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人には人の乳酸菌

僕は自己肯定感をどこかに置いてきた。代わりに自己否定感を大事に大事に抱えて今まで生きてきた。

長い付き合いの親友は

「お前にはいいところがたくさんある」

と、僕が自己否定をするたびに呆れたように繰り返す。

僕は「人には長所がある」という当たり前の事実を僕自身に当てはめることに抵抗を感じてしまうのだ。

否定をされることと、肯定されることへの恐怖が同時に存在している状態だ。なのでできることならば肯定も否定もされたくない。

だが、人として108では下らない煩悩を抱えて生きているならば、少しでも肯定してもらいたい、受け入れてもらいたい、というのも本心だ。

だから僕は自らを否定する。

「そんなことはない」

と言ってもらうことで否定の否定、つまり肯定を得ようとするのだ。どんな人間にも大なり小なりそんな一面があるはずだ。

「人には人の乳酸菌」

ぐらいのスタンスがちょうどいいのだろう。仏教的で素晴らしいキャッチコピーだ。

乳酸菌が乳酸菌としての存在そのものや、腸内にいることに対するメリット、デメリットを受け入れて今日も黙々と生きるように、自らの肯定も否定もそのまま受け入れて咀嚼できるような人間になるのが目下の目標だ。