これぞ「挑戦」~"STU48 meets JAZZ with MAQ"ライブ所感~ [2022年制作記事]
2022年11月5日土曜日。
名古屋から新幹線に乗り、広島市・WAKOゲバントホールにて開催されたSTU48のライブ「STU48 meets JAZZ with MAQ」へ行ってまいりました。
シフト制のヲタクなので今回は日帰りするしかなく、夜の部も見れなくはないのですが配信で観ることにし、昼間だけの参加となりました。
終わった後の僕です。
STU48×JAZZ、見ない選択肢なんてあるの?
このライブが9月10日に発表されたとき、僕は瞬間的に「これは絶対見たいライブだ!!」と思いました。
僕はどちらかというと90年代後半のバンドブームや青春パンクで育ったロック寄りのおっさんヲタクなので、ジャズ畑は正直そんなに馴染みがないものでした。
とはいえジャズがどういうものかはさすがに分かりますし、「歌唱力メンがジャズバンドを従えて生歌ライブ」というこの告知を見て、これはSTUにとって歴史的転換点とも言うべきライブになるし成功は約束されている…、そんな予感めいたものを感じていました。
ドルヲタを始めた2010年末から逆コース(地下→地上)を辿って今まで、バックバンドを従えてライブをしたアイドルは数多くありましたが、ジャズバンドとセッションしたアイドルは見たことがありません。
(もしかしたらフィロソフィーのダンスさん辺りでやってそうな雰囲気はありますが…)
チケットはまさかの先着順。
12時発売で速攻ソールドなのでは??と思ったんですが、13時頃普通に買えました。
6月の推しメンこと原田清花さんの生誕祭のときと全く同じ席だったので笑っちゃったんですが、実はこのあと2階のバルコニー席でチケットが取れたので、最初のチケットはリセールに出してバルコニー席を選択しました。
ゲバントホールといえば、僕の中ではバルコニー席が圧倒的に好きな場所なので…
そこから約2か月の間、このライブを僕はずっと心待ちにしていました。
そしてその日がやってきたのです。
ライブ所感
前置きが相変わらず長いですね。
今回は(も)、ライブの「所感」です。
レポは客観、所感は主観。
僕のは大いに主観が入り乱れておりますので、ご了承くださいませ。
そんなこんなでやってきました、毎度おなじみWAKOゲバントホール。
STUも数年来お世話になっているホールで、僕自身も今年ここで開催された推しメンこと原田清花さんの生誕祭に出たり、STU48号ができる前の陸上公演に足繁く通って元推し()の石田千穂さんを見に来たりと、思い出の多い場所です。
まずはセトリから。
曲数が多い、というわけでは無いですが、全曲フルサイズ。
楽曲はフルサイズで披露してこそと常々思っているので、この点では僕は当然ながら大満足です。
セトリは昼夜共通。影ナレは、昼を2期生、夜を1期生が受け持っていました。
1曲目は、ジャズライブらしくM1「A列車で行こう」(Take The "A" train/Duke Ellington)。
ジャズに詳しくなくても、それなりの年数を生きてればさすがにこの曲は分かります笑
そんな超スタンダードナンバーであるこの曲が流れてきた瞬間が、僕が初めて本格的なジャズライブに触れた瞬間となりました。
からのM2「サングラスデイズ」が始まると共に、普段身に纏うことのない素敵なドレス衣装のSTUメンバー6名も登場。(画像はライブ配信よりスクリーンショット)
個人的にこの曲は「STUの中で最も48っぽい曲」と思っているのですが、もともとが明るい曲調でしかも夏うたでもあるので、その雰囲気が残りつつのカフェで聴くようなザ・ジャズといったアレンジでした。
どちらかというとボサノヴァに近い感じなのかな?(あんま詳しくないのでつっこまないでください…)
冒頭にこの曲を持ってくるあたりに、アイドルとジャズという普段は乖離している2つのジャンルを結びつけるに相応しい開幕だったのではないかなと思います。
M3「ペダルと車輪と来た道と」は、普段はアッパーチューンとして盛り上がる曲ですが、しっとりと聴かせる曲になってアレンジ。
落ちサビでの池田ちゃんの伸びやかなソロがすごく印象的で素敵でした。
また、普段はさっと終わるアウトロが、アレンジで結構長めになっていることで曲の余韻を楽しむことができて良かったです。
MCと写真撮影を挟みながら、続いて2人×3組のユニット曲コーナー。
M4「あの日から僕は変わった」は、疾走感のある原曲の雰囲気がアレンジでも割と残ってた感じだけど、この辺はたぶんドラムがオーソドックスな8ビートを叩いてたことが多かったからかな?
声質のかなり違うありちゃんとしみさらのツインボーカル、うまく重なってて良かったです。
さて、今回のSTU楽曲ジャズアレンジですが、イントロを聴いただけでもなかなか曲が分からないことが多かった中、曲が始まる前のカウントで3拍子を刻んだ瞬間に「おお!!」と心の中で叫んでしまいました。
そうです、M5「誰かといたい」です。
とろみちゅこっこ(土路生・今村・田中晧)の楽曲でしたが、今はオリメンもみちゅのみ。
そのみちゅと歌姫あいこおねえちゃんの2人が、ジャズアレンジされた曲と共に紡ぐ新しい「誰かといたい」は、この曲だけでも名古屋から往復した価値があったと思わせるものでした。
M6「風を待つ」はまひなさんと池田ちゃん。
僕の肌感覚ですが、この曲自体は元々ジャズアレンジしやすいメロディアスな曲なので、ジャズアレンジが特にしっくりとハマった印象です。
また、池田ちゃんは言わずもがな48G随一の抜群の歌唱力を誇っていますが、僕個人的には、まひなさんの歌声がすごく僕好みだったことに今更ながら気づきました…(4年以上通ってる割には遅くね?)
貫禄の(メンバー談)「風を待つ」でした笑
MCを挟んで、MAQさん単独でジャズナンバー・M7「The Chief」(Pat Metheny)の披露のあと、1期生3名によるM8「瀬戸内の声」。
こちらは原曲もピアノとストリングスがメインの曲なので、ジャズアレンジとして差別化するのもすごく難しかったと思います。
しかしながらそこはさすがプロのジャズバンド、MAQさん。間奏など各所でしっかりと味を変えて楽しませてくれました。
その次は2期生3名によるM9「暗闇」。
期毎に歌うこの流れだと「僕らの春夏秋冬」かな?とかちょっと思ってたんですが、この予想はめちゃくちゃいい方向に裏切られました。
今回のライブ、どこが一番の見どころだったかと聞かれれば、間違いなく「暗闇」ジャズアレンジだった、と答えます。
このツイートでも言いましたが、曲が持つ「暗い夜が明ければ希望の光が見えてくる」という元々のイメージから、「夜が明けて清々しい朝を迎えた」イメージを感じました。
イントロから強く吹かれるフルートは鳥の囀りを想起させ、ドラムはBメロと大サビで2ビートを叩くことで光溢れる世界へ駆け出していくイメージ。
そこにあいこおねえちゃん、しみさら、池田ちゃんのしなやかに力強く伸びる歌声がすごくマッチして、とても素晴らしいひとときでした。
終盤は再び6人となり、M10「思い出せる恋をしよう」。(画像はスクリーンショット)
街にある昔ながらの喫茶店でコーヒーを飲みながら旧友と語り合い、昔の恋を思い出しながら聴きたくなるような、心地よいまどろみの中ににいるような感覚でした。
これも実に素晴らしいジャズアレンジでした。
そして最後はM11「花は誰のもの?」。
これはただの素人考えなんですが、僕としてはこの曲が一番ジャズアレンジが難しかったんじゃないのかなぁ…なんて勝手に推測してしまいますが、果たしてどうなのでしょう。
他の曲と違ってこの曲はSTUにとって特別になりすぎたあまりに、解釈を広げすぎて曲が持つイメージを崩すのは得策ではないように思えます。
そして作曲者の鶴久さんもインタビューでおっしゃってましたが、ともすれば激重ソングにもなりかねないマイナー調の曲ですし、かといって明るすぎても良くない。絶妙なさじ加減が求められたのではないかな、と。
しかしながら、その辺はすごく丁寧にアレンジしてくださっていたように思います。
違和感の全くないジャズアレンジ「花は誰のもの?」でした。
曲が終わって挨拶をし、メンバーとバンドが舞台袖へと引き上げていき、ホールは温かい拍手につつまれました。
そしてその拍手はそのままリズムとなってアンコールとなりました。
こんなにアンコールが早いのは、STUのライブでもほとんど見たことが無かったです。
それは何よりも、いつもみたいに決まりきったようにするアンコールではなく「もっと見たい!」と本当に思うからこその拍手だったように感じました。
その後、照明が少し明るくなってMAQのメンバーさんがステージに再び姿を現し、En1「Blues for STU」の演奏が始まります。
タイトルはMCの中で聞いただけですが、昼の部でオリジナルではない旨をおっしゃってたので、おそらくジャズの定番ナンバー「Blues for Alice」(Charlie Parker)のタイトルをもじりつつ演奏していただいたのではないかと思います。
曲が終わるころ、今回のライブ用に制作したTシャツを着たSTUメンバーも現れ(MAQさんもアンコール後から着てました)、最後に歌うのはEn2「夢力」。
いつものライブ終わりの定番曲ではありますが、まさかジャズライブでもオーラスに使うあたり、皆「夢力」大好きなんだなって思いました。
ちなみにMAQのドラマーでありバンドマスターでもある森川さんも、「夢力」が一番好きだとおっしゃっていました笑
最後は皆もジャズらしく自由な感じで、僕もリズムに揺られながら手拍子をして楽しんでいました。
そして最後の見どころ。
それはそれは綺麗で音のズレがなく伸びのある、大サビ前のみちゅの超ロングトーン。
昼の部でもやってたんですが、夜はさらに伸びが増して、この素晴らしいジャズアレンジライブのエンディングを飾るに相応しいものでした。
「さすがキャプテン」と、誰しもが納得の大団円。曲終りの拍手も、いつも以上の大きさで鳴り止まずに続いていました。
昼・夜とも最後にお見送りがあり、推しメンはいないながらも僕はこのライブに大満足してゲバントホール、そして広島を後にしました。
To change is a challenge.
この一文は、「花は誰のもの?」のリリースにあたってSTU48が打ち出していたメッセ―ジ。
「変わることは挑戦だ」、まさにその通りだと思います。
今回のジャズアレンジライブは、その挑戦を具現化したものに他ならないものでした。
STUはASH(アクターズスクール広島)出身者も多く、歌唱やパフォーマンスにおいてレベルの高いメンバーが多いグループ。
僕はそれが理由なだけで通っているわけではないけど、それでもパフォーマンスが素晴らしいに越したことはない。
そう、それはSTUの貴重なオリジナリティーであり、武器なのです。
だから武器は積極的に用いるべきだし、その武器が活かされたライブでした。
僕はどちらかといえば48Gの文化や伝統みたいなものを知らない(というよりも若干否定的なスタンス)で、STUに通い始めました。
STUは48Gでありながらも、48Gの中で特異な存在。だからこそ地下から坂道を登っていた僕も、瀬戸内に辿り着けたのだと思います。
(まあ今も坂道はちょこちょこライブ通ってるんですが…)
今まで他のグループがやっていたことを踏襲するだけでは、ジリ貧になるのは目に見えている。
変わらないということは、座して死を待つことに他ならない。
逆に変わることは挑戦でもあり、何より前進でもあるのです。
今回はその変化という名の挑戦の一端を垣間見た、すごく意義のあるライブでした。
提案をしてくださったゲバントホールさんには感謝しかありませんし、STUとセッションしてくださったMAQさんにも本当に感謝したいです。
僕自身も、4年以上STUに通いながら新しい発見が今でもできるんだ…という喜びが、このライブの後にふつふつと湧いてきました。
メンバーの歌声だったり、STUの曲が持つ良さだったりと、今回は本当に違う視点でSTUを見ることができて幸せでした。
推しメンこと原田清花さんは出ていなくても、僕はやっぱりSTU48というグループが好きだし、誇れる、自慢できるグループなのだと実感しました。
もちろん初めての試みでミスもありましたし、粗削りな部分は多々ありました。もっとうまくやれるとこ、まだまだ未熟なとこ、どちらもありました。
特に昼の部は、皆めちゃくちゃ緊張してたのが傍目にもはっきりと分かるぐらいでしたし、自分のポテンシャルを全て引き出せてない子もいたと思います。
でも、そんなことはメンバーたち自身が一番よく分かっています。だから僕らファンはそんなことを指摘する必要性は1㎜もないのです。
特徴的で象徴的だった船上劇場・STU48号を失って1年半ほどが過ぎ、船から降りた僕たちは、STUのアイデンティティとは何かを模索する中で、未開ながらも無限の可能性を秘めた新しい大地を見つけた。
それこそが今回のジャズアレンジライブだったのだろうと思います。
本当に、素晴らしいライブでした。
で、やっぱりこのジャズアレンジライブが本当に良かったので、できれば定期的に開催してほしいなって思います。
どうぞよしなに…!!!
完全なる余談 ~僕は今村美月さんが好きだ…~
僕、キャプテンこと今村美月さん推しではないんですけど、前々から信頼できるキャプテンだと思ってたし、才色兼備で非の打ち所がない素晴らしい子だなぁって思ってたんですよね。
ただ、僕的にはあんまり完璧すぎる子って推せないんですよね、昔から。
なのに、なんか今回のライブ見てて、ああこれはみちゅのこと好きになっちゃうわ…って()
前日はミュージックステーションに生出演して(これはありちゃんもあいこおねえちゃんもだけど)、移動疲れの中で広島に戻って昼・夜と2回もライブをするっていうのに、皆がっちがちの中でみちゅだけ昼の部から緊張した感じも見せず、僕の居る2階のほうを含めて隅々まで目線を配りながら歌うんすよ…そりゃ好きにならない方がおかしいっすよ…
もちろん原田清花さんが推しメンなのは不変なのですが、僕の中でなんか心が揺れ動いたライブでした。
(了)
(なんですかこの締めは)