に障害がある方にとって、
「安心して快適に泊まれる宿」
とは、どんな宿なのか、

思考停止にならず、考え続けて欲しいのです。

そして、
私は障害がある方にもお願いしたいのです。

怒鳴ったり、謝罪を強要したり、
ましてや土下座を強要したりするのではなく、

(そんなことをしても、何も問題は解決しません)

前向きに、旅館さんが
「なるほど、そういう風に考えればいいんだ」
と思えるような、
前向きでポジティブな改善提案を
一緒にして行きませんか?

お客だからと言って傲慢になるのではなく、
感謝の気持ちを忘れずに。

上松屋さんの仲居さんは、
朝早くから夜遅くまで、
大変な重労働を、嫌な顔ひとつせず、
私達に楽しんで欲しい一心で、
額に汗して働いていらっしゃいました。

私達が一宿一飯を、楽しく過ごせたのも、
見えないところで汗する方々の努力の賜物です。

いくら感謝しても、足りません。

そう思って下さるお客様と、
私達ベルテンポは旅を続けて行きたいです。

私達お客の側にも「三方良し」を担う
責任の一旦があるのです。

お客だからと言って評論家みたいに
なりたくはありません。

飲水思源の想いを心に刻んで今年も旅をします。

・飲水思源
http://ameblo.jp/club-beltempo/entry-11971747475.html
 
・旅館さんへ

ベルテンポ代表の私が、全身全霊で「考え方」をお伝えしています。
 http://ameblo.jp/b-free/entry-11974789165.html

バリアフリーや高齢者対応は「善意」で
取り組んでは行けないのです。

サービスのしくみ、そして考え方が大切です。
テクニックや投資の前に「考え方」が必須です。

最後にもう一度、言います。
大切なのは「考え方」です。

どう考えるかを明確にして、お客様に選んで頂くのです。


「私はこう考える」の旗の周りに、お客様に集まって頂くのです。

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