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メッセージ

昔は映画が大好きで色んな面白い最新映画だのカルト的人気がある一昔前のフランス映画をたくさん観ていたが、最近は映画を最初から最後まで観よう!という気力があんまりなくて、ちょっと現代病かも。(最近映画のネタバレを3分で説明する系の動画をあげていたyoutuberが逮捕されたが、それぐらい現代人は20分以上ある映像とかを観る耐性がなく短時間で理解した気になりたいとい人が多いからか、このネタバレ系動画チャンネルはすごい人気があったらしい。)

メッセージは公開当時に一度だけ映画館で観たのだが、TENETを観た後になんとなく見返したくなり、Amazon Primeで2回目を観たが自分がこの数年観た映画の中でもかなり印象的だったのでストーリーもほぼ全部覚えていて自分でもびっくりした。

あらすじ

アメリカの言語学者であるルイーズ(エイミー・アダムス。エイミー・アダムスって魔法にかけられてで一躍有名になった後、ちょっと影のある美魔女役がすごいはまった役者さんだよね)が大学で講義中に、エイリアンが世界12カ国に突然やってきたというニュースで街は大混乱になる。そこへ軍からルイーズに、エイリアンの言葉を理解して地球に来た目的を聞いてくれという依頼が入り、ルイーズはアメリカモンタナ州にある宇宙船に理論物理学者のイアン(周りが超人なのになぜか弓使いというアナログ戦士なことで有名なアベンジャーズでホークアイを演じたジェレミーレナー)と一緒に宇宙船に入り、エイリアンとの対話を試みる。

エイリアン(7本足のタコみたいなのでヘプタポッドと名付けられる)は2対おり、ルイーズとイアンは小さいヘプタポッドと大きいヘプタポッドにアボットとコステロと名付ける。(アメリカの有名なコメディアンらしい。ウッチャンナンチャン的な?)彼らとの対話で彼らが表意文字を使うこと、そして彼らの言語を学ぶことでルイーズは時間という相対的な認識が崩れていく。そして、ルイーズは彼らの言語を解釈していく中で、自分の娘との思い出を回想するかのような夢を見続けるのだが、この時点ではこの女の子が誰なのかルイーズも分からない。

ルイーズは地球に来た目的を聞くと、「武器を与える」と解釈するが、その武器が何なのかはクライマックスまで分からない。

そして武器という言葉を聞いた途端、中国が戦争開始だと理解し(中国は麻雀牌を使ってエイリアンと対話していたため)戦闘態勢に入ったため、アメリカ部隊も緊張が走る。軍の内部でもニュースを過信してエイリアンが戦争を仕掛けうようとしていると理解した一部の人間がこっそり宇宙船内に爆弾を仕掛ける。それに気づかないルイーズ達が武器の意味を探ろうと戻っていくが、対話中にコステロが突然大量の文字を吐き出し、逃げていく。アボットは爆発直前にルイーズとイアンを壁ごと入り口付近に押し出して爆発から救う。イアンとルイーズはこの大量の文字を理解しようとするが分からない。だが突然ルイーズに降りて来た未来のイメージの中で、ルイーズは自分がヘプタポッドの本を出版しており、その本を読むことでヘプタポッドがいう武器はギフトであると理解する。

ルイーズが宇宙船に近づいていくと、宇宙船がルイーズを飲み込んだ。宇宙船内でルイーズはコステロに会い、自分たちを救ったことでアボットが死にかけていることが分かる。そして武器は彼らの言葉であること、その言葉を理解することでルイーズは未来を見ることができると教えられる。そして今この言語を与えることで人類を助けて借りを作り、3000年後に人類に助けてもらう必要があると言って去って言った。

だが世界は中国が戦闘態勢に入ったことで、騒然としていた。アメリカもいち早く基地から去ろうとするが、ルイーズは突如自分が未来ではヘプタポッド本の出版パーティーで中国軍を指揮する将軍に会うイメージをみる。そして将軍はルイーズに1.5年前にルイーズが戦争を止めてくれたことに感謝する、と言った。ルイーズはわけが分からないが、将軍は君が僕の個人携帯に連絡して来た、というがルイーズはあなたの電話番号を知りません、と返す。将軍は携帯の番号を見せて、今日はこれが知りたかったんだろう?と言う。ここまでのイメージをみてルイーズはすかさず軍の衛星電話で中国の将軍に電話をする。この映画のクライマックスはこのシーンだけなので地味ではある。ルイーズが危険な反逆行為をしていると勘違いした軍があとを追ってくるが、ルイーズは電話が繋がってもなんて言えば良いのか分からない。そこで先ほどのイメージが続き、あなたは私の上司ですら出来ないことをした、と将軍が言うと、ルイーズは私が何をしたんですか?と聞く。将軍はあなたは私の妻の最期の言葉を言ってくれたんだ、そしてその言葉をルイーズの耳元で中国語で囁く。ルイーズはそれをそのまま電話で伝え、電話を切った。直後、中国は戦争態勢の解除を宣言する。

最後、イアンはルイーズに告白し、二人は付き合うことになるのだが、ルイーズには自分がイアンと結婚して子供が生まれるがその子供が難病で若くして死んでしまうことがすでに分かっている。そしてイアンはその未来を知っているのにイアンと結婚し、子供を設けたルイーズに怒り、二人は離婚してしまうことも分かっている。だが、娘に会うためにイアンとも結婚し、子供を作ることに同意する。

解説的な話

当時も映画をみて、あの丸い蛇みたいな文字を理解することでなぜ未来が見えるようになるのかがよく分からなかったのだが、ヘプタポッド達の文字は二次元ですらなく、3次元的な立体絵のような文字である。個人的にはこの「永遠」を意味する、終わりは始まり、みたいな蛇の絵をイメージしたのかなと思った。(一応映画での文字はデザインチームが製作したらしいが)

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TENETの方で時間は一直線上に流れていくと描かれているといったが、こちらでは時間は4次元的というか、ノーラン監督のインターステラーでは主人公のこれまでの過去や未来が四次元的な箱の中で同時に起きている。メッセージのヘプタポッドはおそらくそういう感じに未来と現在を一つのものとして認識しているようだ。我々はあくまで二次元的というか、過去から未来へという風にしか認識できないだけであると。そう考えると時間という概念自体が面白いものだが、どうも時間という概念自体は記憶を持つ動物にしか存在しないらしいという研究もあるようだ。確かに人間は過去というのは記憶にある体験したものとしてのイメージとしてしか捉えられないが、記憶がない動物にとっては、時間とは現在でしかないのだろう。

自由意志と運命

ルイーズは未来が分かっているが、それを全て運命というか自由意志として受け入れているようだ。子供が死ぬことは分かっているけど、未来でも子供を持つという選択をして産んだのである。映画ではルイーズがみる未来のイメージは断片的でしかないが、ルイーズは未来のこともまるで現在起きているかのように体験しているようで、頭の中で見えている未来でも進行形で中国の将軍の携帯番号を聞いていた。人間にとって時間は一直線なので、ルイーズがみた未来を実際に現在として体験したら2回同じ体験をするってこと?というのが若干よく分からないが、まあそういうことなんだろう。

脱線話

この映画はある意味タイムトラベル的な話でパラレルワールドのような話ではないが、私はパラレルワールド系の話も大好きで、以下2作品がめちゃくちゃ好きな映画だった。

ザ・ディスカバリー(ネタバレあらすじ)

ドラゴンタトゥーの女でめちゃくちゃ好きになったルーニー・マーラが子供を亡くした若いヒロインを演じていてよかった。ある日とある研究者が死後の世界があることを発見したと発表したことで、世界で自殺者が爆発的に増えた世界。主人公のウィルはその研究者が父親であり、人里離れたその研究施設に向かう途中でルーニーマーラ演じるアイラと出会う。彼女は目を離した隙に息子が海で溺れ死んでしまった過去があり、自暴自棄になっている。途中で二人は別れるが、ふとウィルがビーチに行くと入水自殺しようとしているアイラを目撃し、彼女を父親の研究施設へ連れて行く。研究施設では、父が死後の世界を映写できる機械を発明しており、自らを実験体に臨死体験しギリギリで心肺蘇生することで実験を行なっていた。だが、研究を進めるうちに死んで意識が行く先が、自分がやり直したかった過去のある場面であり、だが実際に起こった過去ではなくそのパラレルワールド的なやり直しであることが分かる。とある日研究所のグループメンバーに突如殺されてしまうアイラ。アイラを愛していたウィルはその事実に向かい合えず、自ら実験装置で心肺停止状態になる。そこで見たアイラにウィルは衝撃的なことを言われる。あなたは既にもう何度も死んで私を救おうとしてくれた、だがもう私は救われたからいいのよ、と。実は冒頭の父親に会いに行くシーンがあるが、その前時点でウィルは死んでいたのだった。最初は通勤電車の中でアイラのニュースを見たこと。その時アイラに出会った後でビーチに戻らなかったので、アイラは入水自殺していたのだった。後悔の念にくれたウィルは自殺してやり直そうとしたのだった。そして最後、ウィルは海辺を歩いていると小さい子供が波に飲まれそうになっている。助け起こしてあげると、若い女性が近寄ってきてお礼をいい、ウィルはその場を去る。何かを思い出して振り返るが、ウィルはそのまま歩き続ける、という結末だ。アイラが死ぬ原因はなくなったが、二人は出会うこともなくなったのだった。

ランダム 存在の確率

これは有名なシュレディンガーの猫をモチーフにした話。若干ホラー要素あり。

とある男女グループが一つの家に集まってパーティをしている。とある何千年?レベルでしか遭遇しない彗星が地球の横を通り過ぎるという日だ。そんなことはお構いなしにグループはパーティを続けるが、突如停電してしまう。グループのうちの何人かが外の様子を見に行くが、灯りが見えたのでそちらの家に行ってみる。だがそのうちは彼らがパーティをしている家にそっくりで、とりあえずメッセージを置いてきたりするのだが、そのうち彼らが訪れた家が自分たちの家であることに気がつきパニックになる男女。さらに家の中を覗くと自分たちとそっくりの男女が同じように談笑している。そして元の家に戻るのだが、自分が来た家とは微妙に違うことに気づく。全員同じ人間だが、微妙に性格も違う。そして、この彗星のせいで同時に色々なパラレルワールドと同期してしまっていることに気がつく。それだけならまだいいのだが、グループのうち一人の女性は彼氏との微妙に冷めた関係に悩んでおり、何度か探索するうちにパラレルワールドの一つにとても仲がよく結婚間近になっている自分たちの世界を見つけた。そしてすり替わりを試みて、その世界の自分をこっそりバスルームで殴り殺し、すり変わる。朝が来て彗星は過ぎ去ったが、目覚めるとバスルームに隠したはずの自分の死体がない。彼氏に朝食に誘われて外に出るが、そこに彼氏の携帯に電話がかかってくる。そして彼氏は訝しげな表情で彼女を振り返るのだった。。

というストーリー。彗星が過ぎ去ってパラレルワールドは元に戻った、ちゃんちゃん、ではなく主人公?の女性が他のパラレルワールドの世界を崩してしまったことで一つの世界に自分が同時に二人存在するとかいう矛盾が生まれてしまったらしい...


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