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お客様を変えるのではなく、空気を変える

「ファーストクラスに乗る人の真似したくない習慣」を記事にさせて頂いたところ、大きな反響を頂きました。
(10年前に書いた記事です)
http://ameblo.jp/b-free/entry-10527465948.html

ファーストクラスに乗る人の真似をすると
成功すると言うので、

その「成功している人」の仲間に入れて貰おうと、清水の舞台から飛び降りて
(そんなおおげさな話ではありませんが)
札幌から羽田への国内線でファーストクラスを体験しました。

この時は、たまたま運が悪かったのかも知れませんが、私の座席の通路を挟んだ反対側の中年男性は、

座席につくなり靴を脱ぎ、
靴下を脱ぎ、
黒光りする脂ぎった靴下を丸めて靴に押し込み、

見苦しい素足を前の座席ポケットの上に投げ出したのです。

これは厳しい。

厳しいと言うのは周囲の乗客がです。

私の側に足の裏が向いているのも不愉快でしたが、窓側の女性は可哀想にトイレに行く時、その足を跨がされていました。

ここまでなら「不愉快な話」で終わるのですが、一応、私もサービスを語る人間として、

「自分が客室乗務員だったらどうするかなあ」

と考えました。

ちなみにこの日の乗務員の方は、もちろん注意するどころか、笑顔でたわいない雑談を親しげにされていました。

注意するつもりなどまるでないようすでした。

しかし、
では注意出来るのか。

難しいですね、難しいと思います。

●課題を整理します。

1.ファーストクラスにおいてこれは問題ありか、なしか
2.注意するべきか、無視できる範ちゅうか
3.他のお客さまに与える影響は
4.こうならない方策はあるのか

1.ファーストクラスにおいてこの状態は問題ありかなしか

これは実は航空会社が決めることです。

狭い機内、どうぞお寛ぎ下さいと裸足を歓迎するのもサービスのあり方。
 
座席ポケットに足を投げ出すのも問題なしと考えるのも、サービスのあり方。

ただ、絶対にやってはいけないことがふたつ。

ひとつは問題ありと思っているけれど、
放置している状況。(いわゆることなかれ主義)

もうひとつは場当たり的な対応。

誰か他の乗客から指摘されたから、
ひとこと言いに行くような対応。 
これはサービスに「軸」がないから起きることです。

しかし、ありがちな対応でもあります。

2.注意するべきか、無視できる範ちゅうか

これも航空会社が決めることです。

サービスの軸に基づいたサービスのガイドラインです。

私だったら、客室乗務員の方が「まずいなあ」と言う空気を感じたら、お客さまのプライドを傷つけないように、そっと近寄って、

「お客さま、いつもご利用頂きましてありがとうございます。今日はお仕事のお帰りですか。
狭い機内ですが、どうぞお寛ぎ下さい。」

と言って、あのファーストクラスに置いてある茶色いスリッパを履ける状態にして揃えてお客さまの足元に差し出しますね。

無言の

「お客さま、素足でポケットに足投げ出しはちょっと・・・。」

とのアピールです。

「お客さま、私にも立場があるの。判ってね。」

との思いを込めた笑顔を添えて。

 
3.他のお客さまに与える影響は

航空会社は常にこのことを注意して考慮しなければいけません。もちろん航空会社に限らずすべてのサービス業は、ある特定のお客さまが周りに与える「悪い影響」を除去することには相当に注意をするべきです。

周囲の不快な想いをした乗客は、黙って飛行機を降ります。その後、誰かにクレームを伝えたりはしません。

しかしそのプチストレスは潜在化し、次に飛行機に乗った時、ひょんなことでフラッシュバックし、爆発することもあります。

無言の敵をいたずらに増やすことになるので、
細心の注意が必要です。

周りのお客さまは大丈夫ですか。

4.こうならない方策はあるのか

あるのです。
それは「空気をしっかりと作る」こと。

脂ぎった靴下を丸めて素足を投げ出して良い空気をJALファーストクラスは作ってしまっているのです。

こう言うお客さまは決してKYではありません。空気をしっかりと読んでいます。
 
どこまではやっていいかを探りながら増長します。子供のいたずらもそうです。周りの大人や親の顔色を見ながらエスカレートします。

我がまま客と言われる人は、空気を読むのが上手です。少しずつ、本当に少しずつ、自分の側に相手をずるずると引き込みます。

裸足で座席ポケットに足を投げ出すのが初めてではないでしょう。

どこかで「それを許してしまった」過去があるはずです。

この日のベテラン乗務員の方は、
この中年男性が降りる時にも
それはそれは親しげに話をしていましたから、

そのやりとりを見た私もですが8,000円も払ったにも関わらず運悪くこの男性の隣に座ってしまった女性がどう感じながら飛行機を降りていったか、を想像してください。

本当のファーストクラスの空気感を作るにはどうするか。

漢方薬療法しかありませんが、良いお客さまの総数を増やすことです。こんな空気を作ってしまっているのは負の連鎖です。
良いお客さまを育てあげる気持ちをしっかりと軸に持ってこんなひどい状態をやんわりと注意してくれるようなJALの本当のファンであるお客さまの総数を増やすのです。

遠いようですが、
これがサービスの上質な空間を創る近道です。

話は変わりますが、
私は飛行機と新幹線が競合している路線では
必ず飛行機を使います。

なぜなら新幹線には「座席で携帯電話を使う」ルールを守れない乗客が多数いて、それをJRも半ば放置しているからです。

私、
電車の中で携帯で大声で話すおじさん、
どうしても耐えられないのです。

だから私は少なくとも機内では携帯を使う人のいない、飛行機を選びます。

消費者は、価格だけでサービスを選んでいる訳ではありません。

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