増田かおる議員のチラシによる「戸定梨香」騒動の再燃:フェミニズムの逆行と当事者排除のロジック
皆様こんにちは。
来殿ベルと申します。
2022年4月26日頃、松戸市にて『松戸および松戸東警察署の「交通安全」キャンペーン動画」問題について』と題したチラシが配布されました。
内容は酷いもので、以前に全国フェミニスト議員連盟が様々な公的機関に送付した『「ご当地VTuber戸定梨香」を啓発動画に採用したことに対する抗議ならびに公開質問状』を踏襲してします。
チラシでは、戸定梨香さんのキャラクターデザインについてこう述べられています。
まるで戸定梨香さんが、みだらな服装で人を誘惑する痴女のような書き方です。しかし、私は実際の動画を改めて観てもそのようには感じませんでした。
特に「強調された胸が揺れて見える」に関しては、意識すらしませんでした。そもそも、特に「強調」はされていないと思います。どちらかといえば、胸の部分は大きなリボンで隠されています。
また、「ミニスカート」「おへそが丸出し」など、本来ならそれ自体では悪くもなんともないことが、ひどく不道徳的で不適切なことのように書いています。
しかしこれは、フェミニズム運動が行ってきたことと逆行する主張ではないでしょうか?
もともとは「女性の服装は、その女性自身が自己決定権を持って決めることだ(男性も同じ)」というのが、フェミニズム運動では主流の意見だったはずです。特に「ミニスカート」は、服装のタブーから女性を開放するものとして、かつてのウーマンリブの象徴ですらありました。
もちろん、男性が「俺の目の保養のために、女はミニスカートをはけ」などと言っていたら問題でしょう。自己決定権の範囲であるものについて、強要的な物言いをすべきではありません。
しかし、戸定梨香さんを演じている方も女性なら、プロダクション社長の板倉節子さんも女性です。つまり、ウーマンリブ運動でミニスカートをはいて行進した人たちと同じく、女性自身による自己決定なのです。
女性当事者の自己決定権を無視して、「ロングスカートかズボンをはけ」「へそを隠せ」と口出しするのが、全国"フェミニスト"議員連盟の主張として正しいのでしょうか?
私には、どうしてもそうは思われません。
また、チラシに書いてある次の部分も問題です。
「『Vtuber 戸定梨香』の姿(服装)やその活動を否定したという事実は全くない」
これは、チラシの中でも矛盾しているでしょう。
前半で「戸定梨香のキャラクターデザインは公的機関が用いるのに相応しくない」という旨の主張をしています。これは、戸定梨香さんに「ゾーニングされるべき、忌むべき存在だ」「子どもに見せていいものではない」とレッテルと貼ったのと事実上同じです。
それに、これこそ「開放的」な女性たちを苦しめてきたロジックではありませんか? 「自宅ではともかく、公の場でミニスカートなんてはくべきではない」と言われて、「自宅だったら許されるのだから、ミニスカートをはく私の自由は否定されていない」「確かに公の場でミニスカートをはくのは良くないことだ」と答えるのがフェミニズムでしょうか?
「公の場での存在を許さない」「公の場にいるとしたら、場所のすみ分けを要求する」というのは、もはやゾーニングというよりもアパルトヘイトだと思います。
全国フェミニスト議員連盟に名を連ねながら、女性当事者の主体性を無視・軽視し、「否定はしてないよ。ただ公の場だから問題ってだけ」と問題を矮小化しながら社会の隅へと追い立てる――これが差別でないとしたら、何が差別なのか分からなくなります。
私は、女性当事者の主体性が尊重される社会を切に望みますし、女性の権利を考える議員さんには、特にこの問題を考え直してほしいです。
以上となります。
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