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「人生最初で最後の一大事なんです」

まさか延長された会議の会議室を新卒の私が一番最初に飛び出すなんて思わなんだ。私はどれだけ周りに恵まれているんだ。今日は、V6と私の周りの人たちの優しさの話です。

2021年10月25日がV6にとっての最後の音楽番組出演で、26日が最後のテレビ出演だった。私がV6を好きなことはもう私の所属している局内では有名なことで、「解散って年末?」「いえ、11月1日、彼らのデビュー日までです」って受け答えを何度したか数えられない。

25日はCDTVに出演していて、定時を過ぎた頃に「あれ?今日のCDTVって何時から?」って隣の隣の席のOさんに問われた。Oさんは学校へ行こう!にドンピシャの世代らしく、鈴木さんは世代じゃないよね?という話になった。「元々有川ひろさんが好きで、図書館戦争が好きで、実写映画になった時に岡田くんが演じていて、そこからV6を知りました」っていう話をしたら、そうかそうかって納得した感じで嬉しそうに「俺は坂本くんが好きなんだ」って教えてくれた。Oさんは私よりも先に会社を出て、「CDTV見るからお先に〜」って言われた。

そんなやりとりを席でしていたからか、26日になると「今日は学校へ行こう!の日だよね」と何人かが話しかけてくれた。「そうなんです!なので絶対に今日は定時退社したいんです!!」とクソデカボイスで宣言をした。多分こんな新入社員初めてなんじゃないかと思う。

昼休みには会社の推しと推し(V6)の話をした。昨日はCDTVに出てたんでしょ?今日は学校へ行こう!があるの?ラップのやつ好きだったな。解散っていつするの?最終日のライブは俺でも見れるの?(配信見られますよって言ったら有料だってことを知って断念してた。見てよ。) 11月1日に向けてどんどんテンションが下がっていくと思いますって言ったら「これまで俺の周りに推しの解散で悲しんでる人がいたことがないから、ただでさえ鈍感なのに、なんて声かけたらいいのかわかんないや」と反省させてしまった。

何日か前から学校へ行こう!をリアタイできるように仕事を片付けてはいたものの、周りの人との兼ね合いもあるためスケジュールはちょっと押していた。そんな中での14:30-16:00の会議が始まった。来客もあり、局長が出席していて、一番の下っ端は私で、弊社の出席者は偉い人仕事ができる人の9人。いつもは押さないけれど、急いでいる日に限って会議は押す。30分押しの16:30に終了した会議は、片付けやアフタートークを考えると絶対に17時過ぎにならないと会議室を出られない。

あぁ、最後のテレビでのV6を初めから見られない。

そう思っていたのが顔に出ていたのか、隣の部の同じく会議に出席していた先輩が声をかけてきた。「今日学校へ行こう!があって...」そこまでいうと、「いいよ、会議室の片付けはこっちでやっておくよ。他の仕事片付けな」ご自身もKAT-TUNを好きだからか、優しい言葉をかけていただいた。「いいんですか!?」なんて言ってしまったもんだから周りの人たちもどうした?ってなってしまった。そしたら先輩は「人生最初で最後の一大事なんです」。その言葉に見送られて、新卒が会議室を一番最初に後にした。

自席に戻ってからは、押している仕事にいつもの何倍ものスピードで手をつけた。システムの原因で進まない仕事があり相談したところ、解決方法を探しながら「今日V6なんでしょ?ちょっと待ってね」と一緒に急いでくれる人。「そういえば今アマプラでV6のライブ見られるらしいね」と声をかけてくれる人。定時を過ぎてしまったら「まだ帰れなそう?」と心配してくれる人。「俺も帰ったら見る!」と言ってくれる人。「学校へ行こう!見て泣いても電話してこないでね」と笑いながら言う上司。しません。みんなが、共感か同情かはわからないけれど、気持ちを汲んでくれた。周りの人に、恵まれた。

結果、定時から30分遅れて会社を出た。同日に発売だったベストアルバムをコンビニで受け取って、競歩のように帰路を急ぎ、18:50に帰宅した。家では前日に頼んでいたから同居人が夕飯を作ってくれていた。多くの人の協力で、無事19時スタート、3時間生放送、V6最後のテレビ番組を見ることができた。

11月1日。私がどんな気持ちでその日を迎えるのかはわからない。「最後」と言葉にしながらも、まだ実感がわかない。もう新曲も出ないし、6人での素敵な声の重なりを聞くこともできない。話を盛る井ノ原くんも、井ノ原くんの話に乗る健くんも、それを聞いてケタケタ笑う剛くんも、ニコニコ眺める長野くんも、5人が楽しそうなのをマイクを下ろして見守る坂本くんも、そんな様子を写真に収めようとする岡田くんも、見ることができない。テレビをつけたら音楽番組では6人が歌って踊っていて、何年かに1度ある貴重なライブ。そんな環境はなくなる。2日から私が見る全てのV6は過去のものになってしまう。

最後のベストアルバムのキャッチコピーは「26年という瞬間」。これまでいつも「今」が何よりも輝いていて、最新であり最高であった。だからこそ、最新の今、6人でいる瞬間を見られなくなるのが何よりも辛い。

「いつもそばに」と歌うありきたりにも聞こえる、ライブで披露するために作られた「目を閉じれば」という曲の中でV6は、「ありがとうと大丈夫を君に」と歌う。今はまだ、大丈夫ではない。でも、「ありがとう」だけではないところにV6がどれだけ私たちファンのことを理解してくれて、寄り添っているのかが伝わってくる。大丈夫じゃないことをきっとV6は理解している。それでも「ありがとうと大丈夫を君に」というのなら、これからもそばにいてくれるのだろう。

今はもう、これ以上書けない。

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