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木星のワイングラス


満たされない私たちはいつも5人で
ワイングラスにぶどうジュースで
晩餐のようなふりをして
肉もケーキもないけれど
終わらない夜をやり過ごしていた

水金地火木土天海
私たち何の星だと思う?
私は何になれると思う?

あんたはマーキュリーだよ!
あなたはマーズっぽいよね。

え?私?
私はなんだろう・・・
水星、金星、地球、火星・・・うーん。
木星かな。

なんで?って・・・なんとなくだよ。

・・・なんとなく。うん。

だって、私は5番目だと思うから。
みんなの中で1番下・・・な気がする。

木星は第5惑星。でしょ?

“ねぇ!でもさ?占星術では木星の元に生まれた人は
銀の匙を口にくわえて生まれてきた子って言われてるんだって!!
木星は幸福の星なんだって!”

うるさい。
そうじゃない・・・。

そんなキラキラした言葉はいらない。
前向きでなんか生きられない。

そう言えちゃうあんたは惑星なんかじゃなくてもはや太陽だよ。
どうせ私なんて・・・。
軌道を離れた惑星でしかない。

でも群れていたくて。
離れたくせに。
そっと裏垢で太陽たちの晩餐を覗き見する

真っ暗だった部屋に灯りが灯っている
ワイングラスにろうそくのあかり。
あ・・・。
これ、私が使ってたグラスだ。
すぐに気がついた。

私がいなくなったことで彼らの真っ暗な闇に
優しい光・・・。

“マッチを擦り続けていないと
幻が消えて少女は凍え死んでしまう”

キャプションに語られた言葉が刺さる。
私のマッチはどこにあるんだろう。

あの日に置いてきてしまったのかもしれない。
マッチはもう無いのかもしれない・・・。

それでも私は生きないといけない。
凍死させてはもらえない。
せいぜい生きるだけで精一杯で
満足する人生なんかどこにもないけど・・・。

え?・・・本当にそれでいいの?
うん、仕方ないよ。
私の本当の気持ちは未来になれなかったんだから。

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